『ドラゴン桜2』が続編でも成功を期待できるこれだけの理由

カギは長澤まさみと「四世代視聴」

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前作に続き桜木建二を演じる阿部寛/写真 アフロ

15年ぶりの続編、なぜいま?

東大合格発表日の3月10日、「今夏に『ドラゴン桜』(TBS系)続編の放送決定」が報じられ、ツイッターのトレンド1位を記録するなど大きな反響を集めた。

同作は2005年の夏に放送され、阿部寛演じる弁護士・桜木建二が落ちこぼれの生徒たちをわずか半年間で東大に合格させるまでの日々を描いた受験サクセスストーリー。オリジナリティあふれる勉強法と、山下智久、長澤まさみ、小池徹平、新垣結衣ら後のスターを集めた生徒役の人気もあって、最終話は視聴率20.3%(ビデオリサーチ、関東地区)を記録するヒット作となった。

今回の報道で人々を驚かせたのは、15年ぶりというブランクの長さ。「なぜ今、続編を放送するのか?」、ネット上にはさまざまな憶測が飛び交っている。その中には期待の声と同等程度に、「ドラマは続編モノばかりで新作が少ない」「あのころとは時代が違うから桜木のやり方は通用しないのでは?」「嫌でも前作と比べられるし、続編はたいてい質が落ちる」などの否定的な声も少なくない。

また、今夏は東京オリンピックの開催が重なり、視聴が分散しやすいほか、飛び飛びの放送になりかねないなど、連ドラには難しい時期であり不安は募る。TBSはなぜ局の看板枠である日曜劇場(日曜21時~)で、15年ぶりの続編ドラマを放送するのか。『ドラゴン桜2』の勝算と成功の鍵を占っていく。

「受験制度の変更」と「ITの進化」で前作とは別物に

『ドラゴン桜2』の勝算は意外なほど多い。最大の理由は、2018年から『モーニング』で連載されている漫画原作の内容がさまざまな不安を解消できるものであり、そのクオリティが前作同様に高いから。

まず前述した「ドラマは続編モノばかりで新作が少ない」という不安は、ほとんど問題ないはずだ。原作漫画の『ドラゴン桜2』は、時間が経過している分、前作の『ドラゴン桜』とは内容が大きく異なり、続編というより新作のような感覚で読める。

内容が異なる1つ目のポイントは、受験制度の変更。今年度いっぱいでセンター試験が廃止され、2020年度から大学共通テストに切り替わる変革期であり、「知識量の多さより知識の使い方や思考力・表現力を問う問題が多くなる」と言われ、新たな対策が求められている。

さらに2つ目のポイントは、ITの劇的な進化。アプリやSNSなどのツールが増え、年々使い勝手がよくなっているため、おのずと勉強法は変わっていく。『ドラゴン桜2』を見て「今はこんなツールがあるの?」と驚く視聴者は少なくないだろう。

また、『ドラゴン桜2』には桜木建二(阿部寛)に加えて、前作で東大合格を果たした水野直美(長澤まさみ)の出演が濃厚だが、他のキャラクターはほぼ一新されるはずだ。たとえばメインの生徒役には、仲よし家庭で育ったため怒られたことがなく努力するのが苦手な早瀬奈緒と、親から「ちゃんと考えてからやりなさい」と言われ続けて育ったためグズの天野晃一郎という、今どきの高校生を思わせるキャラクターが設定されている。

ドラマ化にあたってキャラクター設定の変更があるかもしれないが、新たな人物像であることに違いはなく、『ドラゴン桜2』の視聴者は新作を見ているような感覚になるのではないか。

四世代が見るべきドラマ

次に、「あのころとは時代が違うから桜木のやり方は通用しないのでは?」という不安に関しても、原作漫画は難なくクリアしていた。ネタバレになるためここでは書かないが、「バカとブスほど東大に行け!」「俺のやりかたに従え!」という桜木の口調こそ変わっていないが、勉強法は時代に合わせてアップデートされている。もっと言えば、原作漫画を読んだ限り、その勉強法には社会人にも使えそうなものが少なくない。

