『#年収200万円』が一過性の話題ではなくなる日本の“深刻度” | FRIDAYデジタル

『#年収200万円』が一過性の話題ではなくなる日本の“深刻度”

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《#年収200万円》がトレンドになるなど、日本の労働者賃金は30年間ほとんど上がっていない
《#年収200万円》がトレンドになるなど、日本の労働者賃金は30年間ほとんど上がっていない

先日「#年収200万円」がツイッターでトレンド入りし大いに物議を醸した。

きっかけは6月7日に発売された『年収200万円で豊かに暮らす』(宝島社)の画像をツイッターユーザーに取り上げられ

《色々と地獄を感じた、これを見た時》

と書き込んだからだ。

家計再生コンサルタントの横山光昭氏が監修しているのだが、実際内容を見てみると、特に年収200万円を際立たせているわけではなく、節約術などを紹介しているにすぎなかった。キャッチーに“年収200万円”というワードを立たせたのだろうが、宣伝効果としては抜群だったようだ。

「国税庁が出している、令和2年分の民間給与実態統計調査を見てみると平均給与は433万円(給与所得者数5,245万人で調査)なっていますが、これはあくまでも平均値。

しかも、その平均値でさえ、人口が日本の半分以下である韓国に負けているのです。今や“安い労働力ニッポン”に成り下がっていると言ってもいいでしょうね」(経済ジャーナリスト)

平均年収の最も多いボリュームゾーンは年収300万円台。その次に多いのが年収200万円台なのだ。

そして200万円に満たない人口は合計1165万人で給与所得者全体の22.2%にもおよぶ。これでは年収400万円あれば、勝ち組の一員と胸を張っていいのではないだろうか。

「消費税が上がるにつれ実質賃金は下がり続けています。要するに税金を払うだけ払って恩恵がないため、手元の金が単純に減っているということ。消費税は生活が苦しかろうが借金をしていようが、国民全員が払うものです。

消費税は表向きすべて社会保障に使われることになっていますが、一向に国民に返ってきていない。本当に全額が社会保障費に充てられているか不透明なんです。ヨーロッパのように消費税が高い分、医療や介護、教育費の完全に無料化などが行われていれば、生活費が楽になるのですが、日本はそうではない。ついには年収200万円の時代になりつつありますね」(同・経済ジャーナリスト)

デンマークでは高額な手術でも、海外で高額手術まで国の負担で無料だという。EU圏内では消費税25%以上の国が多くあるが、食品や医薬品などは消費税0%など工夫されている。

世界幸福度ランキング(‘19~‘21年)では、フィンランドなど北欧がトップ10に5ヵ国入っている。日本は54位と先進国とは思えない順位だ。

「‘03年小泉政権の時代、労働者派遣法改正でそれまで禁止だった製造業および医療業務への派遣が解禁されました。専門的26業種は派遣期間が3年から無制限にされることにより、派遣社員が爆発的に増加。

竹中平蔵さんが会長を務める『パソナ』のような大手派遣会社が莫大な利益を上げ、国民は安い労働力でなんの将来の保証もなく“ドライな関係”で働くことになりました。これも平均年収を大きく下げた一因と考えられますね」(全国紙記者)

そして外国人技能実習生という日本の企業で技術や知識を習得し、その技能は帰国後に母国の経済発展に活かすというためにできた制度を日本は著しく悪用し、なんの技術もいらないような単純労働にこの技能実習生を超低賃金で使いまくっている実態がある。技能実習生はコロナ前までは爆発的に国内で増加傾向にあった。

こうなると最低賃金を保証しなければならない日本人の労働力は不要になってくる。高収入で雇ってくれる企業はどんどんと少なくなる。いわば“就職のパイ”は途上国の外国人に奪われているのだ。

“年収200万円”を一過性のトレンドワードと嘲笑ってはいけない時代がすぐそこまで来ているのかもしれない…。

  • 写真つのだよしお/アフロ

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