日米首脳会談の収穫ゼロ 安倍首相は「税金でハンバーガー食べた」
安倍外交は「OB連発」
「交渉事でタフなシンゾーが、ゴルフまでタフになったら困るじゃないか」
久々のプレーに苦戦するも、プロゴルファーの助言を受け調子を取り戻した安倍晋三首相(63)に、ドナルド・トランプ大統領(71)はそうジョークを言い、首相は相好を崩す――。
4月18日、米国フロリダ州の「トランプ・インターナショナル・ゴルフ・クラブ」で、両首脳は3度目のゴルフを和やかに楽しんだ……とされている。
プレー後、大統領は、「ここのハンバーガーは最高なんだ。一緒に食べないか?」と安倍首相を誘い、二人は米国流特大バーガーを頬張りながら褒め合った。
安倍
「これは確かに最高ですが、日本で食べたバーガーも美味しかったでしょう? あれはUSビーフですよ」
トランプ
「Oh!(親指を立てる)」
トランプ氏は「日本人の拉致問題解決に向け最大限の努力をする」と語ったと言い、安倍首相は大喜び。日米首脳会談は「満額回答だ」とアピールした。
だが、本当にそうなのか。首相の甘さを批判するのは、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』の著書がある東京新聞論説委員の五味洋治氏だ。
「これまでの言動を見れば明らかですが、トランプ氏はアメリカの国益、自身の人気に反映しない問題では動きません。今は秋の中間選挙に勝つための材料になるかどうかが判断基準。日本の拉致問題が、果たして選挙対策になるのか。仮に北朝鮮に対して働きかけをしたとしても、いずれは『武器を買え』『通商問題で譲歩しろ』と、より大きな見返りを求めてくるのが目に見えています」
実際、拉致問題についてはリップサービスをした大統領だったが、他の案件では、満額回答どころかゼロ回答、ゴルフで言えばOB連発の状態だった。
トランプ
「米国には690億ドル(約7兆5000億円)もの対日貿易赤字がある。何とかならないのか」
安倍「米国の大規模減税により、日本から米国に700億ドル(約7兆6000億円)のマネーが流れている。トータルで見れば米国のほうが黒字になっている」
ゴルフ談義とは打って変わり、米国にとって「本丸」の日米通商問題については、互いの主張が激しく衝突。どこまでも平行線のままだった。
「米国のTPP(環太平洋経済連携協定)復帰も、日本に課せられた鉄鋼・アルミの追加関税措置の解除もできなかった。実利的には成果無し」(閣僚経験者)
首相は、さらに別方向からも大統領の追及を受け、タジタジになったという。
「『G7でロシアの外交官を追放しないのは日本だけだ。なぜしないのか』と詰め寄られたそうです。英国で起きたロシアの元スパイ暗殺未遂事件を受け、米英は協調してロシアに圧力をかけている。でも安倍首相は、低迷し始めた支持率回復の切り札として訪ロを画策しているので、いくら非難されても返答のしようがなかった」(外務省関係者)
ハンバーガーを食べた後、両首脳はワーキングランチに入った。そこで再び、たっぷりと料理が供されたが、トランプ氏はさっき食べたばかりだというのに、これもペロリと平らげてみせた。
一方で安倍首相は満腹で、ほとんど手をつけることができなかったという。政治的パワーも食欲も、70歳過ぎのトランプ氏に押されっぱなし。安倍首相はまさしく「ハンバーガーを食べただけ」で帰ってきたというわけだ。
前出・五味氏はこう語る。
「安倍首相は『拉致問題解決のためなら何でもする』と言っているが、それが『トランプ大統領に代理で任せる』というのでは、拉致被害者は帰ってこない。本気で取り返すつもりなら、『私が平壌に乗り込んで取り返す』と覚悟を持ってはっきり言うべきです。国内政治は混乱中ですが、外交でも今、真価が問われている」
何でも周囲のせいにして逃げてきた安倍首相だが、今度失敗したら「トランプのせい」と言うつもりなのか。
写真:AP/アフロ(1枚目写真)、内閣広報室提供(2枚目写真)