栄監督をハメた怪紳士 ガッツ石松も被害者だった
真相追究第3弾
「あいつは、まったく『OK牧場』じゃない。『許せない』という感情を通り越していますよ。正直、俺ももう関わりたくないと思っていたんだけど、今度は栄監督の件で、暗躍しているというじゃないか。問題解決の助けになるなら、ヤツが俺に行った悪事をすべて話すよ」
そう語るのは、元ボクシング世界チャンピオンのガッツ石松氏(68)である。
今年1月18日に内閣府に提出された告発状に端を発した、日本レスリング協会強化本部長・栄和人氏(57)のパワハラ騒動。本誌はこれまで、2週(3月23日号、同30日号)にわたって、告発騒動の背後で、芸能界に悪名が知れ渡る怪紳士Sが暗躍していたことを報じてきた。恐喝や美人局(つつもたせ)など、数々の事件を起こしてきたSだが、過去には、ガッツ氏もワナにハメていたことが明らかになった。
「Sと知り合ったのは、’00年頃。俺の行きつけだった東京・杉並のレストランに、いきなりあいつが現れたんです。マスターに俺が常連だと聞いたみたいで、『俺もボクシングやってました。仲良くさせてください』『ガッツさんの奥様と同じ岩手出身なんです』と、ペコペコ挨拶された。180cmはあるタッパに似合わず、腰の低いヤツだな、と思いましたよ。
その後、Sはインファイトを仕掛けるように接近してきた。Sに招かれて、岩手で講演をしたこともあった。あいつは俺を『親代わり』と紹介してました。また、Sは一時、目黒でマッサージ店を経営してたんだけど、俺を勝手に『共同経営者』にしていたこともありましたね」
Sに不信感を覚え始めたガッツ氏だが、調子の良さで煙に巻かれ、関係は続いた。しかし、出会ってから2年ほど経って、Sの悪事が耳に入ったという。
「俺の名前を使って、いろんな人からカネを集めていることがわかったんです。怪しげなビジネスをぶち上げ、『出資してくれ。バックにはガッツがいるから大丈夫だ』と。その話を知人から伝え聞いた俺は、ある日、ご機嫌伺いで電話をかけてきたSに詰問した。しかし、あいつは逆ギレしたんです。『てめーコノヤロー』と始まって、『俺を怒らすとどうなるかわかってんのか!』と。しかも、今度は『ガッツに脅されている』と周囲に吹聴しだしたんだ。栄さんのように告発状を出されるまでにはならなかったけど、周りには相当の迷惑をかけた。以来、Sとの付き合いはきっぱりやめたよ」
本誌は今回、ガッツ氏の他にも、Sと過去にトラブルになった人物から話を聞くことができた。ある格闘技イベント関連会社の経営者が証言する。
「私がSとトラブルになったのは、’03〜’04年にかけて。きっかけは、私がアイツに貸した5万円です。何ヵ月経っても一向にカネを返さないSに文句を言ったら、信じられない嫌がらせが始まりました。ひっきりになしに無言電話をかけ、挙げ句の果てには、私の近所の住人に『〇〇はセックスレスでストレスが溜まり、人を脅している』というビラを撒き散らしたんです。ビラを撒く前日にSから”予告電話”があったので、アイツの犯行なのは間違いありません。なぜ、たかが5万円でここまでやるのか……。その粘着性は異常としか言えません」
本誌はSの携帯に連絡を入れたが、今回も応答はなし。伊調馨の名前を使い、栄監督を搦め捕ったこの男は、少なくとも20年前から、同じ手口で芸能界に巣食い続けてきたのだ。
撮影:田中利勝(1枚目)