受験制度が変わる節目の年であり、アップデートされた勉強法が登場するだけに、当事者となる10代の学生と、40代の親にとっては「見るべきドラマ」となるだろう。加えて前作の放送時、10代だった学生は20~30代に、40代だった親は50~60代になるが、両者にとってなじみ深い作品だけに「気になるドラマ」であるはずだ。つまり、今夏の続編はタイムリーな10代と40代、親しみと懐かしさを感じる20~30代と50~60代を網羅した“四世代視聴”が期待できる。

また、前作がそうであったように、勉強以外のシーンもしっかり描くのが『ドラゴン桜』が名作と言われるゆえん。前作では、母子家庭で進学に不安を抱える水野直美(長澤まさみ)、不仲の父親を見返すために勉強をはじめた緒形英喜(小池徹平)、“現役東大生アイドル”の肩書きがほしい小林麻紀(サエコ)など、家庭環境や将来の夢などを丁寧に描くことでドラマ性を高めていた。

原作の『ドラゴン桜2』

それらの大半は原作漫画にない脚色だったため、『ドラゴン桜2』でも家庭環境や将来の夢を描く新たな脚色が予想されている。学生は親の干渉や不干渉を、親は子育ての難しさや楽しさに共感するシーンが多々見られるのではないか。

長澤まさみの続投が欠かせない理由

主演の阿部寛は、昨秋に『まだ結婚できない男』(カンテレ、フジテレビ系)の主人公・桑野信介を13年ぶりに演じて称賛を集めた。その実績が記憶に新しいだけに、15年ぶりに演じる桜木建二にも不安はなく、桑野同様に歳月の流れで変わったところと変わらないところを織り交ぜながら演じていくだろう。

問題は阿部寛以外のキャストになる。まだ発表されていないものの原作漫画のメインキャストは桜木建二と水野直美であり、二人で低迷期に入った龍山高校を再生させていく。それだけに長澤まさみの続投は欠かせないし、このキャスティングに失敗すると暗雲が立ち込める。さらなるポイントは生徒役の若手俳優であり、すでにネット上には前作の山下智久、長澤まさみ、小池徹平、新垣結衣、サエコ、中尾明慶と同等レベルを求める声が多い。

彼らは現在こそトップクラスの俳優だが、前作の放送時は、まだ全員連ドラ主演がなかった。その点、現在の10代俳優には、清原果耶、浜辺美波、山田杏奈、高橋ひかるのように連ドラ主演歴を持つ女優も多いだけに期待感は高まる。

最後にもう1つポジティブな要素として挙げておきたいのは、“東大ブランド”ブーム。近年、民放各局は東大生を出演させた番組を競うように制作し、一定以上の視聴率と評判を得てきた。特にTBSは東大生を軸に据えたクイズ番組『東大王』を放送しているだけに、『ドラゴン桜2』とはさまざまなコラボが可能。相乗効果で東大ブランドがさらに上がりそうなムードが漂っている。

クイズや謎解きで人気の伊沢拓司、松丸亮吾、水上颯、鈴木光らは小学生から高齢者まで幅広いファン層を持ち、「彼らのような東大生になりたい」という憧れの対象になっているだけに、『ドラゴン桜2』は最高のタイミングで放送できるのかもしれない。

ここまで書いてきたようにドラマ『ドラゴン桜2』は、よほどキャスティングで視聴者の反感を招かない限り、失敗の要素は少ないように見える。

『日曜劇場』は昨夏の『ノーサイド・ゲーム』、昨秋の『グランメゾン東京』、今冬の『テセウスの船』が視聴者の支持を集め、今春には『半沢直樹』、今夏に『ドラゴン桜2』と、まさに盤石の域。ドラマ枠としてのブランド力も高まる一方であり、気が早い話だが、やはり成功の可能性は高い。

  • 木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。ウェブを中心に月20本強のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、地上波全国ネットのドラマは全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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