年間300試合を生観戦する西尾典文がパ・リーグ順位を徹底予想! | FRIDAYデジタル

年間300試合を生観戦する西尾典文がパ・リーグ順位を徹底予想!

スポーツライター・西尾典文の順位予想 パ・リーグ編

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ソフトバンクはヤクルトからバレンティンを獲得し、打撃陣の層が厚くなった。ネックは守備
ソフトバンクはヤクルトからバレンティンを獲得し、打撃陣の層が厚くなった。ネックは守備

大方の予想を覆し、西武のリーグ二連覇に終わった昨年のパ・リーグ。しかしポストシーズンではソフトバンクが圧倒的な強さを見せ、1992年の西武以来となる日本シリーズ三連覇を達成した。過去10年の日本シリーズを振り返ると、2012年の巨人以外は全てパ・リーグの球団が制しており、2010年代は完全にパ・リーグの時代だったと言えるだろう。

今年のペナントレースとなると、中心となりそうなのはやはりソフトバンクだ。投手では中田賢一(無償トレードで阪神へ移籍)、福田秀平(FAでロッテへ移籍)と実績のある二人の選手が退団したが、中田は谷間の先発、福田はスーパーサブという位置づけの選手であるためそこまで大きな痛手には感じない。特に強力なのは投手陣だ。

エースの千賀滉大が出遅れているのは少し気がかりだが、力のある先発候補は多く、ローテーションを組むことには苦労しないだけの人材が揃っている。少し気になるのがリリーフ陣の故障者の多さだが、それでもこれから大化けしそうな若手でカバーできる可能性が高い。投手陣の質、量は間違いなく12球団ナンバーワンと言えるだろう。

野手は内川聖一の年齢的な衰えが気になるところだが、ヤクルトからバレンティンを獲得して更に層が厚くなった。内川、松田宣浩、デスパイネ、バレンティンらがいなくなる数年後は苦労している可能性が高くても、今シーズンに関して言えば十分に戦える戦力が揃っていると言えるだろう。

ソフトバンクの対抗に推したいのが西武ロッテだ。

西武は不動のセンターだった秋山翔吾が抜けたことは大きな痛手だが、毎年のように主力が抜けているだけにそこまでの悲壮感は感じられない。昨年MVPに輝いた森友哉がリーグを代表する捕手に成長し、主砲の山川穂高も年々風格を増している。また弱点と言われている投手陣も高橋光成、今井達也、松本航というドラフト1位で入団した投手たちが着実に成長しており、抑えの増田達至の存在も大きい。リーグ三連覇は難しくても、優勝争いに絡むだけの力は残っているだろう。

ロッテは全体的に最も勢いを感じる球団だ。美馬学、福田秀平の二人をFAで獲得したことが話題になっているが、それ以上に楽しみなのが若手の成長だ。投手では二木康太、岩下大輝、種市篤暉の若手三人がローテーション候補に名を連ねており、野手も平沢大河、安田尚憲、藤原恭大のドラフト1位三人がブレイクの時を待っている。

ここに佐々木朗希が加わったのだから、将来を夢見るなという方が無理な話だろう。野手の三人や佐々木朗希については今年の戦力という意味では計算しづらいが、投手、野手とも全体的に層が厚くなっていることは確かであり、リリーフ陣が上手く整備できればAクラス入りの可能性は高い。

残る3球団も大きく力が劣るわけではないが、優勝争いに加わるのは厳しいと見て日本ハム、オリックス、楽天の順でBクラスとした。

日本ハム中田翔、西川遥輝、大田泰示、近藤健介と上位打線に力のある打者が揃っているのは強みだが、彼らに続く選手に安定感がないのが弱みだ。来日二年目の王柏融、プロ入り三年目の清宮幸太郎がどこまで成績を伸ばせるかがポイントとなるだろう。そしてそれ以上に不安なのが投手陣。有原航平、上沢直之の先発二人は安定しているものの、三枚目以降はだいぶ力が落ちる印象。リリーフ陣も宮西尚生以外は安定感を欠いており、終盤の競り合いに弱いのも気になるところだ。

昨年最下位のオリックスは大物外国人のジョーンズを補強して戦力アップを図った。吉田正尚がリーグを代表する打者に成長し、長距離砲が二人揃うというのは非常に大きい。投手陣も山岡泰輔、山本由伸という強力二枚看板が売りで、昨年と比べて上積みは感じられる。ただ手薄な捕手、三人目以降の先発投手陣、安定したリリーフ投手の不在など弱点は多く、Aクラスには届かないと予想した。

そして最下位に予想したのがロッテとともにオフに大型補強を実行した楽天だ。投手は涌井秀章牧田和久、野手は鈴木大地ロメロを獲得し、選手層が厚くなったことは間違いない。しかし鈴木を除けばピークは過ぎた選手という印象が強く、純粋にプラスと考えられるかは大いに疑問が残る。松井裕樹が先発に転向することで、リリーフ陣も大きな不安だ。

2010年のオフにも松井稼頭央、岩村明憲、岡本真或とピークを過ぎた実績のある選手を獲得して上位進出を狙ったが、結果を5位に終わっている。その時よりも戦力は充実しているものの、急激にチームを変えようとする石井一久GMへの風当たりは強いだけに、チームが噛み合わないと考えて最下位と予想した。

2020年パ・リーグ順位予想

1位:ソフトバンク
2位:西武
3位:ロッテ
4位:日本ハム
5位:オリックス
6位:楽天

(セ・リーグ編は3月24日(火)午前7時公開です)

  • 西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究(PABBlab)」主任研究員。

  • 写真時事通信社

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