江口夏実が語る『鬼灯の冷徹』の連載こぼれ話と次回作のこと

超レアなインタビュー。驚愕のエピソード、満載!

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発売中の『鬼灯の冷徹』30巻。最終の31巻は8月21日発売

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地獄の日常を描いて9年! 閻魔大王の有能な補佐官で、実質的な地獄の番人「鬼灯」を主人公に、地獄のあれやこれやをコメディタッチで描いた人気マンガ『鬼灯の冷徹』が惜しまれつつ終了した。そこで、このタイミングで連載中のこぼれ話、プライベートのこと、次回作の構想まで作者の江口夏実氏にじっくり聞いてみた。とんでもないエピソードがガンガン飛び出すのだが、それを特に大変な風でもなく明るく話してくれたのが印象的だった。

ーー9年間の連載、お疲れ様でした。

何年たったのかよくわかりません(笑)。

ーー終わって、いかがですか?

まだ画集の表紙(8月上旬発売予定)や、単行本の最終巻(31巻は8月21日発売予定)の作業があって、キャラクターはたくさん描いてるので、あんまり終わった感じはしません。あ、でも「寝てるな」という感覚はあります。

ーーそんなに寝てなかったんですか?

さすがに若かったからできたのだとは思うのですが、週刊連載の時は3時間寝て3日起きてる、という状態でした。それで隔週連載にしてもらったんです。描きたい部分を全部自分で描いてしまうので。

ーー背景はアシスタントさんに任せたりしない?

自分で考えた地獄の景色って、当然自分の頭の中にしかないんですよ。それをアシスタントさんに説明できない(笑)。資料写真を撮りにも行けないので。サンプルを描くということも難しかったです。地獄は272ヵ所もあるので、いつどの地獄を描くことになるかわからないので。

ーーひゃー! それを全部アナログで描いてるんですよね? 大変ですね。

もともと大学で日本画を専攻してたんです。日本画ってアナログの極みというか、手で描いてる感触が好きなんです。コピック(カラーマーカー)を塗ってるときににじむ感覚とか「手が覚えてる」という感じですね。それがないと「描き甲斐」がなくなってしまう気がするんです。大変さは出てくるキャラによって違いますね。

ーーどのキャラが大変でしたか?

「座敷童子」ですね(即答)。描くのは好きなのですが、双子なので必ず1コマに2人描かなきゃいけないんです。顔をそっくりに描いて、その上で色を分けなければならない。それをコピペではなくて全部手描きでやってたので、そこは大変だったかもしれません(笑)。

ーーそもそも、なぜ地獄を舞台にした話を描こうと思ったんですか?

水木しげるさんが一番好きということが大きいですね。「妖怪をとおして見る世界」が好きだったんです。それに、小さい頃にあったオカルトブーム、ぎりぎり宜保愛子を知っていて、大槻(義彦)教授の番組も見てました。あと、両親の影響は大きいですね。父が『ウルトラQ』が大好きで、私は世代ではないんですけれども、再放送でよく見てました。母は古典の教師で怪談とかに理解があって、言えばなんでも買ってもらえたり。

ーー「地獄についての英才教育」を受けたみたいな感じですね。

地獄って、人間の業が詰まってるので、なんでもありだと思います。あと、あの世には亡くなった方が全員いるんだな、だとすると誰でも出せるなっていうこともありました。

ーーだから、キャラクターの数がこんなにすごいことになっちゃったんですよ。どれくらいのキャラを登場させたか覚えてますか?

いやあ、どれくらいでしょう? 272話なので、200くらいはいるでしょうか。いや、もっとかも。自分でもはっきりとはわかりません。

ーー主人公・鬼灯のキャラに関して伺います。非常に有能でハッキリした物言いをしますね。モデルというか、参考にした対象ってありましたか?

