“コロナ不況”でヒットした「意外な商品」「サービス」
新型コロナウイルスの感染拡大が、日本経済に及ぼす影響は深刻だ。居酒屋やレストランなど、外食店はどこもガラガラ。コロナビールを販売する「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」は、商品名でワリを食い売り上げが310億円も減少している。
SMBC日興証券の試算によると、4月中に蔓延が収まったとしても日本の経済損失は4兆8000億円。仮に7月から開催予定の東京五輪が中止になれば、7兆8000億円にのぼる被害になるという――。
そんな“コロナ不況”の中、意外な売れスジ商品がある。2月の売上げが前年比約1%増えているコンビニ業界。ヒットしているのは、普段はなかなか手にしないアイテムだ。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が語る。
「多くの消費者が外食を控えているため、酒や冷凍食品が人気のようです。食品を買い溜め“家飲み”をしているのでしょう。セブンイレブンでは、2月24日から3月1日の1週間で、酒類が前年比約30%も売上が伸びています。特に安価なチューハイが好調だとか。
さらに人気なのが、トランプや折り紙、シャボン玉、UNOなどの玩具です。
ローソンでは2月24日からの週で、玩具が前年比35%も増えました。3月2日から全国の小中高校が休校となり、親たちはずっと家にいる子どもとの時間を持てあましています。知育的な要素もあり子どもと一緒に遊べるため、アナログのオモチャの需要が増えているのでしょう。各コンビニは3月中旬から特設コーナーを設けているほどです」
食事の宅配でも、新しいサービスがウケている。ピザのチェーン店が始めた“置き配”だ。松崎氏が続ける。
「ドミノ・ピザが始めたのは、商品を客に手渡さず玄関前などに置くサービスです。配達員は2m以上離れた場所に待機。客が商品を受け取るのをチェックしてから、その場を離れます。ピザハットも『ピザ置き渡しサービス』を開始しました。ネット注文を受けた配達員は、インターフォンなどで客の在宅を確認してピザを指定の場所に置く。料金は現金ではなく、クレジットカードなどのキャッシュレス決済です。配達員との直接触れ合うことがなく、現金の受け渡しもないので、客は安心して注文できます」
ドン・キホーテなどのディスカウントストアで最も人気が高いのは、使い捨てのビニール手袋やハンカチなどの衛生グッズだ。だが、他にも意外な商品の売り上げが上昇している。
「メガネの曇り止めです。マスクをしていると、吐く息がこもりメガネが曇りがち。多くの人が、こまめに曇り止めを付けているんです。また学校が休校になった子ども用に、小型トランポリンも売れています。元気いっぱいの児童にとって、家にいても身体を動かせるアイテムは貴重でしょう。
また、面白いモノではゴムひも。全国で極端にマスクが不足しています。そのため自宅にあす布の切れ端やガーゼなどをゴムひもに付け、自家製マスクを作っているようです」(松崎氏)
コロナの感染拡大で外出できなくても、人々は少しでも快適で楽しい時間をすごごしたいと願っている。そうした思いが、売れスジ商品に反映しているようだ。