恋つづ、テセウス、シロクロ、トップナイフ 快進撃ドラマ徹底分析

若い女性視聴者を魅了した20年冬ドラマ 最後に笑うのはどれか?

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この日は早朝から寒風吹きすさぶ中でドラマ『テセウスの船』の撮影。竹内涼真は運送会社の従業員らしく作業着姿だった

2020年冬クールも終盤、今期は若年女性を魅了するドラマがいくつか際立った。

FT(女性13~19歳)でもF1(女性20~34歳)でもトップだったのは、清野菜名×横浜流星W主演の『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(以下、シロクロパンダ 日本テレビ)。

世帯視聴率二桁と好調で、かつFTもF1も好成績だったのは、天海祐希主演『トップナイフ-天才外科医の条件-』(以下、トップナイフ 日本テレビ)、上白石萌音×佐藤健W主演の『恋はつづくよどこまでも』(以下、恋つづ TBS)、竹内涼真主演『テセウスの船』(以下、テセウス TBS)。

若年女性を魅了したドラマ4強の実力を振り返る。

世帯視聴率と若年女性の個人視聴率

20年冬 民放ドラマ14作品の「若年女性の個人視聴率」

冬クールの民放GP帯(夜7~11)ドラマ14本を比べると、世帯視聴率ではトップが水谷豊主演『相棒』(テレビ朝日)の14.4%(1月15日の12話から3月4日の18話までの平均)。2位は『テセウス』11.9%。3位『トップナイフ』。4位『恋つづ』と並んだ(以上、ビデオリサーチ関東地区の3月5日までの数字)。

ところが若年女性の個人視聴率では、世帯と序列が大きく変わる

FTでは『シロクロパンダ』が5.8%で首位。2位は5.5%の『トップナイフ』。3位『恋つづ』5.2%。4位『テセウス』5.0%と続く。この層の平均は2.6%しかないので、倍以上をとる4強が如何に突出しているかがわかる。ちなみにワースト3は1%未満ゆえ、FTの好き嫌いはかなり極端に振れるようだ(個人視聴率はスイッチ・メディア・ラボの3月5日までの数字)。

これがF1となると、やや様子が変わる。

首位は5.3%で『シロクロパンダ』のまま。ところが2位は4.8%の『テセウスの船』が2つ序列を上げ、3位は吉高由里子主演『知らなくていいコト』(日本テレビ)が4.4%で割り込む。そして『恋つづ』が4.4%で4位。平均は2.9%なので、F1では全体の幅がやや小さくなる。

では、FTとF1を総合すると、序列はどうなるだろうか。

首位は『シロクロパンダ』のまま。世帯は14本の平均以下だったので、中高年と若年層で最も評価が割れた作品だったと言える。2位は『テセウス』、3位『トップナイフ』、4位『恋つづ』と続いた。2位以下の3本は、中高年も若年女性も評価が高い作品だったと言えそうだ。

ちなみに世帯でトップの『相棒』は、FTもF1も平均を大きく下回る。

実はテレビ朝日の他2本(沢口靖子主演『科捜研の女』・桐谷健太×東出昌大W主演『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』)も、世帯は二桁だが、若年女子は平均に届かない。テレ朝ドラマは今期も、中高年に特化した作品になった。

若年男性の見方

20年冬 民放ドラマ14作品の「若年男性の個人視聴率」

ここに若年男性を加えて分析すると、またも様相が変わる。

MT(男性13~19歳)では、4.3%で『テセウス』がトップ。2位は3.9%で『シロクロパンダ』。『トップナイフ』は3.1%で3位に入ったが、若年女性で強かった『恋つづ』は、MTでは平均以下に沈んでしまった。

どうやらMTは、『恋つづ』や『知らなくてもいいコト』のような女性主人公で、恋愛がらみには反応しないが、若いイケメンが主役をやる推理ものには敏感なようだ。FTと似て、好き嫌いがはっきりしている層と言えそうだ。

M1(男性20~34歳)では、トップは4.4%の『シロクロパンダ』、2位3.4%の『トップナイフ』、3位3.4%『テセウス』と続いた。ところが4位には、F1と同様に、3.1%『知らなくてもいいコト』が割り込んだ。そして『恋つづ』は、MTと同じように平均ゾーンに沈んでしまった。

MTとM1の総合でも、『シロクロパンダ』『テセウス』がワンツーで、『恋つづ』は上位に名を連ねない。どうやら若年男性は、サスペンスには興味を示すが、恋愛ドラマには反応しないことが、今期でも確認できる。

最終回への展望

では、若年層に強いドラマは、最終回に向けどう見られるだろうか。

『恋つづ』『テセウス』『シロクロパンダ』 若年層個人視聴率の推移 ~序盤と直近での変化~

若年の男女を総合すると、最も見られているのは『シロクロパンダ』。次が『テセウス』。そして『トップナイフ』『恋つづ』と並ぶ。

これらを序盤から後半にかけての勢いという視点でみると、『シロクロパンダ』には伸びしろが感じられない。中高年は初めからあまり見ていない。若年層は最初からよく見ていたが、FT・F1・MT・M1のいずれの層も、次第に数字を減らしてきている。

事件の真相が次々に明らかになっていく手法は、去年『あなたの番です』で考察がネット上で賑わったように、今回も似た展開をしている。ところが若年層では、その勢いがそれほどでもない。どうやら最終回で跳ねる可能性は大きくないようだ。

実は『トップナイフ』も似ている。

若年層も中高年も獲っているので、世帯視聴率は好調だ。ところが若年層は4層のいずれもじり貧だ。やはり最終回で大きく上昇することは、あまり期待できそうもない。

一方『テセウスの船』と『恋つづ』は、勢いが違う。

『テセウスの船』は、日テレのお株を奪うように考察がネット上で賑わった。それに反応するように、FTが大きく跳ねて来た。MTも一定の伸びを示している。若年層は途中までタイムシフトで、自分の都合にあわせて視聴するが、最終回はリアルタイムで見ることが多い。その意味で、最後は20%の大台を狙える可能性があると言えよう。

最もダークホースなのは『恋つづ』だ。

典型的な少女漫画で恋愛ドラマの王道を行くため、あまり注目されないのではとみた人も多かった。ところが“ハグ&背中ポンポン” “治療キス”“バックハグ”など、想定外の“胸キュン”新バリエーションが飛び出し続け、FTやF1は急上昇してきた。恋愛モノだけにM1の反応は鈍いが、実はMTはジワジワ上がっている。しかもT層と一緒に見る親世代も上昇している。残り2話、こちらも展開次第で大化けする可能性があると言えそうだ。

以上が若年層の視聴動向だ。

『テセウス』については、春クールの『半沢直樹』前で期待があまり大きくなかった。恋愛モノゆえ『恋つづ』もそうだった。ところが蓋を開けてみると、新しいやり方や従来をちょっとひねった手法で、若年層の心をとらえるドラマが台頭している。

最終回に向け、どこまで化けるか期待したい。

  • 鈴木祐司

    (すずきゆうじ)メディア・アナリスト。1958年愛知県出身。NHKを経て、2014年より次世代メディア研究所代表。デジタル化が進む中で、メディアがどう変貌するかを取材・分析。著作には「放送十五講」(2011年、共著)、「メディアの将来を探る」(2014年、共著)。

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