牛丼戦争・吉野家が「11ヵ月連続売上増」で独走の理由

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都内にある「吉野家」。撮影したのは昼時を過ぎた午後2時ごろだったが店内はほぼ満員だった

若者やビジネスマンが行きかう日本有数の繁華街、渋谷。駅から歩いて10分圏内に、牛丼チェーンが10店舗ほどある“牛丼激戦区”でもある。昼時ともなれば各店ともスグに満席になり、店の外には列が。中でも人気なのが、「吉野家」「松屋」「すき家」の牛丼チェーン“御三家”だ――。

三大チェーンとして何かと比較される3社だが、それぞれ業態や客層が微妙に違う。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が解説する。

「『吉野家』の店舗の多くは、繁華街の駅近くにあります。牛丼中心のメニューで、主なターゲットは独身サラリーマンです。『すき家』は郊外にも展開していて、ファミリー層を取り込んでいる。『松屋』は両社の中間にあるイメージでしょうか。都心にありますが、カレーやうどんなどサイドメニューも豊富で、牛丼店というより定食屋のようなラインナップです」

3社の業績はいずれも好調だ。’20年1月の前年同月比の売上は、以下の通り(左から売上高、客数、客単価)。

吉野家 9.5%増 6.2%増 3.1%増
松屋  6.4%増 3.4%増 2.9%増
すき家 1.9%増 0.9%増 1.0%増

中でも「吉野家」は、11ヵ月連続売上増と絶好調。’20年2月期通期の業績見通しは、売上高が前期比6%増の2150億円、営業利益は実に同35倍の36億円なのだ。前出の松崎氏が続ける。

「サラリーマンが帰宅途中に、牛丼を食べながら酒を楽しめる“一人飲み”の場としても人気を得ています。焼酎や日本酒、ハイボールなどアルコールメニューが豊富なんです。さまざまな新規企画にも取り組んでいます。昨年3月には常連客に多い高齢者のために、並の4分の3サイズの『小盛』を導入。

5月にはパーソナルジム『RIZAP』と共同開発した米抜き牛丼『ライザップ牛サラダ』を発売し、健康的な要素を出すことで、女性客の獲得にも成功しています。12月に販売した『ポケットモンスター』とのコラボ商品『ポケ盛牛ドンセット』は、品切れ店が続出。積極的な商品戦略が功を奏しているんです」

独走状態の「吉野屋」と、他の2社にはどんな違いがあるのだろうか。

「大きく二つあります。一つは牛丼に対するこだわりです。『吉野家』には価格を抑えるため肉の質を下げ、’80年に会社更生法の適用を申請し倒産した苦い過去があります。以来、質にこだわり米国産の牛肉を使い続けている。いつ行っても、美味しい牛丼が食べられるという安心感があるんです。

『松屋』や『すき家』は違います。どちらかといえばサイドメニューに力を注ぐ傾向がある。価格を抑えるため、牛肉は一時期オーストラリア産を採用していました。

二つ目は人件費です。『吉野家』は店の大半がカウンターだけのため、スタッフの数は少なくてすむ。他の2社はファミリーも視野に入れているため、店舗が広くテーブル席もあります。おのずとスタッフの数も多くなり、そのぶん人経費がかかっているんです。コストの多寡も、『吉野家』に有利に働いていると言えるでしょう」(松崎氏)

新型コロナウイルスの蔓延でも、客足が遠のかない牛丼チェーン店。まだまだ激しい競争は続きそうだ。

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