韓国サムスン電子が五輪延期で「本当に頭を抱えている」理由

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サムスン電子は18日に定期株主総会を開き「コロナウイルスのため今年のスマホ市場は萎縮する」と語った/写真 アフロ

韓国企業で唯一の五輪最上位パートナー

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、東京オリンピックが1年延期になり、連日、お隣の国・韓国でも大きなニュースになっている。

日本と同様、韓国でも各種目の代表選手の選考や1年後に本当に開催できるのかなど、様々な内容が取りざたされるなか、目立つのは韓国を代表する財閥企業が困惑しているという話題だ。

総合ニュースサイト「news1」では「東京五輪が1年延期になり、サムスン電子やLG電子など、企業のマーケティング戦略の全面修正は不可避になった」と伝えている。

記事ではサムスン関係者が「五輪や(サッカーの)ワールドカップがある年は、どの年よりも繁忙期とみてプロモーションを展開してきた。ただ延期が決まり、これからマーケティング戦略をどのように立て直すかは、すぐに明らかにはできない」と語っており、五輪を的にしぼって進めてきた戦略を改めて見直さざるを得ないと明らかにしている。

サムスン電子は、東京五輪の最上位にあたる「ワールドワイドオリンピックパートナー」14社(コカ・コーラ、トヨタ、パナソニック、ブリヂストン、オメガなど)のうちの一つ。

東京五輪をスポンサードする韓国唯一の企業でもある。それに五輪の公式スポンサー契約を2028年まで延長している。

また、同サイトは「サムスン電子は五輪で、5G、AI、ARなどの技術権利を確保した。こうした契約を基盤に、今回の東京五輪で最近発売を発表した『Galaxy S20』と『Galaxy Z Flip』をメインに、サムスンが持つ最新技術を見せていく予定だったが、それが1年後になった」と、特に新機種のスマートフォンを東京五輪でアピールできなくなったのは痛いと指摘している。

というのも、日本のスマートフォン市場で、サムスンのスマートフォンのシェア率は3~4位にとどまっている。日本ではアップル製の「iPhone」が1位を占めているからだ。

サムスンが推したかった「5G先進国」

そのうえで、韓国の経済ニュースサイト「BUSINESS POST」はこう分析する。

「グローバルスマートフォンで販売1位のサムスン電子だが、日本市場の成績は悪い。つまり東京五輪はサムスン電子にとって、絶好のチャンスでもあった。国際オリンピック委員会(IOC)のモバイル・コンピューター分野における公式スポンサーだからだ。世界14社の最上位スポンサーのうち、サムスン電子だけが、唯一のスマートフォンを製造する企業なので、“五輪特需”が期待されていた」

日本ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが5Gの商用サービスをスタートさせたばかり。韓国ではいち早く2019年4月に5Gサービスが始まり、1年が経とうとしている。サムスン電子としては「5G先進国」として、日本での商用化に焦点を合わせた日本市場の攻略を準備してきた――というわけだ。

1年延期でマーケティング戦略が再び振り出しに戻ったわけだが、こんな見方もある。

大手ニュースメディアの現地記者によれば「去年の日本の半導体輸出規制や、今年に入り韓国人の入国制限措置などによって、両国の関係が悪化し、サムスン電子が日本国内の消費者たちに積極的な広報活動がしづらい状況だったはず」という。日韓の状況改善によっては、「1年延期も決して悪くない」と見ている。

しかし、新型コロナウイルスの世界の感染状況を見ている限り、1年後に必ず東京五輪開催できるという保障もない。それでも、状況を見守りながら、スポンサーサイドも少しずつ戦略を練り直していくしかなさそうだ。

  • 取材・文金明昱

    キム・ミョンウ/1977年、大阪府出身の在日コリアン。新聞社、編集プロダクション、ゴルフ専門誌記者などを経てフリーに転身。現在はスポーツライターとして、サッカーのJリーグや代表戦、女子ゴルフを中心に取材し、週刊誌やスポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。韓国・北朝鮮スポーツにも精通。過去6回、北朝鮮を訪問して現地取材。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)

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