ブラックホール撮像の本間希樹氏が「左遷」 天文台執行部が嫉妬?

ノーベル賞級の成果を上げたミスター・ブラックホールに“研究打ち切り”指令のワケ

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昨年10月、本誌の企画に登場した際の本間氏。今回、国立天文台にも取材を申し込んだが「現在対応協議中のため、取材をお受けできる段階ではありません」との返答だった

昨年4月。地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が、史上初めて「ブラックホール」の姿を捉え、世界はわき返った。その偉業は、世界6ヵ所で同時刻に行われた記者会見で発表され、同プロジェクトの日本チーム責任者・本間希樹(まれき)氏(48)は「ミスター・ブラックホール」として一躍時の人に。ところが、1年後の3月27日、本間氏は自身が所長を務める国立天文台水沢VLBI観測所の公式サイトで、苦渋の発表をしなければならなくなった。

国立天文台(本部・三鷹市)執行部の方針として、本間氏らが推進してきたVERAプロジェクトを2年前倒しして3ヵ月後の今年6月で終了させること。プロジェクトで運用する4つのアンテナのうち3ヵ所を停止。それに伴い水沢観測所の予算は前年比で5割減となる……。

この通告は天文学界に大激震をもたらした。ブラックホール画像化チームのリーダーを務めた秋山和徳・MIT研究員は〈ブラックホール撮像の成功を受けて盛り上がると思っていた東アジアのブラックホール研究はこの決定で死に絶えるかもしれない〉とツイッターで嘆いた。

「2年前に就任した常田佐久(つねたさく)台長を始めとする国立天文台執行部は、3つのメインプロジェクトを推進していました。彼らにとってVLBIは傍流に過ぎず、実を言うと、本間さんたちはEHTに参加するときも国立天文台から一銭ももらえなかったんです。彼らはすべて研究者個人として獲得してきた資金などを使い、手弁当で参加し、ノーベル賞級の成果を挙げました。ブラックホール撮影発表の際、他国はどこもチームの研究機関トップが会見に登場したのに常田台長は登壇せず、本間さんが発表したことで、皮肉にも彼に注目が集まった。メンツ丸つぶれとなった執行部は、あろうことか〝たいした貢献じゃなかったから〟と言いつのり、日本人メンバーのコメントをプレスリリースから削除するということまで行っています」(国立天文台関係者)

国立天文台のプロジェクト評価委員を務める東京大学の戸谷(とたに)友則氏は、「国立天文台のような大きな機関で、こんな子供じみたことが起こるというのはにわかに信じがたいことですが、それが現実なのです」と断じた。

一般社会でいうならば〝左遷〟の憂き目に直面している本間氏は、こう語る。

「天文学は大型化していて世界が協力して解決する課題が増えており、その中で日本はしかるべき役割を果たしていくべきです。科学技術立国を目指す日本が、ブラックホール研究のように重要な研究テーマに関われないとすれば、それ自体が日本という国の価値を下げる損失だと私は思います。コロナ禍で全世界が苦境に立たされている今、世界で協力して人類的課題を解決していくというスタイルは、天文学に限らず、今後国際社会のいろんな分野でますます重要になります」

国立天文台は、本間氏の言葉をどう受け止めるのだろうか。

水沢VLBI観測所。アンテナの周囲にはVERAの説明が。同所以外の入来、小笠原、石垣島局の運用が7月に停止される予定だ

『FRIDAY』2020年4月17日号より

  • 撮影濱﨑慎治

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