厚労省作成「コロナクラスターマップ」こんなにお粗末 | FRIDAYデジタル

厚労省作成「コロナクラスターマップ」こんなにお粗末

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突然公開

3月15日の日曜日の夜、厚生労働省は新型コロナウイルスの「クラスター感染」が起きた場所のマップを、突然ホームページで公開した。このマップには5人以上が集団感染するクラスターが起きた地域として、10都道府県が指定されている。

しかし、このマップで「クラスター」に指定された大分県が、「このやり方はおかしい」と異を唱えて抗議した。大分県健康づくり対策課・藤内修二課長の憤りを聞こう。

「大分県では、まだ1人しか感染者が出ていません。にもかかわらず、クラスターマップに大分県が掲載されたのは甚だ遺憾です。しかも、厚生労働省からは事前に何の協議もありませんでした。マップが公表された翌日16日の朝から、私どものほうから厚生労働省に連絡し、考え方に相違点があると伝えて、修正を要請しました」

たしかに藤内課長が言うように、大分県内の感染者は、大分市最大の歓楽街のキャバクラで働いていた30代の女性従業員1人しかいない。このキャバクラを2月20日に訪れた山口県の男性や、愛知県の男性2人の感染が明らかになっているが、感染ルートは不明のままだ。

店の従業員や客を検査したが、他に感染者はいなかったという。少なくとも大分市で感染が広がったとは言えない状況なのだ。

カッコ内の数字が、クラスターの数
カッコ内の数字が、クラスターの数

大分県によると、厚生労働省のクラスター対策班は、キャバクラを訪れた山口県の男性の家族2人や、愛知県の男性の同僚が感染していることから、二次感染も含めて「大分県を5人以上のクラスターと定義した」と説明したという。

しかし、大分県側はこれに反発。「同一場所での集団感染をクラスターとすべきだ」と主張した。

怒りがおさまらないのは、歓楽街の関係者だ。歓楽街には600軒以上もの飲食店がある。しかし、キャバクラの店名が公表されたことで街全体に風評被害が広がり、感染が明らかになって2週間が経つ現在も客足は戻っていない。その窮状に追い打ちをかけるようにクラスターマップに大分県が掲載されたことに、関係者は憤っている。

「飲食店はどの店も、いままでに経験したことがないほど、経営的に厳しい状況に追い込まれています。この状況を変えるにはどうすればいいのかを一生懸命考えているときに、クラスターマップに大分県が掲載されてびっくりしました。

こんなマップを作って、いったい何の意味があるのでしょうか。マップはすでに報道されてしまっています。間違った情報で恐怖心を煽ったことは許せません」(大分市都町連合会佐藤俊孝会長)

感染者が出たキャバクラの店名は、運営会社に事前の連絡なく大分市に公表されてしまった。そのうえ今度は国の突然の発表によって、さらなる風評被害が引き起こされたことになる。大分市民も混乱し、大分県庁には16日以降「県や市の説明と食い違っているがどうなっているんだ」という問い合わせも相次いだという。

こうした抗議などによって、17日午後4時過ぎ、厚労省はクラスターマップの修正版を公開。修正版では、大分県と和歌山県が「クラスター」から消え、千葉県は数字が2から1に、神奈川県は逆に1から2に変更されていた。おそらく同様の「誤り」を指摘されたのだろう。

また、18日午後7時時点では、クラスターマップを公表しているページ自体が閉鎖されてしまった。

クラスターマップをめぐる混乱をみると、厚労省の「クラスター」の定義についての考え方、まとめ方が雑だったのではないかと言える。ちぐはぐな対応が、各県の関係者や歓楽街を窮地に追い込むことを、政府や行政機関は重く受け止めるべきだろう。

  • 取材・文/田中圭太郎

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