ウイルスだけじゃない…!人類が滅亡する「4つのシナリオ」

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過去約6億年の間に、6度起きている生物の大量絶滅。人類滅亡後、「牛」が繁栄する!? 

生命が地球上に誕生してから38億年。これまでの間、おびただしい数の生物種が出現したが、そのほとんど99%以上が「絶滅」しているという。

今、新型コロナウイルスで世界中が揺れている。人類の未来は大丈夫なのか? 生物学者で早稲田大学名誉教授・山梨大学名誉教授の池田清彦氏が、著書の中で「人類滅亡後、繁栄するのはウシ?」というアメリカの学者の予言について解説している。果たしてその真意は? 生物は、どのような経緯で、何が原因で絶滅するのだろうか?

地球上に15億頭ほどいるウシ。効率よくエネルギーを得ることができ、“食いだめ”ができる

なぜ「牛」なのか?

「人類滅亡後、ウシが繁栄する」という説を発表したのは、ニューメキシコ大学の生物学者フェリサ・スミス教授が率いる研究チーム。なぜ牛が……? その説を著書『もうすぐいなくなります』で紹介した池田清彦氏に聞いてみると、

「今地球上で、人類に次いで多い哺乳類はウシです。家畜として増やされ、現在15億頭ほどいます。人類が絶滅したあと繁栄するというのは、この数の多さと、食物摂取効率に理由があると思います。

ウシのような反芻動物は胃の中にバクテリアを飼っていて、草は、いわばバクテリアのエサ。バクテリアは草を分解してアミノ酸を作るので、牛はそこからタンパク質を摂れるわけです。つまり、ものすごく効率よくエネルギーを得ることができて、しかも食いだめもできます。 

同じくウマなどの草食動物も草を食べていますが、草に含まれているタンパク質はごくわずか。反芻類以外の草食動物が必要なだけのタンパク質を得るためには、大量に食べなくてはなりません。草はほとんど炭水化物なので、多量に食べるとカロリー過多になります。馬が走るのは、太らないためでもあるんです。数も圧倒的に牛のほうが多い。馬は牛に駆逐されてしまうでしょう」(池田清彦氏 以下同) 

人類がいなくなったら、田畑は荒れ果て、いずれは森に返っていく。森には下草が生え、牛は食べ物には困らない。草を食べながら、気候変動にともなって移動を続けるだろう、というわけだ。 

ウイルスで人類は滅びないが、ウイルスは無くならない

実は、フェリサ・スミス教授の研究には前段がある。2018年3月に亡くなった、車いすの天才物理学者スティーブン・ホーキング博士は、亡くなる1年前、気候変動や伝染病、人口増加などで100年以内に、人類は別の惑星を見つけて移住しなければならないだろうと予測したのだ。

人類が誕生したのは約700万年前だが、途中から多様化し、人類にも多くの種が生まれた。しかし、ほとんどの種は絶滅して、現在はホモ・サピエンス一種だけが残り、そのホモ・サピエンスの個体数が77億あるという状態だという。

現在、ホーキング博士の予測の中でいちばん気になるのが、伝染病による人類滅亡の可能性だろう。

「梅毒もエイズも、当初は感染力も症状もとても強くて人間をたくさん殺しましたが、その後は少しずつマイルドになり、人間と共存するようになりました。われわれと最も共存している病気、インフルエンザのウイルスは、どんどん突然変異を起こして生き延びていきます。逆に、たとえば天然痘のように変異を起こすことができずにワクチンで滅ぼされたウイルスもあります」 

ウイルスも、フレキシブルなタイプのほうが生き延びるという。そういう意味では、今、世界中で猛威を振るっているコロナウイルスは突然変異を繰り返すタイプ。ワクチンが開発されるまでのしばらくの間、人類は苦しめられそうだ。 

「ただ、寄生虫同様、宿主を絶滅させてしまっては自分たちにとって都合がよくない。宿主を滅ぼさないメカニズムを何か持っているのかもしれないし、ホストの人間が共存するする方法をなにか編み出すかもしれません」

ロックダウンで ゴーストタウンとなったニューヨーク。アンドリュー・マーク・クオモ知事は、3月22日(日)20時から不要不急以外の外出を禁止。各企業でも全社員が自宅待機となった

気候変動、それによる食糧危機で紛争が起こる?

