吉本の女芸人3人が歌う“恋愛ソング”を涙なしで聴けない理由

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女芸人のゆりやんレトリィバァと、ガンバレルーヤよしこまひるの3人がユニットを組んだ吉本坂46の「CHAO」。そのミュージックビデオ『好きになってごめんなさい』(2月21日公開)が150万PV再生を突破と、すごいことになっている。しかも付いた「いいね」は約5万。対して「よくない」はわずか700ほどと、ほぼ好評価しかない状態なのである。

このMVを見て、予想以上にヤラれてしまった。吉本興業は過去にも森三中や友近など女芸人を集め、「シュガーズ」(2012~2013年活動)というユニットを組ませている。これは方向性も中途半端で、たいして話題にならないまま自然消滅してしまった。そのため今回の「CHAO」のMVも、「また女芸人にアイドルまがいのことをさせて笑いを取ろうという魂胆か」と否定的な目で入ったのだが……。いや、これが素晴らしかった。

なぜ女芸人3人の恋愛ソングMVが、これほど人々を引き付けているのか、考えられる理由を探ってみた。

『好きになってごめんなさい』は、片思いしていた彼に思い切って告白する一曲。しかしサビで「好きになってごめんなさい 迷惑なら無視していい 私の声が聞こえなかったんだと諦める」という、恋に自信のない女の子心を歌っている。昭和のアイドルソングを思わせるポップで聴きやすいメロディながらも、実は誰もが抱える切ない自己否定感も漂わせた、なかなか深い一曲なのだ。

そのMVは、ゆりやんがブルー、よしこがピンク、まひるがイエローと3色オンリーでオシャレカラフルにデザインされている。これが実に良くて、K-POPアイドルのMVさながらのかわいさなのだ。3人が宙に舞わせているのも、カラフルな風船かと思いきやレジ袋、というシュールさもオシャレで良い。MVを作成した監督は一般公募で募集されたそうで、ネット上には「作った人天才じゃん」という声も投稿されるクオリティの高さだ。

加えて秀逸なのが、3人の表情だ。恋にときめく女の子の幸せそうな笑顔。一転、叶いそうにない恋を思い切なくなる夜。そして、私なんかが好きになってごめんなさいという、申し訳なさそうな表情。それでもアナタを好きで良かったという、喜びと切なさが入り混じったような表情……。そこには容姿を逆売りする女芸人のあざとさはまったくなく、ただただ一生懸命恋するフツウの女の子の思いが乗っているのだ。

女芸人としていつもニコニコと性格良さそうに笑っている3人だが、一人の女性として、そうは言っても今日までツラいこともたくさんあっただろう。そういった感情をすべて昇華させてこの曲を歌い、踊っているようで、何だか泣けてくるのだ……。

MVのヒットを受け、アイドルグループNMB48の派生ユニット「LAPIS ARCH」が同曲をカバーすることが決まっている。だが、これはいただけない。「CHAO」が歌うから胸に刺さるというのに。

MVのコメント欄にも、「この人たちが歌っているからいい曲になのに、NMBが歌うとただのアイドルソングになってしまう」「再生回数負けないでほしいです。オレは断然こっち」「芸人として活動しつつこうやって歌を出した3人で歌っているからこそかわいくて共感が持てるのにザ・アイドルっていう3人組とかが歌うと本当に『好きになってごめんなさい』とか言われても嫌味にしか聞こえない……」などと、否定的な意見しか見られない。

現代の若者たちの心に想像以上の刺さりかたをした、女芸人3人の本気の恋愛ソング。一切の先入観を捨てて、ぜひ一度観てもらいたい。

  • 取材・文奈々子

    '72年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

  • 撮影山田宏次郎

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