コロナで経営破綻危機も…!野球「独立リーグ」の深刻な現状

野球界は今、未曾有に危機に瀕している!

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2019年10月徳島で行われた、 日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2019 徳島-栃木戦

センバツ高校野球の中止が決まった。新型コロナウイルスのパンデミックは、スポーツ界全体にかつてない影響を与えている。

NPBは3月20日の開幕を延期した。4月中の開幕を目指しているが、例年どおり143試合のレギュラーシーズンを消化し、ポストシーズンも無事終えることができるかどうか、厳しい状況だ。

パンデミックの大波は、独立リーグにも及んでいる。

2005年にスタートした四国アイランドリーグplusからは首位打者2回を獲得したロッテの角中勝也や中日の救援投手・又吉克樹、2007年にスタートしたルートインBCリーグからはDeNAなどで内野手として活躍した内村賢介などを輩出してきた。

四国アイランドリーグplusは、314日、今季の前期シーズンを411日に開幕すると発表した。当初、328日の開幕だったが2週間延期した。またルートインBCリーグも11日、前期シーズンを4月11日から開幕すると発表した。

ただし両リーグともに「新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日程は変更となる場合がある」としている。すでに練習試合の中には中止になったものも出てきている。

独立リーグの観客動員は多くて1000人程度、ふつうは数百人台だ。NPBのようにスタジアムに大観衆が集まって感染が拡大するリスクはそれほど高くない。だから試合を開催しても大きな問題はないように思えるが、プロ野球の自粛ムードが独立リーグに波及すれば試合開催は困難になるだろう。

しかしそれ以上に憂慮されるのは「スポンサー」の問題だ。NPBでは試合の興行収益が売り上げに占める比率は大きいが、独立リーグではそれよりもスポンサー収益の方が大きい。

独立リーグの各球団は地域のスポンサーの理解と協力のもとに成立している。

今回の新型コロナウイルスのパンデミックによって経済活動が停滞すれば、スポンサーの支援が得られなくなる可能性がある。

独立リーグ球団の多くは何度も経営危機に瀕した過去を持っている。だから少数のスポンサーに依存するのではなく、数十社のスポンサードを得ている。なかには100社を超すスポンサーを持つ球団もある。数社がスポンサーを降りても経営に響かない体質にはなっているが、今回のように日本全土の経済が萎縮するような事態になれば、独立リーグ各球団への影響は避けられない。

独立リーグの経営基盤はただでさえも脆弱だ。ルートインBCリーグでは昨年オフに福井球団が経営危機に瀕したが、新会社が継承する形で何とか存続できた。またクラウドファンディングで資金を集め、運営している球団もある。

新型コロナウイルス騒動が長引けばキャッシュフローが回らなくなる球団も出てくるだろう。

昨年11月に行われたプロ野球オーナー会議では、野球振興のために独立リーグなどと連携することが検討された。その後、連携の方向性や可能性について、具体的な話し合いがもたれた。巨人など一部球団が前向きな意向を示しているとも伝えられた。

独立リーグ側としては、NPB球団が資本参加をしてMLBとマイナーリーグ球団のような関係になればよいという考えがあった。

NPB球団の中には、指導者や若手選手を独立リーグに派遣している球団もある。NPBの中にもこうした関係を強化したいと考えている球団もあった。しかし、こうした話し合いも、今回の新型コロナウイルス騒動によって頓挫してしまった。「それどころではない」ということになりつつある。

独立リーグは、プロ野球界が「球界再編」で揺れた2005年に発足している。以後、厳しい経済環境の中で、何人もの経営者が交代しながらここまで存続してきた。

この間に、企業が保有する社会人野球チームは減少した。日本独特の企業スポーツが見直されたからだ。社会人チームの中には廃部になったものや、経営が不安定なクラブチームになったものもある。

そうした中で、独立リーグは「野球を続けたい」選手の新たな受け皿、そして「NPBへの夢をあきらめたくない」選手の最後の選択肢となってきた。

独立リーグはほとんどの球団が「ぎりぎりの経営」で維持されている。少数の球団が経営破綻すれば、連鎖的に経営危機が広がる可能性もある。独立リーグが破綻すれば、野球界のすそ野がさらに収縮する可能性が高い。

四国アイランドリーグplus、ルートインBCリーグが加盟し、琉球ブルーオーシャンズも賛助会員になっている一般社団法人日本独立リーグ野球機構の副会長でルートインBCリーグ代表の村山哲二氏は

独立リーグ球団は、それぞれの地域のファンに支えられながら運営されています。また中継の仕組みは必ずしも整っておらず、試合をファンの皆様にお届けすることができない場合があります。したがって現時点では無観客で試合を行うことは考えておりません。 政府や他スポーツ団体の動向を注視しつつ、多少日程を遅らせてでも、ファンのみなさまに来ていただける試合を行いたいと考えています」

と語った。

むしろこういう未曽有の危機だからこそ、野球界はプロ、アマ、学生、独立リーグまでもが一枚岩になって「野球の未来」を考えるべきだろう。どのジャンルが破綻しても、野球界は深刻なダメージを被るのだ。

NPBは、4月中の開幕を目指している。その前に練習試合を行う意向だが、この練習試合を独立リーグと連携して行ってはどうだろうか。独立リーグの試合を「前座試合」にして練習試合を行ったり、交流戦を行ったり、いろいろ考えられる。

人々が待望している「球春」の温かさを、プロも独立リーグも、野球ファンも分かち合えるようなイベントが行われればよいと思う。

  • 撮影・文広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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