特に誰ということはないのですが、前に仕事をしてた時の影響は多少あるかもしれないです。会社にいたときに、会社でハッキリとモノが言える人はめったにいないなと体感しました。大学を出て、販売の会社に勤めていたんですけど、入社して3ヵ月で、ある支店の店長を任されたんですよ。勤めてるパートさんは全員年上で、優しく接してはくれたんですけど、向こうの方が経験があるし、まあ私の言うことを素直に聞いてくれるわけではありません。そのあたりのことがあって、ハッキリとモノを言うキャラになったっていうのはありますね。あと、現実で、ハッキリとモノを言えて注目される人って声がいいと思います。アニメになった時『鬼灯』の声を安元洋貴さんがやってくださって、低くていい声で「ものすごく説得力が増したな」と思えて、とても嬉しかったですね。

ーー作品に通底するテーマ、みたいなものはありましたか?

1話ごとにはあったりもするのですが、それは読んでいただければいいので。テーマではないですが、心情として「地獄ってあるのかも」って思ってもらえたらいいかなとは考えてました。必要以上に怖がることもないですけど、どこかでちょっと考えるだけで、生活が違ってくるんじゃないかと思うんです。少し自制心が芽生えたり。誰かに嫌な目にあわされたとして、地獄があるんだとしたら「バチが当たって地獄に落ちるからいいや」と思えば、私刑(リンチ)をしようと思う必要がなくなって、多少前向きになれることもあるんじゃないかなとは考えていました。

ーーおお、さすが「地獄の広報担当」みたいですね。では、一気に質問を変えて。連載が終わってからやったことってありますか?

今さらガラケーからスマホに変えました。今まで変えてなかったのは、私が機械に疎い人間なのと、あと変えたら変えたで慣れるのに1日はかかるなと考えてしまって。その1日が取れなくて。1日が取れても疲れて寝ちゃったり、とか。

ーーあははは、1日が捻出できない! それ以外では?

スペイン旅行に行きました。プライベートで旅行に行ったのは6年ぶりだったと思います。連載中もイベントで各所に行ったりはしていたんですけど。

ーーいやいや、それは仕事であって、プライベートではない。

徹夜してそのまま飛行機に乗る、みたいなことばっかりでした(笑)。離陸したのを覚えてなくて、気がついたら北海道に着陸してたとか。

ーー悲しすぎます。スペイン旅行ではそんなことはなかったんですよね?

大丈夫でした(笑)。8日間のツアーで行ったので定番のところはだいたい全部回りました。バルセロナのサグラダ・ファミリアとかガウディの建築や、グラナダのアルハンブラ宮殿とか。食べ物もとっても美味しくて、本当に行って良かったです。あと、このタイミングで何かインプットをしておかないと今後の作品作りに困るなというのもありました。

ーー今後の予定についてはどうですか。

「アフタヌーン」で、32ページの読み切りを描くことは決まっています。『鬼灯』とは全然違うテイストで、コメディでもないです。時期は・・・『鬼灯』の単行本と画集の作業が終わってからだから・・・夏前ぐらいには・・・すみません、はっきりとは・・・。そのあとに「モーニング」でもどういうのをやりたいという話はちょくちょくしてはいて、これも秋ぐらいに始められればいいとは思ってるんですけど、ちょっと時期に関してはまだ未定ですね。

ーーそれは楽しみです。では最後にこれは言っておきたい、ということはありますか?

うーん、なんだろう? あ、『鬼灯』の最終巻が8月に出ますのでよろしくお願いします。

ーーあははは、それは大事なことですね。今日はどうもありがとうございました。

気になる単行本は30巻が発売になったばかり。最終の31巻は8月21日に発売予定だ。また江口夏実氏が連載の合間を縫って描きためた渾身のイラスト120枚超をオールカラーで収録した『鬼灯の冷徹 落書き帳』も好評発売中。そして、8月上旬にはカラーイラスト集第2弾『極彩絵画 弐』、さらには連載完結記念の超豪華原画集セット『地獄玉手箱』(完全受注生産・予約は2020年9月11日まで)も控えている。ファンの方はお見逃しなく!

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