韓国芸能界で広がる「コロナ寄付」 本人たちが隠さず公表するワケ

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主演のソン・ガンホ(左)に続いて、コロナ対策として1億ウォンを寄付した『パラサイト』のポン・ジュノ監督/写真 アフロ

世界中で感染拡大中の新型コロナウイルス。その中でも韓国は大邱(テグ)での集団感染をキッカケに感染者が9000人を超えるなど(25日現在)、大きな波紋を呼んでいます。

そのような状況の中で、多くの韓国芸能人たちが「コロナ感染防止」のための多額の寄付を行い、その善行が大きく報道されています。

実は、韓国では今回の新型コロナに関連する寄付以外でも、芸能人たちがボランティアや寄付活動を行うことが多くあります。いったい何故なのか? 今回は、その背景を紐解いてみたいと思います。

K-POPアイドルから大御所の俳優まで広がる「寄付天使」

韓国には「寄付天使」という言葉があります。これは「寄付を積極的にする人」のことを指し、主に芸能人や有名人に対して使われます。そのような言葉が生まれるくらい、韓国の芸能界の中では寄付が身近な行為なのです。

今回のコロナ感染対策でいえば、韓国版の『花より男子』や『相続者たち』などのドラマで主演を務め、日本でも人気のある俳優「イ・ミンホ」が、自身のファンと共同で合計3億ウォン(約2600万円)の寄付を8機関に対して行いました。

また女優の「パク・シネ」は低所得世帯の児童のために5000万ウォン(約430万円)を、アカデミー賞4部門受賞に輝いた『パラサイト』のポン・ジュノ監督は1億ウォン(約860万円)を寄付したとか。

K-POPアイドルや歌手の間でも寄付の輪は広がっています。歌手で女優の「IU(アイユー)」は1億ウォン(約860万円)、日本でも人気のある『TWICE』のメンバー「ダヒョン」は5000万ウォン(約430万円)、日本でも活躍する歌手「ジェジュン」は3000万ウォン(260万円)と、みな積極的にコロナ感染対策に手を挙げています。

寄付リレーは個人だけでなく団体にも波及しています。BoAや東方神起などが所属する大手芸能事務所「SMエンターテインメント」は、5億ウォン(約4300万円)という大きな金額を全国災害救護協会に寄付しました。

一方で、そんな寄付という純粋な善行の中で、「寄付をしていない芸能人」や「寄付したものの金額が少ない芸能人」が批判される残念な話もあります。

スポーツソウルのコラム記事では「特に金額やその内容で、寄付活動の意味と価値を評価してはならない。寄付する金額の大小が、寄付活動の価値と比例するわけではないからだ」と、悪質なコメントをするネットユーザーに注意喚起をしています。

「善行は隠れてするもの」は日本だけ?

なぜ、韓国ではこんなに寄付活動が盛んなのでしょうか?

イギリスの「Charities Aid Foundation(CAF)」が2017年に発表したデータによると、韓国はCAFが定めた寄付指数は34%。日本の寄付指数は22%なので10ポイントもの差がついています。

また、寄付経験のある人口の比率は40%(世界33位)にもなり、日本の18%(世界99位)を大きく引き離しています。このデータを見ても韓国人は寄付をする人たちが多いということがわかります。

寄付情報サイト「きふる」のコラムによると、韓国も以前は日本と同じように「善行は隠れてするもの」という風潮があったようです。

しかし、徐々にその考えは変わっていき、今はその反対に「売名と批判されようと『善』であることに変わりはないのだから、良い影響を受けてくれる人もいるはずだ」という世論になってきているのだとか。

そのため、世間の注目を集める芸能人を中心として、寄付などの「善行」を行うことが一般化していったようです。

BTSの寄付活動がファンにも波及

世界を股にかけるBTS(防弾少年団)は寄付も世界規模だ/写真 アフロ

例えば、BTSが所属する芸能事務所「BigHitエンターテインメント」は、ユニセフの児童・青少年の暴力根絶キャンペーン「エンドバイオレンス(#ENDviolence)」を支援する募金「ラブ・マイ・セルフ」を立ち上げ、このキャンペーンに対して、2018年に約18億5000万ウォン(1億6000万円)の寄付を行いました。

朝鮮日報の記事によると、

「(約18億5000万ウォンの)寄付金の内訳は12億8769万ウォン(約1億1000万円=約970万円)余りがBigHitとBTSによって寄付されている。また(ラブ・マイ・セルフ)キャンペーン開始のための費用としてBigHitが2億9000万ウォン(約2500万円)、BTS7人のメンバーが2億1000万ウォン(約1800万円)と半々ずつ負担、その中にはBTSのメンバーたちによる個人の寄付とBigHit・パン・シヒョク代表の授賞賞金からの寄付も含まれていた。最も寄付の比重が大きかったのはアルバムの収益寄付で、約7億1482万ウォン(約6300万円)に達している」 ※一部編集部注

と、事務所とアイドルだけで1億円以上の大金を寄付していることになります。他にも、この寄付金にはBTSのファンクラブ「ARMY」たちによる5億994万ウォン(約4900万円)も含まれているそう。ファンとアイドルが一体となったまさに「世界規模」の寄付だったのです。

このような芸能人やアイドル達による寄付リレーは、ファンを中心に、多くの人たちへ波及していきます。先ほど例に挙げたBTSのファン「ARMY」たちによる寄付行動もその一つ。BTSに限らず、東方神起のメンバー「ユンホ」のファン達は、ユンホの誕生日を記念して保護児童の自立支援に約150万円寄付したというニュースもありました。

自分たちが愛する芸能人やアイドル達の善行は、ファン達の誇りにもなりますし、なにより自分たちも恥じない行動をしようという気持ちに繋がります。アイドルから始まったムーブメントが、ファン、そして一般の人たちにも広がる。日本では隠すべき美徳とされる寄付ですが、こういった時こそ真似すべきなのかもしれません。

  • 西門香央里

    東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。推しには猪突猛進。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。Real Sound、いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEEなどに寄稿している。

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