コロナで大打撃!坂本一生「政府の要請で路頭に迷う寸前です」
「通常なら、2~4月はスポーツジムにとってかき入れ時なんです。薄着になる夏に向けてダイエットしたり、体格を良くしようと考える人が多く入会しますからね。ただ今年はコロナウイルスの影響から、ボクの経営するパーソナルジムでは2月、3月の入会はゼロ。おそらく 4月も入会者はいないでしょう。このままでは、レッスンを持つインストラクターは路頭に迷いますよ」
こう話すのは、千葉県八千代市でジムを経営するタレントの坂本一生(48)だ。坂本と言えば、思い返されるのが’93年の芸能界を震撼させた大騒動だろう。給料の安さなどに不満を持った、当時のトレンディ俳優・加勢大周が事務所から独立。事務所は対抗策として、坂本を「新加勢大周」という名前でデビューさせ大騒ぎになったのだ。

あれから27年――。坂本は地元・八千代市でジムを開いていた。だが感染拡大する新型コロナウイルスは、スポーツクラブ業界にも大きな影を落としている。千葉県内の感染者のうち3人が同じジムに通っていたことが判明。休業に追い込まれ、客足が一気に遠のいたジムが続出しているのだ。坂本が続ける。
「感染者が出たからといって、すべてのジムを危険とみなすのはおかしい。風評被害です。自分か経営するのはパーソナルジムなので、会員の数が少なく、十分間隔を空け濃厚接触することはありません。また会員には体調を尋ね、熱があるようなら帰っていただいている。
窓を開け換気にも注意していますし、20リットル用意したアルコールでトレーニング器具やドアノブなどこまめに消毒しています。感染の可能性はきわめて低いんです。よく『坂本さんのところは休まなくて大丈夫ですか』と聞かれますが、自信を持って営業しています」
大人数の会員を受け入れる大型フィットネスジムなどは、安全と言えるのだろうか。
「確かに通常通りのやり方では、感染拡大を招くかもしれません。ただいつも一度に50人をスタジオレッスンに入れているのなら、半分の25人に減らし間隔を十分に空け濃厚接触を防ぐなど、対策は立てられるはずです。少しでも体調の悪い方は、申し訳ないですがご遠慮いただく。危険を無くせるのに、いきなり休業に追い込まれるのには納得いきません」
政府は、人が多く集まる場所への参加自粛を要請している。ライブハウスや屋形船などとともに、そこにはジムも含まれているのだ。
「人が大声で歌い踊るライブハウスや、酒を飲んで騒ぐ屋形船と違い、ジムで会員同士が近距離で 話す機会はほとんどありません。人が多く集まる他の場所に比べて、飛沫が飛ぶ可能性は低い。 みんな淡々とトレーニングしているんです。
政府は『自粛、自粛』と言いますが、いつまで活動を控えていればいいんですか? インストラクターの大半はフリーです。政府は自営業やフリーランスに休業補償として、1日4100円支給と発表しました。ないよりはマシですが、スタジオレッスンを抱えているインストラクターはスキルを持つ専門職です。普通なら1日で、その3倍の金額を稼いでいますよ。
インストラクターの多くは女性です。中にはシングルマザー、共稼ぎで家計を支えている人もいます。彼女たちが政府の自粛要請で1ヵ月に20日間の仕事を失ったとしても、得られるのは8万円ちょっとにすぎない。その程度の金額で子どもの養育費や家賃、食事代、スマートフォンの料金などを払えると思いますか?
せめて政府は、自粛は2週間なのか1ヵ月続くのか、期間を明示してほしい。そうでなければインストラクターたちは生活費に困り、絶望するだけでしょう。ジムの運営会社も、インストラクターたちが食べていけるよう多少は補填するべきです。国は正社員に1日8300円の補償をするのに、なぜフリーは半額にするのか明確な説明がありません。もっと現場の苦しい状況を理解して、対策を考えてほしいです」
相次ぐ休業により、インストラクターは困窮している。坂本のジムにも、何人かのインストラクターから「ここで働かせてください」という依頼が来始めているという。



撮影:会田 園