「感染店名」を公表された大分歓楽街の壊滅的現状 | FRIDAYデジタル

「感染店名」を公表された大分歓楽街の壊滅的現状

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店に確認を取るより先に…

雑居ビルが立ち並ぶ繁華街にもかかわらず、歩く人はほとんど見当たらない――。

ここは新型コロナウイルスに感染した30代の女性が働いていたキャバクラがある、大分市中心部最大の歓楽街・都町だ。

新型コロナウイルスの感染拡大による飲食店への影響は、全国的に広がっている。しかし、感染者が出たこの歓楽街の場合、その影響は輪をかけて深刻だ。

大分県で初めてとなる新型コロナウイルスの感染者が感染されたのは3月3日。大分市は感染について発表した際に、女性の勤務先であるキャバクラの店名も公表した。

しかし、店側はこれに大いに驚いたという。この時、店の運営会社は大分市と対応を協議していたものの、店名が発表されるとは市から聞いていなかったのだ。大分市の担当者はこう弁明する。

「店名の公表は、県と話し合って決めました。ただ、ちょうど発表していた時間に運営会社と対応を協議していた市の職員に、公表することが伝わっていなかったのです。本来は運営会社に公表することを伝えるのが先です。順序が逆になってしまったことについては担当者がお詫びしました」

店名が発表されたことによって影響を受けたのはこのキャバクラだけではない。600軒以上の店がひしめく歓楽街全体に衝撃が走った。無論、感染した方に罪はないが、40人以上の女性が在籍するキャバクラ店で感染者が出たことで、すでに感染が一帯に広がっているのではないか……そう怯える人たちが、歓楽街から姿を消したのだ。

キャバクラの近くに店を構えるラウンジ経営者に話を聞くと、店を開けているものの、客はほとんどこないという。

「従業員を普段よりも減らして、赤字覚悟で営業していますが、ほとんど客は来ません。週末であれば通りも賑わっていますが、誰一人歩いていません。まるでゴーストタウン。お客さんに電話で話を聞いても、春の歓送迎会はすべて中止など、よくない話ばかり。3月中に閉店を考える店も出始めています」

不安が増幅する最大の原因は、大分市の場合、感染ルートが全くわかっていないことだ。感染した女性は、2月23日に発症したとされている。3月16日現在、同居している40代の男性と、キャバクラの従業員、それに女性が通っていたジムの関係者51人は、検査の結果陰性だった。

ところが、山口県で3月4日に感染が確認された40代の会社員の男性が、この店を2月20日に訪れたことが判明。男性は23日に発症したという。さらに、3月9日と10日に感染が確認された愛知県の男性2人も、やはり2月20日にこの店を訪れていた。この2人は出張で大分市に来ており、一人は翌日も来店している。

感染した女性は2月20日に店に出勤していたが、山口と愛知の男性の隣に座って接客したかどうかは不明で、大分市も「感染ルートについてはまったくわかりません」とお手上げ状態。つまり、キャバクラは感染が広がった場所ではない可能性が高いのだ。

運営会社は「おカネの問題よりも、いまは従業員の心のケアが一番の問題」と話し、営業再開のめどが立っていないことを明かした。

感染者の勤務先を公表することの是非は、われわれ門外漢には判断のしようがない。しかし、その発表の仕方ひとつで、甚大な被害を被る人がいるということも、決して見落としてはならない。いずれにせよ、大分の歓楽街に明るい光がもう一度灯ることを心から願ってやまない。

  • 取材・文/田中圭太郎

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