統一教会問題 泉谷しげるは称賛も太田光は”理解されない”ワケ
対照的なトークだった――。
山上徹也容疑者の安倍晋三元総理銃撃事件により、一気に世に放たれた感のある“旧統一教会問題”。芸能人や文化人も情報番組などでこの問題に触れるケースが多いが、8月14日放送の情報番組で2人の大物芸能人がそれぞれ異なる見解を披露し、話題となっている。
1人はシンガーソングライターの泉谷しげるだ。
フジテレビ系『ワイドナショー』に出演。岸田文雄首相は旧統一教会と関係があった7人の閣僚を交代させたものの、改造内閣では新たに7人の閣僚と教団との関係が明らかになった。これに泉谷は
「こいつらバカなんじゃないか。ボスが殺されたんだから、悔しさをなぜ出さないのか。トップが殺されて、関わった人間を外して済む話じゃない。困った人がいっぱい出ているんだから」
と持論を展開した。
さらに過熱する旧統一教会報道に対し、社会学者の古市憲寿氏が
「あまりヒートアップすると山上容疑者のもくろみ通りになってしまう」
とテレビで語ったことに対し
「なに言ってんだコイツ。わけわかんねえな」
とバッサリ。泉谷は
「ヒートアップしたほうがいいのよ。しないとだめよ。今回は騒ぐべきだ」
と力説した。
今回は騒ぐべき――。泉谷の主張にはネット上で
《たしかに今騒がずにいつ騒ぐのか》
《騒ぐことで抑止力にもなる》
など共感の声が多数寄せられた。
そんな泉谷と比べられるのが、ワイドナショーの真裏で放送されているTBS系『サンデージャポン』の爆笑問題・太田光だ。太田は7月31日放送回での、以下の発言が物議を醸していた。
「テロをきっかけにしてこの問題を考えようってなってるけど、本来は実力行使はダメなんだっていうことをやってきたのが、弁護士会の人たちだし、(鈴木)エイトさんだし。言葉でやってきたのを山上容疑者は実力行使でエイトさんや弁護士会の人たちの今までの30年以上の行動を踏みにじった。あいつがやったことをきっかけにしていいのか」
「このきっかけがテロであったということを、マスコミはもうちょっと自覚しないと。要するにテロが効果的だっていう風に、おそらく今潜在的に社会に不満を持っている人たちはこの動きを見てますよ」
前出の古市氏にも通ずる理論だが、ネット上では太田の発言は「論点のすり替えだ」と批判を浴びた。これを受け、当人は14日の放送で真意を説明。
「これで議論をやめるべきだと言ったわけじゃなくて、弁護士の人たちがすごい葛藤があるんじゃないかと。これは僕の推測ですけども、暴力がきっかけになって、できればそう(暴力)じゃないほうが良かったわけじゃないですか」
「マスコミとかテレビは、迷いなしでやっている気がする。追及するのと同時に、山上容疑者の行為は決して効果的じゃないっていうのも同時に同じ熱量で伝えないといけない」
と訴えた。
太田は14日放送のTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』の中でも
「宗教と政治、あるいは宗教の中でもカルトと一般の宗教。我々もなかなか今まで考える機会がなかった。どこをどう分ければいいのか」
「根本から宗教とは何かを、歴史的なことも全部踏まえて考えないと。何か一概に白黒とは言えない」
と主張したが、いつになく歯切れが悪かった。
太田は歯に衣着せぬ発言で知られるが、実は素顔は驚くほど真面目な男で知られる。爆笑問題を知る芸能プロ関係者は
「クセがあるのは相方の田中裕二さんのほう。取材でも太田さんはインタビュー相手が何を求めているか考え、使えるコメントを瞬時に残してくれる。
田中さんのほうは当日のゴキゲンによりますね(笑)。旧統一教会問題も太田さんは真剣に考え、真剣に勉強して…それでドツボにハマってしまったのだと思う」
と明かす。
先日の参院選特番でも、太田は前回衆院選で過激言動が批判を浴びたことでシフトチェンジ。毒舌ぶりは鳴りを潜め、各党候補者と政治に関して割とストレートに議論した。
「あれこそ太田さんの性格が出ている。こっちがダメなら、あっちはどうかと試したというか。真面目なんですよね」(同・芸能プロ関係者)
国民の多くは、山上容疑者の蛮行はともかく、動機となった旧統一教会の異常な体質に驚き、さらに最大与党の自民党に深く入り込んでいることに、ショックを受けた。そこからある種の危機感が芽生え、現在の旧統一教会バッシングに繋がっている部分がある。
泉谷はその辺りをストレートに表現した。太田は情報番組のMCとして、どのポジションを取るか。他と同じでも面白くないし、かといって突拍子のないスタンスでもまずい。
番組として公平性も担保しなければならない。いちコメンテーターの泉谷とは立場が違う。試行錯誤の末に今回の立ち位置を決めたのだろうが、予想外の逆風に本人が一番面食らっているのではないだろうか…。
写真:Pasya/アフロ