リモートワーク歴20年の達人が教える「在宅勤務の極意」 | FRIDAYデジタル

リモートワーク歴20年の達人が教える「在宅勤務の極意」

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新型コロナウイルスが収束するまでの特別措置として、リモートワーク、在宅勤務を推奨する企業が多い中、毎朝決まった時間に出社し、オフィスで働くことが身についているサラリーマンからは戸惑いの声が数多く聞こえてくる。

「ついダラダラしてしまう」「自宅に自分だけの空間がないので仕事にならない」「とにかく太る!」「ビデオ通話での会議が苦手」などなど。

日本では、自宅に自分だけのスペースがなく、近所の喫茶店やカフェに居場所を求める人も多い 写真:アフロ
日本では、自宅に自分だけのスペースがなく、近所の喫茶店やカフェに居場所を求める人も多い 写真:アフロ

そこで、リモートワーク歴20年のweb制作会社ノヴァキック代表・小松寛氏に、在宅勤務する上での注意点と心得をきいた。自身のブログですでに発信しているのは下記の5項目。

◆朝は今まで通りに起きる 

「9時から始業だから8時50分ぐらいまでギリギリ寝ていよう!」と思われた方は、危険パターン。今まで起きていた時間に起きた方が望ましいです。寝間着を脱いで、顔を洗って、食事をし、余った時間は散歩するなりストレッチでもするなり、それでも時間が余れば掃除でもして、なるべくアクティブな状態になってから始業した方が脳も活性化されて能率が良いです。

◆リモートワークは太る

リモートワークは何もしないと太ります。とにかくすぐ太ります。カロリー消費しないのに食欲だけは一緒です。美味しいラーメンも唐揚げも食べたい! 我慢するのはストレスになるので食べたとしても、もし食べたら次の日で調整するなどしてます。

◆タスクはまず紙に書く

リモートワークは同僚や上司からのリマインド機能のような言葉の問いかけがないので、つい作業を怠りがち・忘れがちです。(中略)ToDoツールは沢山出てますが、手書きでタスクを書き込むのがベストだと20年続けて感じました。何かの裏紙でも良いので「明日やる事」を前日の終業時に書き込みます。そして終了した作業はどんどん消し込んで行く。マジックでもペンでも構いません。手で書くという事が重要です。手で書いたものは忘れにくいものです。

◆誘惑と友達になる

人目を気にしないので、ついつい誰もみていないからとYouTubeやTVを眺めたり、好きな音楽を流したりしてしまいがちですが、これは仕方ないのでうまく付き合うしかないです。ただ時計とメールとアジェンタは逐一チェック、頼まれた作業はスピーディーに済ませるが原則です。あとは集中しやすくするために「ポモドーロタイマー(25分集中して5分休む・・・を3~4セット繰り返して長めの休みを取る)」を設定して作業するのも手です。

◆睡眠はしっかりとる。昼寝もお勧め

退社する必要がないので際限なく仕事が出来てしまいますが、体調悪くなる時は睡眠不足が影響します。(中略)昼間も15分とかプチ昼寝するのもお勧めします。あと通勤しなくて良いから~と、夜更かししてNETFLIXの海外ドラマを1シーズン一気に視聴とかやめましょうね。

 

(株式会社ノヴァキック 社長ブログ「問わず語り」より)

小松氏がそれまで勤めていた会社から、リモートワークを推奨するITベンチャーに転職したのは21年前。

「この企業は全社員リモートワークで働こう! という触れ込みでスタートアップし、関東の人もいれば関西や四国、九州の人もいました。会議はボイスチャットです。

当時としては革新的でしたが、いかんせん当時の脆弱なインフラでは業務に支障をきたしてしまうため、結局オフィスを構えることに。でも私が所属していたクリエイティブ部門はリモートワークのままでした」

その後独立し、全社員がリモートワークという環境を実現させたが、画像などの大容量ファイルのやりとりには苦労し、画像の入ったMOディスクを何枚も持って電車や車で移動したり、時間がない時はバイク便を手配したりしていたという。

「これがリモートワークにおける最大のネックでしたので、大容量ファイル転送サービスが始まった時は心から喜びました」

だが、転職前は広告業界というどちらかというと感性的、情緒的な世界に身を置いていた小松氏。グループウエアを介しての打ち合わせ、ドキュメントや仕事の指示をやりとりする際、直接的な言い回しになることに当初は戸惑いがあったという。

これまでは口語体ベースで業務が進んでいて、『言葉足らずの部分は空気を読んで』的な感覚で済まされていたものが、リモートワークでは文語体ベースとなって、刺々しさも覚えてしまいがち。

おそらくどの会社も業務連絡などは会社が用意しているグループウェアや、Slack、Chatworkなどのビジネスチャットを活用しているのだと思いますが、リモートワークでは指示や連絡が文章ベースになりがちなので、文章力=仕事のスキルになって来るのではないでしょうか。

気の利いた文章を書かなければならないとか語彙力を上げないといけないということではなく、誰がどう読んでも理解でき、可能な限り簡潔であること。これが勘所になってきます。無駄に長い文章を書く人とか、言葉が足りなくて文章が破綻しがちな人は気をつけたほうが良いです」

全従業員がリモートワークという会社を代表する立場から見て、そのメリットとは? また、デメリットはあるのだろうか?

「メリットは自由だということです。当社は要求した成果物が仕上がりさえすれば、それが旅先だろうがサーフィンしながらだろうが別に不問です。むしろワーケーション(休暇を兼ねてリモートワークを行う労働形態)によってクリエイティビティが向上するのではないでしょうか。

私も以前USJやスキー場、野球場で作業してましたし、SNSで飼いネコを膝に乗せて仕事する人たちの姿が話題になってますが、私も12年前から膝に飼い犬のトイプードルを乗せて仕事してます。

デメリットは不測の事態に声をかけても誰も助けてくれないこと。特にPCのトラブルですが、ウチの社員は皆、自己解決能力が高いのであまり困らない。逆に助けてもらってます。ただ、体育会ノリの社風のところはデメリットが多いのではないでしょうか。普段なら無理難題を押し付けられる後輩社員がそこにいないのですから」

最後に、今回の新型コロナウイルス流行によるリモートワーク推奨の流れに関し、小松氏の意見をきいた。

「私がリモートワークにこだわっているのは、元々『満員電車が嫌い』『長い会議が嫌い』『社内の付き合いが嫌い』というところから。そういう人は私以外にもおそらく一定数いるのではないでしょうか。

私は苦手な事から解放されたくて独立し、戻りたくない一心で『どうしたら一生逃げ切れるか』を20年模索してきました。

今回のリモートワーク推奨によって、『生活のためには仕方ない』と自分を押し殺していた人が少しでも生きやすくなり、リモートワークでは対応出来ない職種の方々がラッシュや渋滞から解放されて楽に通勤できる世の中になることを願います」

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