川崎F・小林悠「エリートじゃないからゴールを決められる」 | FRIDAYデジタル

川崎F・小林悠「エリートじゃないからゴールを決められる」

昨シーズンのJリーグ得点王はサッカー日本代表の救世主になれるのか

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「身体は強くない」と小林本人が語るとおり、大柄ではないが、抜群の得点感覚でゴールを量産してきた


「代表選手の経歴なんか見ると、すごく輝かしいでしょ。こっちが嫌になるくらい。そういう選手たちに対し、『こいつらをいつか見返してやる』という反骨精神は常にあります。雑草魂を忘れずに、這い上がってきたという自負がありますからね。エリートでなくても、できることはある。それを証明するのは結果だけだと思っています」

’98年、日本を初のW杯出場に導いた”野人”こと岡野雅行(45)。’02年、初のグループリーグ突破を呼び込む貴重なゴールを決めた鈴木隆行(41)。過去、日本サッカーが躍進を果たしたときには、必ずチームを勢いづかせる「救世主」がいた。そんな存在になるのは決まって、スター選手ではなく、泥臭いが誰よりも勝利に貪欲な男だった。

突然の監督交代劇に揺れる現日本代表の中にも、虎視眈々とチャンスを待つストライカーがいる。

川崎フロンターレ・小林悠(30)。

昨季は23ゴールを決めてJリーグ得点王とMVPを獲得し、チームを初優勝へ導いた。ハリルホジッチ前監督(65)にも重用されたが、これまで小林が歩んできた道のりは決して平坦ではなかった。

「高校の頃は、プロになれるなんて思ってもいませんでした」

そう語るとおり、麻布大附属渕野辺高校時代は2年連続全国高校サッカー選手権に出場したものの、目立つ存在ではなかった。「サッカーが好きだから」という理由でプレーは続けたが、進学したのも関東大学2部リーグの拓殖大だった。

「ただ、その選択が良かったのかもしれません。1年生から試合に出させてもらったことで、選抜チームなどにも選ばれるようになり、少しずつプロを意識するようにもなった」

3年時、大学のリーグ戦が休みのときだけ、水戸ホーリーホックに強化指定選手として所属。当時の水戸に怪我人が続出していた事情もあり、小林は試合に抜擢された。

「そのとき、プロでも自分はできるなと思いました。同世代ですでに活躍している選手に、羨ましいと感じている自分もいた」

卒業後、数あるJリーグのクラブのなかで川崎フロンターレを選んだのも、小林らしい理由からだ。

「当時のフロンターレのFWは、ジュニーニョやレナチーニョ、鄭大世(チョンテセ)さんなど、ホントに凄いメンバーだった。この人たちとやれば上手くなれるんじゃないかと、純粋に思いました。試合に出られないかも、とは考えませんでしたね(笑)」

逆境に打ち勝ってきた小林だからこそ、突然の監督交代もチャンスと見ている。

「ハリル監督は負けず嫌いな人で、何よりも勝利に貪欲。負けると露骨にテンションが下がっていました。学ぶことは多かっただけに、驚きだったのは間違いありません。代表の選手は皆、誰も予測できていなかったと思う。ただ、この交代も僕自身はポジティブに捉えています。西野(朗・63)さんのインタビューを聞く限り、ボール保持率をあげてチームで崩していくスタイルを目指すのかなと想像していますが、そっちのほうが僕には合っていると思うので。
僕は特別スピードがあるわけでも身体が強いわけでもない。でも、ゴール前の動き出しと、決定力には自信がある。ビッグゲームに強く、諦めないのが僕の良さ。ピンチでも負けていても、関係ない。ゴールを決めるということにおいては、誰よりも貪欲だと思います。W杯では自分よりデカくて、速い選手と戦うことになる。純粋なフィジカルでは勝てない。だから、相手の力を利用して背後を狙うなど、ガツンと来る相手との駆け引きでゴールを狙っていきます」

誰よりも勝利にこだわる小林だが、ピッチを離れると別人で、自他ともに認める”超”天然なのだという。

「ユニフォームの短パンを逆さに履いて試合に出場しそうになったり、ハーフタイムが終わっても前半と同じ陣地にいたり……。チームメイトからも呆れられる始末。私生活でも、妻に『牛乳を買ってきて』と頼まれて、『牛乳とバナナが合う』というのが脳裏から離れず、バナナだけ買ってきたことがありました(笑)」

派手好きな所は一切なく、趣味は子供と遊ぶことだ。海外サッカーにも関心がない。


「メッシのプレーを見てイメージを高める人もいるけど、僕は全く見ない。あんなプレー、できるわけないだろと思っちゃう。代表でもそのスタンスは一緒で、誰かを気にすることはないですね。僕は僕のできることをやるだけ。(本田)圭佑君(31)とも話しますが、刺激を受けるのはプレーというよりメンタル面です。彼は関西人らしくよくしゃべる人で、僕とはまったく真逆のタイプなので」

天然の雑草男・小林悠。新生・西野ジャパンの起爆剤になるのは、反骨心と大舞台でも動じぬ強靱なメンタルを持つこの男なのかもしれない。

フロンターレでは主将を任されているが、”天然”な性格で、チームメイトにいじられることも多いという

ダイレクトプレーも小林の持ち味の一つ。「シンプルにワンタッチで決めるのが理想。派手なプレーはいらない」と語った

本誌未掲載カット

本誌未掲載カット

 

写真:KAWASAKI FRONTALE(2枚目写真)

撮影:濱﨑慎治(インタビュー)

 

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