「さよなら大杉漣さん」たけし、松田龍平、草彅、木村佳乃らが別れ
「漣さん、お元気ですか? そっちの生活はどうですか?」
遺影に語りかけた草彅剛は、「漣さんみたいな優しくていい人をこんなにすぐ天国に連れてっちゃうなんて、神様はほんとにいるのか」と、言葉を詰まらせた。
2月21日に急性心不全で急死した俳優の大杉漣さん(本名・孝(たかし)、享年66)のお別れ会が4月14日、東京・青山葬儀所で営まれた。「さらば! ゴンタクレ」(「ごんたくれ」は阿波弁で「ゴロツキ」の意)と名付けられた会には、「嫌いな人がいないくらい愛されていた」(椎名桔平)という人柄を反映して、参列者は約700人。ビートたけしをはじめ、浜田雅功、泉ピン子、加藤茶、稲垣吾郎、村上信五、松田龍平、木村佳乃、二階堂ふみらが続々と姿を見せた。ファンも1000人以上が訪れ、早すぎる死を悼んだ。
会では、まず、大杉さんのメモリアル映像がスクリーンに流された。田口トモロヲのナレーションによる経歴紹介や出演作品のダイジェストなどだ。映像の最後には長男で写真家の隼平さん(35)が撮った写真が映しだされた。1月21日に故郷・徳島で行われた「大杉漣BAND」のライブ中に、ステージ上の父親を後ろから撮影したものという。野原をイメージした祭壇には、隼平さんが撮影した遺影の下に、サッカー好きだった大杉さん愛用のユニフォームや愛用の帽子が並べられた。
ドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)のロケ先で、ホテルに戻ったのちに倒れ、そのまま病院で息を引き取った突然の死。その衝撃は今なお大きく、会場は悲しみに包まれた。木村佳乃は、「れんれん」「よしよし」と呼び合う仲だったと明かし、「漣さんのことが大、大、大好きです。漣さんに、もう一回、『よしよし』と呼んでもらいたかった」と号泣。『バイプレイヤーズ』の出演者、田口トモロヲ、遠藤憲一、光石研、松重豊が並び、田口が代表して、「大杉漣の後輩であったことを誇りに思う」と弔辞を述べた。俳優、大杉漣を見出し、自身が監督する10本以上の作品に起用したビートたけしは、会場では口を開かなかったが、直後に出演したテレビ番組で、「遺族には失礼で不謹慎だが、一番いいときに死んだんじゃないか」と、たけし節で思いを語った。
午後1時からの会は予定を大幅にオーバーして4時過ぎまで続いた。最後まで残ったのは『バイプレイヤーズ』のメンバーたち。別れを惜しむように一緒に会場を後にした。献花の際に流れたのは大杉さんがいつも聴いていたトム・ウェイツの『土曜日の夜』。「愛する人を求める男の姿」を歌った名曲と大勢の仲間、ファンに送られて、土曜のこの日、大杉さんは天国に旅立った。
大杉さんの訃報を伝える自身の番組では涙を流し続けたビートたけし。この日はサングラス姿で終始無言だった
「6人の名脇役がシェアハウスで暮らす」というコンセプトのドラマ『バイプレイヤーズ』のメンバーは最後まで会場に残っていた
『弾丸ランナー』や『ポストマンブルース』という佳作で大杉漣さんと共演した堤真一と田口トモロヲ
撮影:蓮尾真司