その次に考えられるのは、温暖化だが、

「いくら温暖化が進んでも、地球全体が50℃になることはないでしょう。少なくとも地球上に生物が現れてから地球の平均気温が50℃になったことはありません。万一50℃になったとしたら、人類だけでなく、牛を含め、哺乳類は全滅するでしょう」 

多少気温が上がっても、食べるものには困らないから絶滅はしない。問題なのは寒冷化だという。

「寒くなると食べるものがなくなるから、紛争は起きるかもしれない。人口増加によって起こる食料危機も同じです。しかし、紛争が起きて人類が絶滅するとは考えにくい。今地球上には77億人が住んでいるけれど、たとえ90%死んでも7億7000万人は生き残る。8億近くいる哺乳類なんて、ほとんどいません」

いつまた起こっても不思議ではない「阿蘇山」の大噴火

破局噴火とは山ごと吹き飛ぶような大きな噴火。過去10万年の間に起きたいちばん大きな破局噴火はトバ火山の大噴火だ。インドからインドネシアにかけての上空に2800立方キロメートル以上もの火山灰が噴き上がって地球を覆い、地球の温度は平均で5℃も下がったと言われている。 

「噴煙で太陽の光が届かなければ光合成もできませんから、食料も減ります。そのときは数十万人いた人類が7000人ぐらいにまで減った。まさに人類絶滅の危機だったわけです。けれど、それから、たった7万年で77億人になったのだから、すごい繁殖力です」

日本でも9万年前に阿蘇山が大噴火を起こし、そのときは九州の北の3分の2と愛媛県と山口県の半分ほどが火砕流に飲み込まれたという。

「このような大噴火は10万年に一度くらいの割合で起きていて、9万年前に起こったことを考えると、いつまた起こっても不思議ではありません。日本列島に人が渡ってきたのは、2~3万年前。9万年前には人が住んでいなかったから、人的被害はありませんでしたが、今同じような噴火が起こると1000万人ぐらいは亡くなってしまうと考えられます」 

世界でみると破局噴火が起こりそうな火山はたくさんあり、なかでもアメリカのイエローストーン公園はかなり危険性が高いのだとか。

「このような破局噴火が起こっても、人類は絶滅しないでしょうが、文明が破壊され、食料危機に陥るのは確かです」

1983年1月から始まったキラウエア火山の噴火。小休止を繰り返しながら、2018年5月には再び活動が活発となり、付近の住民に避難勧告が出された

東日本大震災の「約3万倍」のエネルギーが放出された大隕石の衝突

破局噴火より怖いのが隕石の衝突。これまでに6回起きていると言われている生物の大量絶滅の中で、いちばん最近(といっても6550万年前)に起きた大量絶滅の原因は、ユカタン半島に落ちた大隕石が原因だろうと考えられている。

「直径10㎞ぐらいの大隕石で、現在、直径200㎞ほどの跡がクレーターとして残っています。このとき起きた地震はマグニチュード1112と考えられ、東日本大震災の約3万倍のエネルギーが放出された計算になります。そのような大きな地震は大津波や、火山活動を引き起こし、隕石が落ちれば、火災も起きます。火災による煙が地球を覆い、気温が下がり、光合成ができなくなる。その規模は、破局噴火の比ではないと思います。実際、この隕石の衝突により、成体の体重が25㎏以上の陸上の動物は絶滅しました」

恐竜が絶滅したのも、この隕石のせいではと言われている。じつは月も地球に落ちた隕石のかたわれなのだとか。地球が誕生して間もなく、火星と同じくらいの大きさの小惑星が地球にぶつかり、2つに割れて、一つはどこかへ飛んでいき、もう一つは地球の引力につかまって月になったのだそう。

「まだ太陽系が安定していなかったころのできごとで、安定した今はもうそんなに大きな隕石は落ちてこないと思いますが、いつまた隕石が落ちてこないとも限らない。人類が絶滅するとしたら、隕石の可能性が高いと思います」

たとえば、人類が地球以外の星で暮らすようになり、地球から人類がいなくなったら、牛の天下になるかもしれない。けれど、

「あと100年で、そのようなことにはならないでしょう。ホーキンスの言うことは、あてにならない。人類が誕生して30万年。種としての寿命は100万年と考えられている。人類はそう簡単に絶滅しないでしょう」 

この次、大量絶滅が起こるとすれば、それは人間のせいだという説がある。実際、自然破壊などで、この100年で人類は5倍に増えたのに対し、トラは9割も減ったのだとか。牛も馬も、トラも人間も共存できる世界を目指したいものだ。

池田清彦 理学博士。生物学者。昆虫採集マニアでもあり、昆虫に関する著作も多い。『人口減少社会の未来学』『いい加減くらいが丁度いい』『ナマケモノはなぜ「怠け者」なのか』『もうすぐいなくなります』など著書多数。

  • 取材・文中川いづみ写真アフロ

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