7年連続Bクラスの中日が来る! 小関順二の順位予想セ・リーグ編

ドラフトを知り尽くすスポーツライター小関順二のセ・リーグ予想!

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2019年には11勝を挙げ、中日投手陣の柱に成長した柳裕也。今季はさらなる上積みができるか

2020年セ・リーグ順位予想
1位 中日
2位 広島
3位 巨人
4位 DeNA
5位 ヤクルト
6位 阪神

パ・リーグは上昇気流に乗っているのがロッテ、ソフトバンク、オリックスと強気に予想できたが、セ・リーグは難しい。とりあえず、上がり目が見込めるのが中日だ。13~19年まで7年連続Bクラスを低迷したのは3~5年先を見込んだ補強策ができなかったためだが、15年以降、即戦力志向からバランス志向(即戦力・将来性の折衷型)にドラフトが変わり、そこで指名した選手がチームの中で大きな位置を占めるようになった。

投手では小笠原慎之介、福敬登、柳裕也、笠原祥太郎、藤嶋健人、梅津晃大たちで、ここに大野雄大、岡田俊哉たちが入って1年間を戦う態勢が整った。打者は投手陣ほど15年以降の入団組が中心勢力になっていないが、根尾昂大、石𣘺康太、郡司裕也(新人)たちがレギュラー陣を脅かす存在になってチーム内に動きが生まれてきた。さらに暗黒時代を象徴する〝負の遺産″のように見られていた高橋周平が昨年、初めて打撃10傑入りを果たし、京田陽太とともに三遊間コンビを組んでチームを牽引する立場に変わってきた。

アマチュア時代に活躍し、大きな期待を背負って入団した選手が順調に主力級に成長する、それはチームの未来設計図を描くフロント陣がきちんと仕事をしている証である。7年連続Bクラスに低迷していた時期は、フロント陣にそういう信頼感がなかった。

この中日以外「上昇気流に乗っている」と表現できる球団が見当たらないのが、近年顕著な「パ高セ低」現象をよく現わしている。まあまあ上向きかな、と言えるのが広島だろう。野手陣ではバティスタが薬物疑惑で契約を打ち切られたが、元々傑出した成績を挙げていないので新外国人、ピレラの加入で補填できる。また、田中広輔の成績急下降や菊池涼介のシーズン前の女性問題は2年目・小園海斗の成長で補える部分もある。若手の成長株、坂倉将吾、中村奨成(登録はともに捕手)や主砲、鈴木誠也の充実ぶりを見れば、プラス要素のほうが多いと言っていい。

投手陣は充実した先発陣とリリーフ陣の明暗がはっきり分かれている。先発陣は大瀬良大地、ジョンソン、野村祐輔、床田寛樹の安定勢力に、ドラフト1位の森下暢仁が割って入る勢いで、質・量ともに文句なくリーグ1位の布陣。それに対して安定感がないのがリリーフ陣だ。

15年以降、好不調の波はあったが抑えを担当してきた中﨑翔太が昨年は6年ぶりに50試合登板に届かず、セーブ数も前年の32から9に激減した。今季28歳はベテランと呼ぶ年齢ではないが急激な右肩上りが期待できる年齢でもない。昨年、チームトップの12セーブを挙げた左腕のフランスアの抑え起用が覇権奪回の重要ポイントだが、投手出身監督は往々にして日本人投手に温情をかける傾向がある。佐々岡真司監督が抑えから中継ぎへの役割変更を中﨑に伝えられるかどうかが大きなポイントになると思う。

巨人は昨年5年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、今年は「圧倒的に強い」という感じがしない。昨年、最多勝、最高勝率(15勝4敗)、最多三振奪取の三冠を達成した山口俊がブルージェイズに移籍し、先発の柱が菅野智之1人になってしまった。

それでも昨年のドラフトで6人中、高校生を5人指名したのは現有戦力で戦える見通しがあったからだろう。投手陣は菅野を筆頭に、メルセデス、桜井俊貴、髙橋優貴が揃い、ここに昨年、韓国プロ野球のSKで17勝(5敗)したサンチェスが加わり数は揃ったが、他を圧するほど強力とも思えない。

リリーフ陣は先発から回った田口麗斗、大竹寛という顔ぶれを見れば、原辰徳監督の中継ぎ陣を強化しようという意思は感じられる。抑えのデラロサに、澤村拓一、中川皓太も中継ぎに加わり、上位で戦える投手陣と言っていいだろう。

打線はリーグを代表する坂本勇人、丸佳浩、岡本和真が2~4番に座り、安定感が十分だ。ここにメジャー通算1312安打を記録し、11、13年にゴールド・グラブ賞を受賞しているパーラが加わり、リーグナンバーワンと言っていい顔ぶれになった。ただ、不安は捕手と二塁手のセンターラインに安定感がないこと。とくに小林誠司炭谷銀仁朗の捕手2人体制は不安が多い。

DeNA、ヤクルト、阪神はそれぞれ弱点を抱えている。DeNAは18年の新人王、東克樹がトミー・ジョン手術のため今季の登板が絶望的で、濵口遥大、石田健大、井納翔一も安定感がない。先発陣の中で勝ち星が計算できるのが今永昇太1人という状況はかなり危機的と言っていい。攻撃陣では4番打者としてチームを支えてきた筒香嘉智がメジャーリーグのレイズに移籍して、これも大きな穴になりそうだ。

ヤクルトバレンティンのソフトバンクへの移籍がマイナス要素と言われるが、今季36歳の年齢や外野守備のまずさもあり、移籍による穴は大きいとは思わない。むしろ15年にメジャーリーグで遊撃手としてゴールド・グラブ賞を受賞しているエスコバーが加入し、内野が整備されることのプラス要素のほうが大きい。若手の村上宗隆、廣岡大志、塩見泰隆山田哲人、青木宣親、雄平、エスコバー、中村悠平が並んだ打線は個人的には巨人に匹敵すると思う。

大きな不安要素が投手陣だ。昨年のドラフトで1位奥川恭伸(星稜高)、2位吉田大喜(日本体育大)、3位杉山晃基(創価大)、4位大西広樹(大阪商業大)を指名し、とりあえず人数不足は解消されそうだ。彼らが1年目に即戦力と言える力を発揮するかどうかは不明。個人的にはBクラスに予想した中では最も可能性を感じる球団だが、不安要素も同じくらい大きい。

阪神は投手陣こそ安定しているが課題の長打不足がまったく解消されていない。そういう課題がある中で昨年のドラフトで1位西純矢(投手・創志学園高)、2位井上広大(外野手・履正社高)、3位及川雅貴(投手・横浜高)、4位遠藤成(内野手・東海大相模高)、5位藤田健斗(捕手・中京学院大中京高)、6位小川一平(投手・東海大九州キャンパス)という高校生主体の指名を行ったことは冒険的で評価したい。ただ、今季の成績に反映されるとは思えないので、打線の弱さがそのままチーム成績の下位予想につながった。

  • 小関順二

    1952年神奈川県で生まれる。日本大芸術学部文芸学科卒業。『プロ野球問題だらけの12球団』(草思社)は2000年以来20年に及ぶ年度版として現在も継続し、スカイAが中継するドラフト会議では1999年以来、今年で21年目となる指名選手の解説を担当している。主な著書は『「野球」の誕生』(草思社)、『ドラフト未来予想図』(文藝春秋)、『野球力 ストップウォッチで判る「伸びる人材」』(講談社α新書)など多数。

  • 写真時事通信社

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