各球団の主力流出で大混戦!西尾典文の順位予想「セ・リーグ編」 | FRIDAYデジタル

各球団の主力流出で大混戦!西尾典文の順位予想「セ・リーグ編」

年間300試合を生観戦するスポーツライター西尾典文がセ・リーグの順位を予想する!

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2019年は巨人に移籍1年目で打率.292の成績を残し、侍ジャパンにも選出された丸佳浩
2019年は巨人に移籍1年目で打率.292の成績を残し、侍ジャパンにも選出された丸佳浩

昨年は原辰徳監督の復帰した巨人が5年ぶりの優勝を飾ったセ・リーグ。しかしどのチームも絶対的な力があるわけではなく、今年も混戦が予想される。

まずその要因は上位チームがいずれもオフに主力が流出した点だ。巨人はチームトップの15勝をマークした山口俊(ブルージェイズ)、DeNAは主砲の筒香嘉智(レイズ)がいずれもメジャーに移籍となり、3位の阪神もリリーフ陣の中心だったジョンソン、ドリスの両外国人が退団となっている。更に4位の広島も昨年26本塁打をマークしたバティスタを、禁止薬物の使用が発覚したことで契約解除した。これだけ揃って複数球団の主力が退団することは非常に珍しいことである。

更に国内フリーエージェント宣言した美馬学(楽天→ロッテ)、福田秀平(ソフトバンク→ロッテ)、鈴木大地(ロッテ→楽天)の三人もパ・リーグ内での移籍となった。今のところ大型トレードの発表もなく、ドラフトと新外国人選手以外は各球団上積みは見られない。

以上のことからも昨年と比べて6チームの戦力差は小さくなっていると言えるが、そんな中でもわずかにリードしているように見えるのが巨人広島だ。

巨人丸佳浩が移籍1年目からプレッシャーの中でもしっかりと結果を残したことが非常に大きい。また、岡本和真もいわゆる(主力となってから)“2年目のジンクス”にやや苦しんだものの、30本塁打、90打点をクリアし、すっかり中軸らしくなった。この二人に坂本勇人が並ぶ中軸は他の球団と比べても破壊力が一枚上という印象だ。守備の要である捕手も小林誠司、炭谷銀仁朗というディフェンスタイプと、大城卓三というオフェンスタイプの選手が揃っている

阿部慎之助が引退した後のファースト、長年レギュラーが固まらないセカンド、以外の外野など流動的な部分も少なくないが、全体的な選手層の厚さでカバーできる可能性が高い。投手陣は山口が抜け、メルセデス畠世周が故障で出遅れたことで先発が手薄なことは不安材料だが、ある程度は打線でカバーすることができそうだ。

一方の広島はまずドラフト1位で入団した森下暢仁の存在が大きい。今年プロ入りしたルーキーの中では即戦力度は間違いなくナンバーワン。常時150kmに迫るストレートと多彩な変化球をしっかりコーナーに投げ分けるピッチングは安定感十分で、故障さえなければ二桁勝利も期待できる。先発の一角である野村祐輔が故障で出遅れているものの、大瀬良大地、K・ジョンソンの二人も計算できる。先発投手陣の充実ぶりはリーグの中でナンバーワンと言えるだろう。

野手陣もメジャー移籍を目指した菊池涼介が残留したことが大きい。ただバティスタが抜けたことで安定して長打を期待できるのが主砲の鈴木誠也だけであり、中軸の迫力は巨人に比べると一歩劣る印象だ。またリリーフ陣もリーグ三連覇を支えた中崎翔太、一岡竜司、今村猛などが揃って調子を落としている。巨人と比較すると、トータルしてわずかに劣るというのが現時点での印象だ。

残る4球団は上位2チーム以上に混戦が予想されるが、わずかにリードしているように見えるのが昨年2位のDeNAだ。

筒香が抜けた穴は大きいが、宮崎敏郎、ソト、ロペスと実績のある打者が並び、過去2年間不振に苦しんだ梶谷隆幸が復調気味なのも心強い。投手陣はエースの今永昇太に続く先発が不安定で一昨年の新人王である東克樹が故障で全休となるのも痛いが、抑えの山崎康晃が安定しているのは大きな強みだ。上位2球団には劣るものの、3位に入る戦力は備えているだろう。

残る3球団の順番は更に難しいが、選手層を鑑みて阪神、中日、ヤクルトの順としたい。

阪神は冒頭で触れたようにリリーフの外国人投手二人が抜けたのは痛いが、それでも投手陣はある程度コマは揃っている。先発は西勇輝に安定感があり、抑えの藤川球児も昨年見事な復活を見せた。投手陣をリードする梅野隆太郎の存在も大きい。外国人選手が大当たりすれば、DeNAを上回る可能性もあるだろう。

中日はある程度レギュラーが固まっているのは強みだが、全体的に出来上がった選手が多く、昨年以上の成績を期待できそうなのが高橋周平くらいしか見当たらない。投手陣も楽しみな若手はいるものの、リリーフに苦労しそうだ。

昨年ダントツの最下位に沈んだヤクルトはドラフトで積極的に投手を補強し、ソフトバンクの育成契約が切れて自由契約となった長谷川宙輝を支配下で獲得するなど弱点を埋める姿勢は見える。ただ長年中軸を務めたバレンティンが退団し、投手、野手とも層の薄さが気になる。昨年のように圧倒的な最下位になることはなさそうだが、上位進出は難しいだろう。

2020年セ・リーグ順位予想
1位:巨人
2位:広島
3位:DeNA
4位:阪神
5位:中日
6位:ヤクルト

  • 西尾典文(にしお・のりふみ)

    スポーツライター。愛知県出身。’79年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究(PABBlab)」主任研究員。

  • 写真AFP/アフロ

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