『テセウスの船』成功のウラに竹内涼真が見せた“大映ドラマ”魂

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2月上旬の早朝、江東区内の運送会社でロケ中の竹内に遭遇。寒風が吹きすさぶ中、作業着姿でロケに臨んでいた

竹内涼真主演の日曜劇場『テセウスの船』(TBS系)の最終回が3月22日に放送され、平均視聴率19.6%と前週に比べて4.7ポイントアップ。この結果を受けて、『テセウスの船』は1月にスタートしたプライムタイム民放冬ドラマの全話平均視聴率でトップに躍り出た。

「このドラマは、平成元年に警察官の父・佐野文吾(鈴木亮平)が起こした殺人事件によって世間から後ろ指を指され、身を隠すように生きてきた主人公・田村心(竹内)が、あるきっかけから平成元年にタイムスリップ。父と共に真相を追いかけるヒューマンミステリー。

木村拓哉主演の『グランメゾン東京』と7年ぶりに帰ってくる『半沢直樹』の間に挟まれ、期待薄だっただけに、この大ヒットは驚きです」(ワイドショー関係者)

特に最終話では、文吾(鈴木)を無実の罪に陥れた”黒幕”が、ついに明らかになるという手に汗握る展開に、視聴者はテレビの前に釘付け。あと少しで平均視聴率20%に迫る勢いをみせた。しかし、今回の高視聴率は、決して偶然の産物ではない。

「TBSの日曜劇場といえば、企業ドラマやヒューマンドラマのイメージが強く、果たしてミステリードラマが受け入れられるのか当初疑問視する声が上がっていました。ところが、東元俊哉氏の同名の漫画原作と犯人が違うことが明らかになると、多くの視聴者がSNSで“犯人探し”に熱中。

そこには、昨年放送されたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)から始まった、SNSを巻き込む“犯人探しブーム”を見越したしたたかな戦略が見え隠れする。その波に上手に乗ったことが、後半の視聴率爆上げにつながったのではないでしょうか」(放送作家)

しかも、“犯人探しゲーム”に登場するキャラが、ユースケ・サンタマリア、竜星涼、麻生祐未、霜降り明星・せいやなどいずれも濃すぎるほど濃い。こうした豪華キャスト陣が怪演の末に大胆に死んでいく展開に、視聴者は心掴まれたのではあるまいか。

さらにこのドラマには、ハラハラドキドキを倍増させる禁断の媚薬が隠されていた。それが、「大映ドラマ」の遺伝子(DNA)である。

「過剰な感情表現と大げさな台詞回し。ともすれば荒唐無稽に見える衝撃的な展開に翻弄される主人公・心を演じた竹内は、心を演じるにあたって『不器用だし、やっていることが正解なのかわからない』とした上で『彼の発する言葉や行動には人を動かす力がある』『家族を守りたいという気持ちを一回も諦めていない』『そこを一番大事にして演じました』とコメント。

これこそ、今回ドラマの制作を手掛けた大映テレビのお家芸。今も脈々と流れているDNAを感じざるを得ません」(前出・ワイドショー関係者)

“連ドラは火をつけるまでが勝負。一度火が点いて大きく燃えたら、あとは余熱で最後まで押していける”。これこそ、数々の大映ドラマをヒットさせた伝説のプロデューサー春日千春氏の名言。

大映ドラマのDNAがSNSの”犯人探しゲーム”に火を点け、このドラマを冬期NO1ドラマに押し上げたといっても過言ではあるまい。

「1970年代から’80年代に”赤シリーズ”や『スチュワーデス物語』『スクール☆ウォーズ』(いずれもTBS系)で一世を風靡した大映ドラマ。そのドラマに欠かせないのが、ひたむきだけどどこか不器用な主人公の存在。

春日Pは、こういったひたむきに頑張ることを”ひたぶる”と呼んで、ドラマの主人公はそうあるべきだと常々口にしています。竹内こそ、”ひたぶる”大映ドラマの血脈を受け継いでいる俳優。竹内涼真は、令和の大映ドラマになくてはならないスターになるかもしれませんね」(前出・放送作家)

さらに竹内演じる心の家族、そして黒幕の一家が加害者家族であったことも、劇的な展開を好む大映ドラマの成功に一役買っている。

「今期のドラマは、吉高由里子主演のドラマ『知らなくていいコト』(日本テレビ系)、月9ドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』(フジテレビ系)でも加害者家族の問題を取り上げていますが、インパクトでは『テセウスの船』が一番。

第1話で竹内演じる心は、30年間殺人犯の息子として暮らしやっと手にした幸せを妻の死によって奪われる。これほど悲劇的な設定を第1話に打ち出したことが、起爆剤になってる」(制作会社プロデューサー)

令和に蘇った大映ドラマ。竹内涼真という次世代のスターを得て、今後快進撃する可能性は十分にある。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO堀田咲

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