金正恩が意外な手段で北朝鮮のコロナを封じ込めている可能性

人民に向けたスローガン写真を入手!

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民家にかかげられた北朝鮮のスローガン。「新型コロナウイルスを徹底的に防ごう」と書かれている。対策は合理的だ

北朝鮮北東部にある会寧の全巨里(チョンゴリ)教化所(刑務所)で、10日ほどの間に11人の受刑者が胸の痛みや呼吸困難を訴え死亡した。3月上旬のことだ。全巨里教化所は主に脱北に失敗した人が収容され、環境は劣悪。日常的に虐待が行われていることで知られる。

現地から情報を得た『デイリーNKジャパン』編集長・高英起氏が語る。

「全巨里教化所では、栄養失調や病気などで亡くなる人は珍しくありません。ただ短期間に11人が同じような症状で死亡するのは異例です。教化所は免疫力低下による健康悪化が死因だとし、遺体を急いで処理し10時間にわたり施設全体を消毒。事実が外部に漏れないようかん口令がしかれていますが、面会者や警備員を通じて新型コロナウイルスに感染していた可能性もあります」

北朝鮮当局は、表向き国内にコロナウイルスの感染者はいないとしている。3月9日の労働新聞も「我が国の完璧な政策で感染した人間はゼロ」と報じているのだ。前出の高氏は「にわかには信じがたい発表」と話す。

「コロナウイルスの発生元である中国と密接な関係にあるので、当然、感染者がゼロということはありえません。拡大している可能性があるのは、劣悪な環境に置かれている教化所の受刑者。そして3度の食事にもこと欠く、末端の兵士たちでしょう。兵士たちは生きるために中国との密貿易など、サイドビジネスをせざるをえない。おのずと中国人との接触も増えます。コロナウイルスで180人ほどの兵士が死亡し、3700人ほどが隔離されているという情報もあるんです」

だが、意外にも一般人民への感染拡大は抑えられているという。

「当局は、自分たちの医療体制が脆弱であることをよく理解しています。そのため封じ込め作戦や、濃厚接触の禁止などが徹底されているんです。金正恩委員長が独裁の全体主義国家だからこそ、迅速に対応できる。’02~’03年に蔓延したSARSの時も、北朝鮮の被害は比較的軽微でしたから。今回も中国からの観光客受け入れを全面停止したのは、1月22日と比較的早い段階でした」(高氏)

中国と国境を接する恵山の民家には、次のようなスローガンが掲げられ、人民に注意を喚起していた。

〈新型コロナウイルス感染症を徹底的に防ごう 炭ガス注意 電気注意 水を沸かして飲もう〉

「『炭ガス』とは一酸化炭素のことです。石炭の不完全燃焼による中毒事故を防ごうという呼びかけだと思います。良いか悪いかは別として、北朝鮮では国の政策が徹底されている。取り決めに違反した者や重篤な感染者を、即銃殺することもできます。感染拡大を、ある程度抑えられているのは事実でしょう。労働新聞や朝鮮中央テレビで報じられる金正恩氏は、マスクをつけていません。自分たちはコロナウイルスを抑えられている、北朝鮮は安全だとアピールする狙いもあると思います」(高氏)

感染者が拡大すれば、人民の不満が高まり政権転覆の危険性も出てくる。だからこそ、金正恩氏はコロナウイルスに神経をとがらせ、徹底的に抑え込もうとしているのだ。

  • 写真デイリーNK提供

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