「恋つづ」に散りばめられていた”ヒットの法則”

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
1月19日昼ごろ、 東京郊外の病院で撮影されていた鬼気迫る緊急搬送のシーン。緊迫した場面のようだが、”たけもね”の息はピッタリだ

「恋愛ドラマは視聴率が獲れない!」

そう言われて久しい今の時代に、常識を覆して”王道のラブストーリー”が帰ってきた。今や「たけもね」と呼ばれる佐藤健と上白石萌音の名コンビが共演するドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)に熱い注目が集まっている。

第5話で9.6%と二桁を割るも、第6話10.9%、第7話11.9%、第8話12.1%、そして3月10日に放送された第9話では14.7%と平均視聴率も『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)を思わせるようなカーブを描いて急上昇。医療ドラマ乱立の今期にあって、断トツトップに躍り出た。

「このドラマは、偶然の出会いで一目惚れしたエリート医師・天堂浬(佐藤)と働くために、看護師になった新米ナース・佐倉七瀬(上白石)が織りなすラブコメディ。

第9話では『好きっていってもらったことがない』と詰め寄る”勇者”七瀬に、ドSキャラの”魔王”こと天堂が、素直な気持ちを言葉にして伝える胸キュンシーンに涙腺崩壊する視聴者が続出。ついにエンディングで、”勇者”が”魔王”を陥落させる”神回”となりました」(ワイドショー関係者)

ドラマが始まった当初は、上白石では役不足ではないかという声も聞かれたが、回を追うごとに好感度もアップ。今や愛すべきコメディエンヌどころか、主役然とした存在感を発揮しつつある。

「恋愛ドラマは視聴率が獲れない」と言われるドラマシーンに奇跡を起こした「恋つづ」。このドラマには、“たけもね”コンビの魅力以外にも、ヒットの法則が散りばめられている。その一つは、エンディングにある。

「『恋つづ』では、エンディングのテーマOfficial 髭男dismの『I LOVE…』のイントロと共に、劇的なサプライズが用意されているケースが多い。視聴者は、最後までテレビの前に釘付け。

そのまま予告動画へとなだれ込む息もつけない展開は、往年の“月9”ドラマを見ているよう。次週への期待感をこれだけ煽れば、回を追うごとに視聴率がアップするのも頷けます」(制作会社ディレクター)

その名場面を、いくつか振り返ってみよう。

第4話では「これは治療だ」の名言が生まれた橋の上でのナイトシーン。「バカ」といって、天堂が通り過ぎるところで『I LOVE…』のイントロが掛かり、振り向きざまに天堂不意打ちの”治療キス”。

第5話のエンディングでは、ミーティング中のナースステーションにフラリと天堂が現れ、七瀬の頭にポンと手を置いて「俺の彼女だから」と言って交際宣言をするシーンにも、興奮コメントが殺到した。

しかし第8話では、二人の関係に危機が訪れる。天堂から身を引いた七瀬が故郷・鹿児島で携帯を取ると、声の主は天堂。涙をこらえながらも「もう心配しないでください」と強がる七瀬を、迎えに来ていた天堂が後ろから“バックハグ”。このシーンに、視聴者は心鷲掴みされ、キュン死する事態が起こっている。

「Official 髭男dismの『I LOVE…』きっかけで、今週何が起こるのか。息を潜めて待ち焦がれているのは、もはや二人のファンだけではあるまい。

「第9話では、三日三晩看病した末に目覚める七瀬。(その七瀬の)好きなところをひとつずつ上げていく天堂の目に涙が浮かび、やがて溢れていくシーンこそ、ラブストーリーの王道の復活を観た思い。

ライフスタイルや価値観が多様化した今の時代に、このドラマがヒットした意味はとても大きい」(前出・放送作家)

‘91年1月7日にスタートした月9ドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)。その頃、朝の報道番組に携わっていた私は、毎週月曜日の早朝に届けられる「東ラブ」の番宣VTRを眠い目をこすりながら楽しみに待っていた。あの時の興奮が今、再び甦る。

フジテレビのスタッフは今、「恋つづ」を観て何を思っているのだろうか――。

  • 取材・文島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO近藤裕介

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事