『FF7』はこうしてゲーム業界に「革命」を起こした | FRIDAYデジタル

『FF7』はこうしてゲーム業界に「革命」を起こした

『ファイナルファンタジーVII リメイク』は再び未来を見せてくれるのか

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』体験版より
画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』体験版より

ついに本日4月10日にPlayStation 4で『ファイナルファンタジーVII リメイク』が発売された。いまやゲーム業界でも過去の名作がリメイクされることはなんら珍しくないが、この作品に関しては例外だ。ゲーム好きにとっては待ちに待ったリメイクであり、普段ゲームを遊ばない人もこればかりは興味を持つというほどの一作だ。

原作となるのは、1997年にPlayStationで発売された『ファイナルファンタジーVII』(FF7)である。日本国内では400万本以上の売り上げを記録しており、遊んだ人もかなり多いはず。そしてこの作品がとても衝撃的だったからこそ、多くの人がリメイクされるこの時を待ち望んでいたのだ。改めて、本作がどうすごかったのか振り返ろう。

全編3Dグラフィックの衝撃

画像はプレイステーション オフィシャルサイトより
画像はプレイステーション オフィシャルサイトより
主人公のクラウド・ストライフ。画像は『ファイナルファンタジーVII インターナショナル for PC』より
主人公のクラウド・ストライフ。画像は『ファイナルファンタジーVII インターナショナル for PC』より

1994年にはPlayStationが発売され、この新たなゲーム機に作る側も遊ぶ側も注目していた。ゲームでも3Dグラフィックが使われるようになり、いろいろな可能性が模索されていたのである。それこそ挑戦的すぎる作品もあったし、従来のゲームの枠にとらわれないものもあった。

そしてもちろん、『ファイナルファンタジー』シリーズのような人気作品もこの波に乗る必要があったわけだ。このころの『ファイナルファンタジー』シリーズは特にグラフィックとシナリオに力を入れており、たとえば前作となる『FF6』は迫力あるドット絵でオペラのシーンや強大なボスなどを描いていた。

となれば、3Dグラフィックを使ってさらなる可能性を切り開くというのは容易に想像がつく。しかしそれを達成するのは簡単なことではない。たとえばソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)から1996年11月に発売された『アークザラッドII』というRPGは、3Dグラフィックは用いられていたもののごく一部のムービーのみであったし、映像の内容もシンプルなものだった。

そんな最中の1997年1月31日、『FF7』が発売された。本作では巨大な商業都市「ミッドガル」はもちろん、各キャラクターもモンスターも全編3Dグラフィックで描かれていた。ストーリーの要所にはムービーが挟まれるし、戦闘中に呼び出せる召喚獣もインパクトが非常に大きかったのである。

『FF7』はおもしろいだけでなく、しかも時代の最先端にいることを見せつけたのだ。ゲーム機が変化を遂げつつあるタイミングでこの作品を遊べた人は、とてつもなくワクワクしただろう。

リメイク版のクラウド・ストライフ。画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』体験版より
リメイク版のクラウド・ストライフ。画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』体験版より

「イキった厨二病」心をくすぐる

もちろん『FF7』はその内容も魅力的だ。特に印象的なのは主人公の「クラウド」。仲間に話題を振られても「興味ないね」などと返す、いまで言う「イキった厨二病」なのだが、そもそも発売当時には「イキる」だとか「厨二病」なんて言葉もなかったのである。

しかも本作のストーリーは、そんなクセのある人物が冒険を通じて徐々に素直になっていき、仲間に受け入れられていくという成長譚でもあった。クラウドのクールさ、内に秘められた弱さと勇気に影響を受けた思春期の子供たちも多かっただろう。

ヒロインのエアリス・ゲインズブール。画像は『ファイナルファンタジーVII インターナショナル for PC』より
ヒロインのエアリス・ゲインズブール。画像は『ファイナルファンタジーVII インターナショナル for PC』より

また、ヒロインである「エアリス」がストーリーの途中で死ぬ、というのもインパクトの大きい出来事であった。それまでのゲームにも「キャラクターの死」は存在したが、『FF7』の場合はメインヒロインなのに唐突にいなくなるうえ、3Dグラフィックで描かれたため衝撃も倍以上になったのだ。

インターネットがまだそこまで一般的でないこの時代、「“すいちゅうこきゅう”のマテリアがあればエアリスを生き返らせることができる」なんて根も葉もない噂が流れた。だが、彼女の死は誰にも覆すことができず、ただ記憶に強く刻まれたのだ。

このほかにも『FF7』にはRPGとして必要な要素が揃っている。わかりやすく悩みがいのある「マテリア」システム、スノボーやチョコボレースなど多くのミニゲーム、ナイツオブラウンドやヒュージマテリアといったやりこみ要素など。ユーザーがRPGに求めているものが一通り揃っていて、しかも時宜を得たのだから人気を獲得するのも当然だろう。

画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』体験版より
画像は『ファイナルファンタジーVII リメイク』体験版より

『FF7』はゲームの未来を見せてくれたゲームである。当時のスクウェア(現:スクウェア・エニックス)はコンビニでゲームを販売するなど新たな可能性を模索しており、そこで『FF7』が売られていたのも象徴的だろう。

『FF7 リメイク』は分作で展開され、2020年4月10日に発売される第一作目ではミッドガル脱出までの物語が収録されている。続きも現在制作中とのことで、リメイクなのにとてつもなく大規模な作品となりそうだ。

今回のリメイクは過去の思い出を美しく描くのみならず、新たな未来を見せてくれるだろうか。多くのファンが期待を寄せている。

  • 渡邉卓也

    フリーランスのゲームライター。ウェブメディアを中心にゲーム関連のニュース・コラム・評論などを執筆。好きなゲームキャラクターは「しずえ」と「カービィ」。Twitter:@SSSSSDM

Photo Gallery6

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事