コロナショック、日本は最悪2700万人の生活が破綻する可能性 | FRIDAYデジタル

コロナショック、日本は最悪2700万人の生活が破綻する可能性

『オリーブの木』黒川敦彦が解説

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経済ニュースを分かりやすく解説する黒川氏は、19万人のチャンネル登録者がいる人気ユーチューバーでもある
経済ニュースを分かりやすく解説する黒川氏は、19万人のチャンネル登録者がいる人気ユーチューバーでもある

「『コロナショック』はこれから深刻化します。4月から6月にかけて、日本の経済はほとんど動かない。ですから、8月に各社の四半期決算が発表され、衝撃的な数字が明らかになると、大手企業は『予算を絞ろう』となります。その結果、9月が経済の底になる。年末には資金繰りに困る中小企業が山ほど出てくるでしょう」

そう語るのは、黒川敦彦氏(41)だ。

黒川氏は大阪大学卒業後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究員として大学発ベンチャーの支援事業に取り組み、その後は複数のベンチャー企業の経営や投資、コンサル事業に携わってきた。現在は政治団体『オリーブの木』代表を務める。その黒川氏が3月に上梓した『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』は3万部を突破した。

著書でまもなくリーマンショックの数十倍の金融恐慌が起こると警告する黒川氏は、コロナショックについてこう語る。

「都市封鎖を行ったドイツですら、通常生活に戻れるのは2021年になるとドイツ国内で指摘されています。日本だけが5月上旬から経済回復が始まるとは思えない。2年間は経済の停滞は終わらないでしょう。私の推定では、年平均で日本のGDP(約540兆円)は、約15%は下落します。つまり81兆円。この金額を補填しなければ倒産、失業が続出します。年収300万円で割れば、2700万人の生活が破綻することになります」

ソフトバンクは大丈夫か?

4月7日、安倍晋三政権は事業規模108兆円にも上る「緊急経済対策」を大々的に発表した。だが、黒川氏は「効果はほとんど期待できない」と一刀両断する。

「本当に必要な国民への給付分は、約10兆6308億円だけです。この中に『30万円現金支給』(約4兆円)や、中小企業向けの支援(2兆円強)が含まれています」

黒川氏によれば、今回の緊急経済対策には、新型コロナウイルス対策とは関係のない、「不急」の予算がいくつもあるという。

「まさに火事場泥棒ですよ。例えば『レアメタルの確保・備蓄』、『海外向け商談・プロモーション支援』なんて項目まであります。それらはいま緊急に必要でしょうか。大企業向けの資金繰り支援には45兆円が投入されますが、中小企業と個人事業者はバタバタと倒れることになります。資金力のある大企業はテレワークで仕事が回っている。しかし、実際に現場で働いているのは中小企業やフリーランスの方たちです。日本の経済力の著しい低下は避けられません」

大企業の中にも「瀕死」状態に陥る企業が出てくる。なかでも黒川氏は孫正義会長が率いる『ソフトバンクグループ』を挙げる。同グループが’17年5月に設立した10兆円規模の投資ファンド『ビジョン・ファンド』がアキレス腱になるのだという。同ファンドが巨額投資した代表的な銘柄が軒並み不調なうえに、コロナショックの影響をモロに受けているからだ。

「同ファンドは世界の主要都市でシェアオフィスを運営する『WeWork』に約1兆円を出資していましたが、’19年秋、同社にまつわるスキャンダルが次々明るみになり時価総額は10分の1程度に急落しました。にもかかわらず、孫氏は1兆円の追加支援を決断します。

ところが、コロナショックで需要は激減し、4月には一部のオフィスで家賃を払えず、多数が休業しています。約1080億円を投資したインドのベンチャー企業『OYO』はホテル業ですから当然厳しい。トラブル続きですでに約5000人をリストラしていましたが、さらに数千人を一時帰休にしています。

また、同ファンドが約8300億円を投入し、筆頭株主でもある配車アプリ『Uber』はいまウーバーイーツこそ好調ですが、これは売り上げの2割程度で、大都市が外出自粛のいま、本業は苦しい。同ファンドの先行きが危ないのは明らかです」

ソフトバンクグループは4月13日、’20年3月期の連結営業損益が1兆3500億円の赤字になる見込みだと発表した。

「同グループは19兆円の有利子負債を抱えていますが、時価総額およそ14兆円の中国の『アリババ』株を所有しているので、生き延びているという状況です。しかし、米国で金融危機が起きれば、いまや『投資会社』となったソフトバンクは解体されて、切り売りされることになると思います」

その金融危機まで残された時間はさほど長くない。

「米国では4月中旬までの1ヵ月で新規の失業保険申請が2200万件を超える見込みです。FRBは3月中に総額235兆円の金融緩和を決め、4月9日に250兆円の経済対策を発表しています。実質GDP成長率は横ばいなので、市場には行き場のないおカネが溢(あふ)れることになります。

私はどう長く見てもあと3年で米国の金融バブルは本格的な崩壊を始めると考えています。そうすると日本で何が起こるか? 年金基金やゆうちょ銀行をはじめ、日本は米国の金融商品に対して大量に投資をしていますので、老後の資産は吹き飛んでしまうでしょう。私たちにいまできることは、緊急事態宣言をきっかけに、自分の生活を見直しながら、少しずつリスク分散をして備えていくことしかありません」

コロナショックはこれから始まる世界大恐慌の引き金に過ぎない――。

『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』 をネット書店で購入する。

ソフトバンクの孫会長が肝入りで設立した投資ファンドはいま大苦戦を強いられている
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安倍首相は緊急事態宣言と同時に緊急経済対策を発表したが、あてになりそうもない
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『FRIDAY』2020年5月1日号より

  • 撮影濱﨑慎治(1枚目)結束武郎(3枚目)

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