覚せい剤の蔓延、軍の略奪行為……金正恩も知らない北朝鮮犯罪事情

南北首脳会談を目前に控え交通事故で中国人旅行者が36人死亡

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中国人乗客を見舞う金正恩氏。朝鮮中央通信は「血縁者を奪い去られた家族を思うと、金氏は悲しみを抑えられなかった」と報じた

北朝鮮で4月22日、バスが橋から転落する事故があり、中国人観光客32人と、ガイドとみられる北朝鮮人4人が死亡する惨事となった。中国とアメリカの報道によると、乗客は北京の旅行会社が募集したツアーの参加者で、バスは開城(ケソン)から平壌(ピョンヤン)に戻る途中、高速道路の橋から落ちたという。

「北朝鮮では多数の犠牲者が出る重大事故が多発しています。高速道路が老朽化して穴が空いているところも多く、非常に危険です。バスが転落した高速道路は27日から開催される南北首脳会談に向けて大規模な補修作業中だったとも伝えられています」(全国紙外信部記者)

金正恩朝鮮労働党委員長は事故翌日、在北朝鮮中国大使館を訪れ、遺憾と哀悼の意を伝えた。金氏が他国の大使館を訪れるのは極めて異例で、負傷した中国人を病院に見舞ったこととあわせて、中国との友好路線をアピールした。6月に開催される米朝首脳会談前に、中国を味方につけるためとの見方もある。

一方、金氏が庶民の生活に直接触れる機会は、極めてまれ。金氏の知らないところで、社会の矛盾が噴出している。その最たるものが、覚醒剤の蔓延だ。

「国民の8割がやっていると言う人もいますが、そこまではいかないにしても、相当数に広まっています。昔の日本のヒロポンのような感覚で、『覚醒剤が危険なもの』という認識がないのです」(ジャーナリスト・高英起氏)

医療の一環として覚醒剤が使用され、強壮剤としても使われる。金氏は危機感を持ち、「厳罰に処する」と繰り返しているが、日本のように高価で取引されるわけではないので、疲労や空腹をまぎらわすために使用する国民を止めることができない。

軍隊の略奪行為も頻発している。困窮した軍人が共同農場などを襲撃して農作物を奪う、軍人による強盗事件が日常的に起こっているのだ。


「朝鮮人民軍は120万人規模で、国民の20人に1人は軍人ですから、末端の軍人は食料不足にあえいでいる。もう軍人なのか盗人なのか区別がつかない状態です。彼らは武器を持っているし、訓練も受けているので、普通の盗人より怖いのです」(『コリア・レポート』編集長・辺真一氏)

軍人も切羽詰まっており、庶民も、カネになることなら何でもやる。闇市はもはや公認状態で、当局はそこから「上がり」を取ることに腐心している。韓国への脱北者への携帯電話サービスや、脱北ブローカーまでいる。金氏が知らないところで、国民総犯罪化が進んでいるのだ。

写真:KNS/KCNA/AFP/アフロ

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