コロナで「韓国の原宿」閉店続出の地獄…3ヵ月後の日本か

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明洞では「観光不況」の打撃がさっそく

若い観光客で賑わう韓国・明洞/写真 アフロ

韓国で外国人観光客が訪れる有名な街といえば明洞(ミョンドン)だろう。

筆者も韓国取材の際には、明洞周辺で宿を取ることが多く、ここに来るとK-POPやファッション好きの若い女性、グルメを求める年配の日本人や中国人観光客など、外国人の姿を見ない日はない。

その賑わいから「韓国の原宿」とも呼ばれる明洞は、中国・日本からの旅行客たちの売り上げが85%ほどを占めているという。

しかし今、新型コロナウイルスの影響で、明洞の街並みが激変しているというのだ。

韓国では、3月9日から日本からの入国制限措置を始め、4月1日からはすべての入国者に対して14日間、自宅などでの隔離措置を決定している。現状、日本からの渡航が難しく、現在のコロナ感染の状況からして、観光のために韓国へ足を運ぶことはまずない。

実際、明洞の街を取材した現地メディアによると、いつも人でごった返している通りには、人の姿がほとんどなく、シャッターを閉める店や倒産した店、空き店舗があちらこちらに見られる。

韓国のテレビ局「SBS」ニュースは「新型コロナの影響で経済が滞るなか、ソウルの代表的な街・明洞の姿が完全に変わってしまった。流動人口が多い場所ということもあり家賃も高いが、今は客が来ないことであえて店をたたむ店舗が多い」と現状を伝えている。

明洞に店舗をかまえる店主は、SBSの取材に対してこう嘆いていた。

「ここは月の家賃がいくらか知っていますか? 1000万ウォン(約90万円)ですよ。店を閉めたくて、閉めているのではありません」

また、ある化粧品店の職員は「外国人のお客さんがいないので……。元々は一日に7人くらいが店に出ていました。(今は)2人です」と話していた。

ニュース総合サイト「UPIニュース」によると「2006年から明洞の営業を続けてきた人気アパレルブランド『A LAND(エーランド)』明洞店を閉店した」と報じている。

同店は、外国人観光客をターゲットにした地下1階から4階までの大型ショップだった。観光客が来なくなり、売り上げが激変した結果、高額な賃貸料が足かせになったのは言うまでもない。

1ヵ月前までは活気があったのに…

特に観光不況で、女性をターゲットにしたコスメショップが軒並み閉店や休業に追い込まれているのが実情だ。

明洞エリアには、有名ブランドの化粧品店や人気コスメショップが、数年前から爆発的に急増し、2012~14年頃には80店舗ほどあったという。

しかし、17年は「THAAD(高高度防衛ミサイル)」配備問題をめぐって、中国が報復で韓国旅行商品の販売禁止令を出した結果、中国人観光客が激減。昨年は日韓関係の悪化で、日本からの観光客が減ったのは記憶に新しい。さらに近年のオンラインショッピングの隆盛も相まってコスメ店は減少傾向にあった。

それでも明洞では「コスメショップが柱となって、観光産業を支えている」という見方があったのは確かで、新型コロナウイルスの感染が拡大する前までは、中国人や日本人観光客で明洞は活気づいていた。

2月中旬にここを訪れた時には、メインストリートではコスメショップ前で無料サンプルを配る女性スタッフやアルバイトをあちこちで見かけたものだった。しかし今は、新型コロナウイルスの影響でそんな姿も見られなくなったという。

前述した「A LAND」のほか、韓国の有名コスメ店の「ネイチャーリパブリック」や「エチュードハウス」も臨時休業しており、状況が長引けば閉店を余儀なくされる店舗は増えるだろう。

韓国政府は3月30日に、所得下位7割の世帯(約1400万世帯)に最大100万ウォン(約9万円)の緊急災難支援金の支給を発表。ただ、飲食店や小売店からすれば、「税制優遇や賃貸料などの支援が必要ではないか」との声も出ているという。

延期となってしまった東京オリンピックのインバウンド消費を見込んで、日本でもここ数年、化粧品店・コスメショップの増加が目立っていた。しかし、1年の延期となれば、企業にとっても大幅な軌道修正を迫られることは必至だ。いまだ事業者たちへの具体的な支援方法が示されていない日本でも、ここ2~3ヵ月の間に明洞のような閉店ラッシュが起きてもおかしくはない。

いつになればコロナは収束に向かうのか、誰も予想できない状況が続く。明洞しかり、日本の観光地しかり、収束して観光客が戻ってきた時に街の風景が一変していた、という寂しい事態だけは避けたいものだ。

  • 取材・文金明昱

    キム・ミョンウ/1977年、大阪府出身の在日コリアン。新聞社、編集プロダクション、ゴルフ専門誌記者などを経てフリーに転身。現在はスポーツライターとして、サッカーのJリーグや代表戦、女子ゴルフを中心に取材し、週刊誌やスポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。韓国・北朝鮮スポーツにも精通。過去6回、北朝鮮を訪問して現地取材。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)

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