『知らなくていいコト』には知っていたほうがいいコト満載だった | FRIDAYデジタル

『知らなくていいコト』には知っていたほうがいいコト満載だった

恋愛や仕事のヒントがぎっしり!

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
2017年、日本シリーズで始球式を行う吉高由里子。サウスポーなんですね
2017年、日本シリーズで始球式を行う吉高由里子。サウスポーなんですね

女性向けエッセイを出版してから、取材やコメントなどで女性からの人生相談がグッと増えた。酒場で受ける人生相談と違って、冷静に答えることで己を振り返ることができるので、非常に楽しい。ちなみに相談内容は、ほぼ恋愛と仕事のことだ。

ん? この相談のヒントになるドラマがそろそろ最終話を迎えることに気づく。

それは吉高由里子主演『知らなくていいコト』(日本テレビ系・3月11日(水)最終回放送)。週刊誌の編集部を舞台に主人公の真壁ケイトが、事件や自分の過去に立ち向かうヒューマンドラマ。特に女性向けに作られてはいないと思うが、あの作品はぜひ悩める女性たちに紹介したい。

「ああ、なるほど」

と、合点がいくポイントがいくつかあるのだ。もうじき最終話でも大丈夫、我々にはオンデマンドという強い味方がある。何かと自宅にこもることを強いられる時期なので、この機会にぜひどうぞ(けっしてステマではありません)。

女の敵・真壁ケイトから学ぶ、真の女子力

初回放送を見て即座に思ったのが、

「(うわ〜、ケイトは手強い女だな……)」

である。女性の悩みに恋愛ができないとか、色気が足りない、出会いがないと“ないない尽くし”がある。これを分かりやすく解決しているのが、32ミリの太さのコテで髪の毛を巻いている港区女子だ。自分の社会的地位向上のために、ハイスペック男子を射止めようと女性たち。見た目も男性が好きそうな格好、容姿が見事に揃う。いや、揃えているのか。

ケイトはそんな港区女子とは、対峙する見た目である。情熱を注ぐ仕事もあって、カッコよさも備わっている。選ぶ服もあくまで自分の好きなもの、という雰囲気。でも母親譲りなのか、どこかに奔放さが漂っているのがよくわかる。これが吉高由里子という、こちらも自由の香りがふんだんにする女優さんが演じることで、さらに効果が上昇。断言するが、このタイプの女性は昔から恋愛が絶えない。仕事を懸命にこなす女性は恋愛にも懸命になれる。それが自信につながっている。

さらにケイトは恋愛をするシーンも選ばない。仕事が忙しくて出かけられないなら、手近な編集部で彼氏を見つける。自由ゆえに別れてもたいして気にせず、さっさと次のターゲットを手近に探すことができるのだ。職場に元カレが二人在籍しているとはなんとも天晴れ。

もしもあなたの前に、港区女子が恋のライバルとして立ちはだかった場合。彼女たちをぶちのめす手法なんていくらでもある。でもケイトのような、本当の女子力の塊には向かっていく武器が少ないのが現実だ。なら、悩める女性たちは敵に学べ、ということでケイトのような女性を目指すほうが、恋の幸せを勝ち得るのかもしれない。

余談だけれど、おそらくケイトの役に合わせた濃いめのブラウンシャドウが吉高に似合っていて、可愛かった。あれも色気演出のひとつなんだろうな。

岩谷編集長に見る、いい上司の見極め方

 

ただ年齢だけを重ねて偉いと思っている職場の上司というのは多い。この人種が撲滅するまでには、もう少し時間がかかると私は思っている。女性社員が辞職しようとする理由は、この上司問題の割合が大きい。

個人的にはこういう上司にぶち当たったら、退職したほうがいいと勧める。今は空前の人手不足で、次に自分が進むステージはたくさん用意されているのだから、自分の出し惜しみをするのはもったいないからだ。でも今の職場に落ち着きたいというなら、直属の上司が善悪どちらなのか見極める必要がある。

その“善”の要素を持つのが『週刊イースト』編集長の岩谷進(佐々木蔵之介)だ。

週刊誌の編集長だというプライドを、常に自分の周囲に張り巡らせている岩谷。部内で起こる問題はグレーにせず、白黒をつけている。“悪”の上司は、この白黒づけを嫌がるパターンが多い。中間管理職として曖昧にしておくほうが、上にも下にもよく見られて都合がいいからだ。

でも部下が求めるものは、いつだってはっきりした答え。ケイト尾高由一郎(柄本佑)との不倫に悩んでいると、岩谷はこう言った。

「ケイトはケイトらしく、まっすぐ尾高を求めればいいさ。奥さんと、子どもに同情するなんておこがましいね。まずは自分が望む人生を手に入れることだ」

けっして不倫という不道徳な行為を肯定することはできない。でも不条理と分かっていながらも、部下のプリミティブな気持ちを尊重する岩谷は“善”だ。あなたの上司には岩谷の香りがするだろうか?

ケイトの周囲にはびこるダメ男2トップ、どちらが好み?

前出にもあるが、ケイトの元カレは2名とも編集部に属する。ひとりが家庭を持つ尾高由一郎。そして、父親が殺人犯の可能性があると知って逃げた野中春樹(重岡大毅・ジャニーズWEST)だ。どちらもいい感じにダメ男なのが面白い。

尾高はそもそも優しい。だからこそ、母親を失って寂しそうなケイトを放置しておけず、復縁して、離婚まで決めてしまう。ただこのタイプ、関係性をリセットすることが苦痛ではなさそうなので、おそらくまた同じこと=不倫を繰り返す可能性が高い。優しさの向こうには何かを秘めているものなのだ。

野中はクラスに一人はいるコンプレックスが強いタイプ。みんなと足並みを揃えたいからケイトにプロポーズをしたものの、殺人犯の娘かもしれないと分かれば拒絶。当て付けるように編集部内で新しい女を物色する。さらにケイトの秘密を他週刊誌に暴露して、行き場を失ってしまう。彼はダメを通り越して、クズ男。でももし、元カノが殺人犯の娘かもしれないという事実を知らなかったら、100%結婚していた。そして爆破しがちな性格であることを隠して共に生活をする。想像すると恐ろしい。

よく女性からダメ男を選んでしまうと悩みを聞くけれど、そういう男こそ上澄みの魅力が高いからつい溺れてしまう。それも見た目が輩ではなく、尾高野中のように一見は普通の人なので、避けにくい。いつかは踏んでしまう可能性がある。でももし踏むのなら、両者どちらのタイプなら対応できそうか? を考えておく材料がこの二人の役には詰まっている。

それにしても野中を演じた重岡大毅。ここ最近の出演作品を見ていて、いい感じに毒っぽさが出てきていたけど、この役で一気に頭ひとつ抜けたと思う。次に演じる作品を楽しみにしつつ、『知らなくていいコト』の最終話を見守りたい。きっとケイトは孤高の女性に戻って、そこでまた新しい恋をするんだろな。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 写真時事通信社

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事