『スカーレット』伊藤健太郎“俳優志望でなかった10代”の秘話 | FRIDAYデジタル

『スカーレット』伊藤健太郎“俳優志望でなかった10代”の秘話

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昨年3月、作品賞などアカデミー賞3部門を獲得した映画『グリーンブック』のピーター・ファレリー監督(左)来日記者会見にゲストとして出演
昨年3月、作品賞などアカデミー賞3部門を獲得した映画『グリーンブック』のピーター・ファレリー監督(左)来日記者会見にゲストとして出演

現在放送中のNHK連続ドラマ小説『スカーレット』。視聴率は毎話18~19%台とやや苦戦ぎみだったが、ここ数週は20%を超える日も増えている。理由は、戸田恵梨香演じる主人公・川原喜美子の息子・武志の白血病が発覚し、物語がクライマックスを迎えていることにあるだろう。そしてその不遇の息子・武志を好演しているのが、若手イケメン俳優の伊藤健太郎(22)だ。

伊藤といえば、2018年に放送されたドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)でトンガリ頭のヤンキー・伊藤真司を好演し、ブレイクした存在。とはいえ彼の実力を考えると、そのブレイクは遅すぎたと言っていい。

イケメンではあるが決して派手なキラキラ系イケメンではないこと、事務所が大手ではなくゴシリ押しされなかったことなどもあって、それまで大きな注目を集めてこなかったのだが、ハッキリ言ってその演技力の高さはケタ違いなのだ。

伊藤の俳優デビューは17歳のとき。斎藤工の出世作となったドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年/フジテレビ系)で、斎藤を振り回す鬱屈した不良少年を好演し、強烈な印象を残した。

かと思えば映画『コーヒーが冷めないうちに』(2018年)では有村架純演じる主人公を見守る好青年を、先に述べた『今日から俺は!!』ではコミカルなヤンキー高校生を、そして映画『惡の華』(2019年)では玉城ティナ演じる同級生に隷属し崩壊していく少年をと、常に180度違うキャラクターをサラリと演じ切ってきた。

そして現在、朝ドラで演じている白血病を患う青年・武志。この武志は親思いで実にいい子という設定なのだが、これまたその演技が見事すぎて、ネット上には「いい子すぎて心配になる」「どうやったらこんないい子に育つん?」と、本気で武志を心配する声が踊ったほどだ。

そんなコツコツとした好演を重ね、気づけば多数の作品に引っ張りだこの存在となっていた伊藤。今年は8月までだけで4本の映画が公開、4月からは主演ドラマ『ビーナッツバターサンドウィッチ』(MBS系)もスタートする。また最近は「紅茶花伝ロイヤルミルクティー」や「ABCマート」など、多くのCMでもその顔を見かけるように。つまり伊藤は、純粋に演技力だけで頭角を現した、昨今稀有なイケメン俳優なのだ。

伊藤がいかに実力だけで売れたかを物語る要素が二つある。一つは、先にも触れた彼の事務所の弱さだ。女性ファッション誌の編集者が語る。

「伊藤君が所属しているのは『aoao』です。もともとは同じグループ会社の『ボン イマージュ』に所属していました。『ボン イマージュ』はモデルエージェンシー。伊藤君も当初はモデル活動をしていたのですが、17歳のとき『昼顔』に出演したところ予想外に演技が上手く注目を集めた。そこから俳優の仕事が増えていったようです」

つまり事務所は、最初から伊藤を俳優として売っていくつもりではなかったようだ。当の伊藤自身も特に俳優を目指していたわけではなく、「周囲から勧められて『楽しそうだったらいいかな』と軽い気持ちで足を踏み入れた」とインタビューで語っている。たまたま演技センスがあり、事務所も本人も自覚がないままにあれよあれよとオファーが増えていった、というのが実情のようだ。

もう一つ、彼の実力を物語るのが性格の“普通さ”だ。パーソナリティを務めるラジオ番組『伊藤健太郎のオールナイトニッポン0』でも気さくな語り口が好評だが、伊藤を何度もインタビューしたことのあるライターも次のように印象を述べる。

「伊藤君はその辺によくいそうな、本当に普通の男の子。インタビューでも、とくに尖ったことを言うわけではありません。ニコニコと人懐っこい性格だしルックスもいいんですけど、正直強烈な個性とかオーラみたいなものを感じるわけではないんですよね。でも演技を見ていると、じわじわハマってくるから不思議です」

そのオシャレ性も含めて注目を集める某個性派俳優や、圧倒的なオーラを持つキラキライケメン俳優たちとは違い、ごく普通の男の子だからこそ、伊藤は何者にもなれるのかもしれない。今後もどんなキャラクターを演じてくれるか非常に楽しみだが、当面は病と闘うけな気な『スカーレット』武志を応援したい。

  • 取材・文奈々子

    '72年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 写真時事通信社

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