テレ東ドラマが「この春、本気を出してきた」といえるワケ

この春、攻めてるテレビ東京のドラマ4本をピックアップ!

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
『浦安鉄筋家族』でタクシー運転手・大沢木大鉄(おおさわぎだいてつ)を演じる佐藤二朗

2020年の春ドラマがいよいよ開幕。幼少期からずっとテレビドラマを観ているオタクだけど、クールのドラマが始まる瞬間は毎回、胸が高鳴る。ダークホースはどの作品か、期待していた作品の感触はどうか。考えることは恋愛よりもだいぶある。

とりわけエッジの効いた作品を乱発してくるテレビ東京の作品には、毎回(個人的に)、注目度が高い。最近では映画化も決定した『きのう何食べた?』(2019年)では、西島秀俊内野聖陽がゲイのカップルに。奇才と言われる俳優の山田孝之を、自由に羽ばたかせて制作をしているのも記憶にある。『山田孝之の東京都北区赤羽』(2015年)、『山田孝之のカンヌ映画祭』(2017年)など。数えていくと枚挙にいとまがない。そして楽しい。

ただ最近の放送はだんだんパンチに欠けてきた? と思っているところに、この春、テレビ東京で放送されるドラマのラインナップが相当、イカしていることが判明。この春は色々と、見る側を攻めてきそうな気配が漂ってきた。その中から私が厳選する4作品を紹介しよう。

行方不明のストーリーに軽い興奮

「テレビ東京のドラマは攻めている」

そう噂される理由のひとつに、タイトルだけでは推し量ることのできないストーリー展開がある。ドラマとは思えないほど、奇想天外な内容であることも多々。

『きょうの猫村さん』(4月8日(水)深夜0時52分スタート)もそのひとつだ。このタイトルといえば、言わずと知れた人気漫画が原作。主人公は猫である。もうすでに人間ではない時点で、脳内が迷路になる。そしてニヤつく。その猫を演じるのは、テレ東の名物になった『孤独のグルメシリーズ』でも人気の松重豊。公式ホームページを見たら、白猫の着ぐるみを着ていた。“自分を拾ってくれた飼い主・ぼっちゃんとの再会を果たすため、家政婦として働いてお金を貯めることを決意し、村田家政婦紹介所の門をたたく”という、全く解せないあらすじ。放送時間は毎回、2分30秒しかないので、お見逃しなく。

今、バイプレイヤーとして大人気の佐藤二朗主演『浦安鉄筋家族』(4月10日(金)深夜0時12分スタート)もぶっ飛んでいる。実写化が不可能と言われ続け、25年間が過ぎた漫画が原作だ。とにかくだらしないタクシー運転手・大沢木大鉄佐藤が演じる。その妻役に水野美紀、娘役に岸井ゆきの。この親子を中心に繰り広げるホームコメディとなっているが、出演者のビジュアルがどうも臭う。

現在、大河ドラマ出演中の染谷将太が演じるのは、見た目は普通でも“天然変態”サイテー教師役の大東駿介は、明らかにブルース・リーを意識したコーディネート。テレ東ドラマの常連でもある滝藤賢一は、ちょっと胡散臭そうなタクシーの常連客設定。他に顔を白塗りにしたメンバーも見える。とにかく何が起こるかわからないし、途中からいきなりラブストーリーにでも変化してしまう勢いすら感じる『浦安鉄筋家族』。色々と見落としがないように視聴したい。

キャストが豪華!大物女優たちの君臨に胸騒ぎ

テレ東のドラマの不思議、いや魅力に豪華キャスティングがある。それも時にはゴールデンタイムではなく、深夜帯に起用されているケースもある。

例えば『捨ててよ、安達さん』(4月17日(金)深夜0時52分スタート)。エイジレスな美しさで今、女性から支持を得ている安達祐実が主演だ。女性誌の企画で、毎号私物を捨てることになった安達さんが、片付けをしていると古い自分の代表作が焼かれたDVDを発見する。その夜から、とあるオンナが夢に登場する……というのが、第一話のあらすじ。その捨てる“モノ”として毎回ゲストが登場する。

これが臼田あさ美、片桐はいり、貫地谷しほり、北村匠海、徳永えり、松本まりか、YOU、渡辺大知という豪華な顔ぶれだ。このスターたちを、擬人化した“モノ”に仕立て上げてしまうのだから、テレ東、恐るべし。

そして豪華キャストといえば、鈴木京香主演『行列の女神~らーめん才遊記~』(4月20日(月)午後10時スタート)。日本一のラーメン職人と呼ばれる、芹沢達美(鈴木京香)。彼女の作るラーメンの味に不満を言う客が、後日、芹沢の元にやってくる。先日まで、フレンチで三つ星を取っていたシェフが、どうもラーメン屋になるらしい。目を見張る転身ぶりだ。

この作品が放送される、月曜22時放送枠の『ドラマBiz』シリーズ。2018年に江口洋介主演『ヘッドハンター』からスタートして、話題を呼んだ。実力、体力が完璧なテレ東が制作するのだ。きっと『モテキ』(2010年)に続く、秀逸作を狙っているのだと思った。実際『ヘッドハンター』は、ヘッドハンティングという仕事を取り上げていることが新鮮だったし、江口が主演。大ハマりした。

ただ第1作目以降、ドラマオタクの胸を突くような作品がなかなか出てこない。いやひょっとしたら私だけもしれないが、友人に紹介したくなるドラマがなかったのである。そこへ満を持して、京香さまの登場。女王君臨である。これはラーメンと同じく『欲』をそそられてしまう。飯テロに注意しながら、見たい。

……と、気になる4本をピックアップしてみた。この春はきっと化学反応に近い楽しさを見せてくれるはず。

ちなみにここ数年で、私が好きなテレ東作品は『100万円の女たち』(2017年)だ。RADWIMPSのボーカル、野田洋次郎の初主演作品だった。売れない小説家で父親は死刑囚の道間慎。彼を囲む訳あり女たちとの、同居生活を描いたミステリーだった。ドラマも楽しかったけれど、一番驚いたのは原作マンガとの明らかな違いだ。漫画では“ミステリーラブコメディ”となっていて、ポワーンとしたタッチの絵。でもドラマでは社会の物悲しさと、ラストには人が次々と殺されていく緊迫感があった。再現性はゼロ、その潔さがあって益々好きな作品になったのである。

ここに断言。テレ東のドラマにはロマンと奇想天外さが溢れていて、楽しい。

※放送予定日時は変更の可能性がありますのでご注意ください。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

  • 写真ロイター/アフロ

Photo Gallary1

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事