人気声優・高野麻里佳が語る「私の異端な声優人生」 | FRIDAYデジタル

人気声優・高野麻里佳が語る「私の異端な声優人生」

スペシャル撮り下ろし付きのロングインタビュー

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7月クールのレギュラーはなんと9本。『ウマ娘』サイレンススズカ役などで注目を集める。(撮影:Takeo Dec.)
7月クールのレギュラーはなんと9本。『ウマ娘』サイレンススズカ役などで注目を集める。(撮影:Takeo Dec.)

『鬼滅の刃』の歴史的な大ヒットに『エヴァンゲリオン』の完結と、最近ではアニメの話題がニュースやワイドショーで取り上げられることも珍しくなくなった。

脚光を浴びているのは人気キャラクターを演じる声優たちも同様。様々なテレビやネット番組へ顔出しの出演が増え、さらには子どもたちの『なりたい職業ランキング』でも上位に位置している。

現在は何度目かの声優ブームが到来しているといって間違いないだろう。

「昨日もオーディションのための音撮りやラジオ収録など、ありがたいことに4本、現場がありました」

そう話す高野麻里佳(こうの・まりか)も多忙を極める人気声優のひとり。

7月クールだけでもアニメ6本、ナレーションで3番組に出演し、7月14日にはソロアーティストとして2ndシングルの『New story』をリリースしている。

文字通りの売れっ子。しかし、話を聞くと意外な言葉が返ってきた。

「ありがたいことに様々な仕事をさせていただいています。ただ、『人生は一筋縄ではいかないな』という気持ちも同時に感じ続けていて」

”顔出し出演”への迷いがあった

高野が声優を志すための原体験となったのは、アニメでもゲームでもなく”絵本”だった。

「小学校低学年の時、絵本作品を音読するという宿題がありました。そこで読んだのが『きつねのおきゃくさま』という物語。ズル賢いキツネが、エサにしようとしたウサギやヒヨコと一緒に過ごすうちに情が移っていって……というお話です。

これを私が感情を込めて音読していたら、聞いていた母に『まり、上手だね』って褒められたことがあって。それがずっと強く印象に残り続けていました。

そしていざ将来のことを見据えて進路を選ぼうとした時に、”声で物語を伝えていく”声優という道がいいなと思ったんです」

中学を卒業すると代々木アニメーション学院の高等部に入学。その後は養成所を経て声優事務所に所属し、2014年に正式にデビューとなった。

デビューしてからはほぼ途切れることなくアニメ作品に出演。2015年には出演した作品のユニットをもとにした、リアルの声優ユニット『イヤホンズ』を結成、東名阪のライブツアーも実施するほどの人気を獲得する。

まさに順風満帆のキャリアに見える。だが高野のなかには葛藤が生まれていた。

「おこがましい言い方ですけど、アニメで声の出演よりも、番組や雑誌、そしてライブといった顔だしの出演のほうが多くなりつつある状況に迷いがあったんです。

声優なのに歌うんだとか、声優がオモテに出るんだっていうところに違和感を持つファンの方たちも多いだろうなって。

始めからデビューして5年目がひとつの節目だと思っていました。それが2019年のこと。いわゆる”新人声優”というくくりではなくなったという自覚もあったし、新人としてやるべきことはやり尽くしたという気持ちがありました」

揺れる声優という職業への思い。そんな高野の心を動かしたのは家族の一言だった。

「久しぶりに会った妹とご飯を食べているときに、仕事や将来の話になって。私が抱えていた不安を吐露すると、妹が、

『(声優の仕事は)ゼッタイ天職だから。応援してる』

って言ってくれたんです。

慰めるとかそういう感じではなく、ただ素直にいまの私を肯定してくれて。揺らいでいた自分に少しだけ自信が持てた気がしたんです」

”スター声優”ではないからこそ

時を同じくして、高野は事務所を移籍。新天地は、『ドラゴンボール』孫悟空役の野沢雅子や、『機動戦士ガンダム』アムロ=レイ役の古谷徹らを擁する業界最大手の青二プロダクションだった。

「関わる人が変わると見える景色も全然違って。事務所ごとに長所はそれぞれだと思うのですが、青二ではナレーションもやらせてもらえるようになったのが大きかったと思います。自分のやるべきことが広がった感じがしました」

妹の言葉と環境の変化。

自然と歌や撮影といった仕事に対しても前向きにとらえられるようになったという。

「家族も含めて、やっぱり応援してくださる皆さんのおかげですよね。

いまも心のどこかにはアニメ作品以外の仕事をすることに対する不安はあります。だけど、私が大切にしたいのは私の様々な活躍を喜んでくれる人。

だからソロアーティストとしての活動をはじめ、広い範囲で仕事をすることに踏み切ってすごく良かったなと感じています」

最後に、「いまの自分はどんな声優なのか」と尋ねてみた。

「なんでしょうね……。”異端”、だと思います。

うまくいっているようにみえているかもしれませんが、実際は子どもたちが憧れているようなスター声優とはちょっと違うんじゃないかなって。

私の場合はアニメの主役で一気にスター声優に、ということではなく、アニメもナレーションも番組も雑誌もと、様々なことをたくさん積み重ねていまがあるので。

でもだからこそ、多くの人が思い描いている声優像と違う声優人生が歩めている。いまではそんな自分自身のこれからが楽しみだったりしますね。

だからもう、新人声優のごとく、いただけるものは誰よりも全力で!という意気込みでやらせていただいています」

profile
高野麻里佳(こうの・まりか)
2月22日生まれ。東京都出身。
2014年に声優デビュー。代表作は『ウマ娘 プリティーダービー』(サイレンススズカ)、『Re:ゼロから始める異世界生活』(ペトラ・レイテ)など。
現在、ソロアーティストとしての2ndシングル『New story』(日本コロムビア)が好評発売中。同曲はTVアニメ『精霊幻想記』(テレビ東京・毎週月曜日深夜2時00分〜、BSフジ・毎週火曜日深夜0時30分〜)のオープニングテーマとしても放送されている。
最新情報はツイッター(@marika_0222)まで。

  • 撮影Takeo Dec.スタイリスト後藤仁子ヘア&メイク宮本博子

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