告発で話題・岩田健太郎教授「クルーズ船内」の全てを語った | FRIDAYデジタル

告発で話題・岩田健太郎教授「クルーズ船内」の全てを語った

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岩田教授はエボラ出血熱やSARSなど数々の感染症と相対してきたが「感染の恐怖を感じたのは今回が初」
岩田教授はエボラ出血熱やSARSなど数々の感染症と相対してきたが「感染の恐怖を感じたのは今回が初」

ウイルスがいるかもしれない「レッドゾーン」と、安全な「グリーンゾーン」がグチャグチャに入り乱れていて、どこが危険なのかがわからない。なのに、船内で作業する医師や厚生労働省の職員らスタッフはマスクもしていなかったり、手袋だけ嵌めていたり――。

2月18日、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授(48)が『YouTube』にアップした船内レポートは世界に衝撃を与えた。勇気ある告発だと讃える声もあれば、「現場を混乱させた」と批判する声も上がった。事実、岩田教授は乗船から2時間で船を降ろされているのだが、沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長の高山義浩医師はSNSで〈あの方がいると仕事ができないということで、下船させられてしまったという経緯です〉と〝追放〟理由を明かしている。

だが、岩田教授は敢然と反論する。

「車が崖から落ちそうになったとき、ハンドルを切ろうとしたドライバーに『勝手なことをするな』と言うようなもの。危ないのがわかっているのに、皆で谷底に落ちることを選ぶなんておかしい」

岩田教授があらためて当時を振り返る。

DMAT(厚労省の災害派遣医療チーム)メンバーとして、岩田教授が乗船したのは2月18日。その手助けをしたのが件の高山医師だった。国際医療福祉大学の和田耕治教授の案内で船内を回るうち、目にしたのが冒頭の光景だ。

「防護服は必要ないと言われていたので私はマスクしかしておらず、危険を感じました。そんな中、『散歩の時間です』というアナウンスが流れた。隔離と言いながら、乗客が部屋の外を自由に歩いていたのです。レッドとグリーンのゾーニングをせめてあと3m離すだけでも危険性はだいぶ低下する。夜のミーティングで、そう提案するつもりでいたのですが……」

視察中の岩田教授に電話が入った。

「高山先生でした。『船から降りてください』と。誰の指示なのかは言えない、ということでした。私が感染対策のアドバイスをしたことで現場が困惑した。高山先生はSNSでそう説明していましたが、事実ではありません。『PCR検査の同意は口頭でも取れますか?』などと質問しただけで、指示は出していない。

下船にあたり、私が『感染対策するプロが一人もいなくなっちゃいますよ。それでいいんですか?』と言ったことにも高山先生は『感染症や公衆衛生を専門とする医師が乗船している』と反論しています。たしかに専門家チームはいました。しかし『いた』だけで決定権は与えられていなかった。ゾーニングについて和田先生と意見が一致したのですが、『なぜやらないのか?』と問うと『いろいろあるんです』と濁していた。感染対策としてそれでいいのか、と言いたかったのです」

問題点を指摘した専門家が「愚弄された。けしからん」と追い出される。しかもそのプロセスは不透明。「諸外国なら大問題だ」と岩田教授は憤る。

「北海道の感染者が111人と多いですが、道民人口から考えると感染爆発はしていない。東京で1000人以上を検査して陽性率が10%未満ですから、検査数が極端に少ないわけでもない。国内の感染者の大半がダイヤモンド・プリンセス号での感染。同船での対策が失敗だったということです。この事実を直視し、検証して次に活かすことが大切です」

ダイヤモンド・プリンセス号で場当たり的な対策に終始した結果、日本中に感染が広がった。この教訓に学ばなければ、ウイルスとの闘いに勝利する日は来ない。

橋本岳厚労副大臣がSNSにアップした船内の画像(現在は削除)。「清潔」と「不潔」ルートが近く、軽装のスタッフの姿も
橋本岳厚労副大臣がSNSにアップした船内の画像(現在は削除)。「清潔」と「不潔」ルートが近く、軽装のスタッフの姿も

『FRIDAY』2020年3月27日・4月3日号より

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