「私はりりちゃんとは違うと思ってた」 歌舞伎町の頂き女子たちが歩む「りりちゃんの轍(わだち)」 | FRIDAYデジタル

「私はりりちゃんとは違うと思ってた」 歌舞伎町の頂き女子たちが歩む「りりちゃんの轍(わだち)」

慶應卒ホス狂いライターが描くぴえんなリアル 令和6年、歌舞伎町はいま……第92回

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“おぢ”から頂いたカネはホストに消える。なんとも虚しい歌舞伎町経済の循環だ
“おぢ”から頂いたカネはホストに消える。なんとも虚しい歌舞伎町経済の循環だ

4月22日、「頂き女子りりちゃん」の判決が下された。検察側からは懲役13年、罰金1200万円が求刑されていたが、名古屋地裁が出した判決は懲役9年、罰金800万円だった。

りりちゃんこと渡邊真衣被告(25)は男性3人から合わせて1億5500万円以上を騙(だま)し取った詐欺罪、そうした″おぢ″から金銭を騙し取るためのテクニックをマニュアル化し販売、金銭を得ていた「詐欺幇助(ほうじょ)」の罪、そして所得税約4000万円を免れた所得税法違反の罪に問われている。

今回の求刑を受けて歌舞伎町では賛否が巻き起こり、「国会議員が脱税で罪を被らないのにりりちゃんだけ罪が重すぎる! おぢの差し金だ!」という声も挙がっているが……。

「私はギリギリ色恋じゃない。だから、りりちゃんとは違うと思ってました」

そう語るパパ活女子のアヤネ(仮名・22)は、りりちゃんのマニュアルこそ読んでいないが、同じような手段を用いておぢから金銭を得ていたという。

「りりちゃんと似通ってるな、と思ったことはありました。私たちって基本『設定』を作るんですよ。だって男からしたら好きな相手が整形とかハイブラとか、ホストに狂っていたら嫌じゃないですか。それでお金使ってくれるならいいけどそうじゃない。だから『設定』を作る。

りりちゃんは親と縁を切るために800万円必要、って言ってましたけど、私も同じような設定を使っていた。親に風俗をやっていることがバレて、妹に言われたくなかったらカネ払えって脅されてることにしてました。助けたい、それで一緒にいたいっておじさんが多いんですよね」

アヤネは色恋をしないという。

「色恋でお金を引っ張るのは簡単なんですよ。でもそうではなくて、肉体関係や交際関係がなくてもアヤネちゃんが幸せならいい、生きていたらいいっていうフェーズに持ち込むことが大事で。そこまで到達すれば無限にお金を引っ張れるんで。色恋は逆恨みなどのリスクがあるのでやらないですね」

独特の手法で月に300万〜500万円を稼ぎ出していたアヤネ。その稼ぎのほとんどをホストとハイブランドに費やしていた。

「お金がなさそう、困ってる子って設定だとハイブランドを買うことに小言を言われる。だから私は最初っからハイブランドが好きっていう設定にしてました。出会った最初から『これ次欲しいんだよね』みたいに見せるようにしていて。それで抵抗ある人は来なくなるし、受け入れてくれる人はお金使ってくれるし」

出会って3回目の風俗の顧客がいきなり500万円を振り込んできたことがあるというアヤネ。なぜ振り込んでくれたのか? と聞くと「なんでだろ、運が良かったですね」とあっけらかんと答えた。

″おぢ″たちから高額を引っ張る女子たちは、″頂き″行為そのものに依存していることが多い。

「騙せるかわからないギリギリの言いわけとか設定を作って、メッセージが返ってきたら、会って札束をもらう。下手なパチンコより絶対気持ちがいいんです。その場を乗り切ってしまえば、今までの焦りとか罪悪感とかが吹き飛ぶ。ホストでお金を使う瞬間と、おぢからお金を引く瞬間に、生きてるって思いますね」

りりちゃんを皮切りに問題となった頂き女子。詐欺行為をライトに表現した言葉だが、その裏には高額を「引っ張る」という行為そのものへの依存性もあるのかもしれない。今後の事件の余波が気になるところである。

『FRIDAY』2024年5月10・17日合併号より

  • PHOTO佐々木チワワ

    ’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。卒業後はライターとして活動。本連載をまとめた新刊『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』(講談社)が好評発売中!

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