コロナで観光客が消えた…大阪・西成区のいま

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「うちのホテルは比較的日本人が多いほうで、外国人観光客は3割くらいでした。それが新型コロナウイルスの影響で、2月以降外国人客はほとんどいなくなりました。国内で感染が広がり始めてからは、日本人客も激減しています。もう今年いっぱいは回復が見込めないでしょうね……」

こう話して肩を落とすのは、大阪市西成区の簡易宿所の関係者だ。西成区は簡易宿所が密集する地域で、全体的に宿泊料金が安いため、近年はアジアなどから訪れた外国人観光客が多く訪れていた。

写真は新今宮駅付近を撮影したもの。新今宮はJR、南海電鉄、阪堺電車が乗り入れる便利な駅で、通り沿いには外国人観光客向けのホテルや簡易宿所が建ち並ぶ。

撮影したのは3月の日曜日の正午頃。以前なら歩道にはキャリーバックを持った外国人観光客であふれていたが、その姿はない。外国人観光客は、1月以降徐々に姿を消したという。

この通りにある作業服販売店の店長は、外国人観光客が消えていった経過を次のように話す。

「1月頃から外国人観光客は減り始めましたが、その頃はまだマスクをあるだけ買って帰る中国人もいました。1箱50枚入りのマスクを100箱買う人も珍しくなかったですね。それが、いまではまったく姿を見なくなりました」

大阪府簡易宿所生活衛生同業組合によると、組合に加盟する簡易宿所は約40件。日雇い労働者や年金生活者が生活の場として使用している簡易宿所は、それほど影響は受けていないが、旅行者をターゲットにしたところでは、外国人も日本人も減少しているという。

この歩道は以前は外国人観光客であふれていた

「新型コロナウイルスの影響で外国人が徐々に減っていったと同時に、2月末にユニバーサル・スタジオ・ジャパンが休業。アーティストのコンサートも中止になるなかで、日本人客もいなくなりました。

特別融資の制度はありますが、先が見えないのにお金を借りたところでどうなるのか……と経営者のみなさんも頭を抱えています」(大阪府簡易宿所生活衛生協同組合)

大阪府全体ではインバウンドの増加を見込んで、ここ数年宿泊施設が急増した。簡易宿所は2015年には110軒あまりだったが、今年3月時点では700軒と、約7倍に増えた。

ホテル・旅館も2018年度に700軒あまりだったのが、今年3月末には1000軒を超えた。2016年にはじまった特区民泊も、部屋数で1万2000室あまりが登録している。特に民泊は不動産投資の延長線で投資した人も多く、利用客がいない状況が長引けば不良債権化する可能性が高い。

新今宮駅周辺の宿泊施設では、4月に入って休業したところも出てきている。4月7日には大阪にも緊急事態宣言が出たが、いま苦しんでいる宿泊施設を救うような国の支援策は乏しく、やむを得ず休業する宿泊施設は今後も増える一方となるだろう。

  • 取材・文田中圭太郎

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