タイガー・ウッズが東京五輪出場に突然消極的になったワケ
新型コロナウイルス感染拡大で揺れる東京五輪。米国のトランプ大統領が「延期した方がいい」と見解を示す中、男子ゴルフ界では、トッププレイヤーの出場辞退が以前から懸念されていた。
「まだWHO(世界保健機関)が『パンデミックに当たる』との見解を示す前から、世界ランキング5位(3月16日時点)で、屈指の飛ばし屋で知られるダスティン・ジョンソンが東京五輪出場辞退の意向を示したと、海外メディアで報じられていた。
世界ランク3位のブルックス・ケプカもまた、これまで東京五輪には消極的な発言をしており、欠場が濃厚と見られています」(スポーツ紙デスク)
ジョンソンの欠場理由は、コロナウイルス問題ではなく日程を考慮してのもので、
「東京五輪のゴルフ競技日程を見ると、2週前には4大メジャーの1つ『全英オープン』があり、五輪の2週後には米ツアーのプレーオフシリーズが始まるほどの過密スケジュールのなのです。
ケプカにしても『4大メジャーの方が間違いなく重要なんだ。フェデックスカップもね。それが僕のゴールだから』と、話している」(前出のデスク)
その上、東京五輪のゴルフ会場は埼玉県川越市の霞が関CC。炎天下では40度越えが予想されるだけに、ここで体調を崩しては年間王者のチャンスを逃しかねないということだ。
「男子プロのトッププレイヤーにとって、『五輪はプライオリティではない』ということです。プレーオフシリーズの最終戦となる『ツアー選手権』は30人による賞金総額6000万ドル(優勝1500万ドル)の争奪戦ですからね。
世界ランク7位のアダム・スコットが、4年前のリオ五輪の前に、『(ゴルフ競技は)エキシビションだ』と言い切っていたことからも、オリンピックへの本気度が分かりますよ」(ゴルフライター)
彼らにとって五輪は「優先事項ではない」という訳だが、それは過密スケジュールだけではない。
「前回のリオ五輪はブラジルなどで感染が拡大したジカウイルス感染症(ジカ熱)が大問題となり、世界ランクトップのロリー・マキロイをはじめ、日本の松山英樹ら多くの辞退者が相次いだが、ジカ熱に過敏になったのは男子ゴルフ界ぐらいでした。
その時、PGA(プロゴルフ協会)のドーピング規定がほかの競技団体よりも緩やかなためではないかという話も聞かれた」(同・ゴルフライター)
東京五輪では世界屈指の飛ばし屋たちの豪快なショットを見たいが、米国の世界ランク上位陣が辞退となれば、レジェンドのタイガー・ウッズの参戦が現実味を帯びてくる。
「タイガーは世界ランク10位も、米国選手では7位のため、各国最大4人となると厳しい状況です。だが、ケプカとジョンソンが辞退となればチャンスが広がります」(前出・デスク)
昨年10月の「ZOZO チャンピオンシップ」では、圧巻のプレーで優勝し日本中が沸いた。優勝記者会見では、
「(東京五輪に)出場できたらうれしい。アメリカを代表してプレーしたい。出場したことのある友人が『忘れられない大会だ』と言っていた。金メダルを目指して挑戦できればいい」
と、前向きに話している。東京五輪参戦となれば、盛り上がることは間違いない。
「ところが、週刊ゴルフダイジェスト(3月17日号)が『大丈夫!? タイガーが五輪は優先事項ではないと言い始めた』という見出しで、トーンダウンしていると報じた。
今のタイガーは持病の腰痛が悪化し、米ツアーの欠場が2月下旬から続いていた。新型コロナの脅威だけでなく、どうも体調面の調整で難色を示しているみたいですね」(前出のライター)
どちらにしろ新型コロナウイルスのため、東京オリンピックは1年の延期が発表された。タイガーにとって、この延期が吉と出るか、それとも……。
- 写真:アフロ