清宮、小園、山下…開幕前にプロ野球「若き大砲たち」を徹底解説

開幕待ちの特別企画 プロ野球評論家が選ぶ”推しメン”・バッティング編

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清宮幸太郎 日本ハムファイターズ

清宮幸太郎は’99年、東京生まれ。ラグビー界の重鎮・克幸氏を父に持つサラブレッドもケガに泣き、プロ2年で14本塁打

「3年でレギュラーを獲らないとクビになると思ってやっていた」

とは、侍ジャパンの不動の四番に成長した鈴木誠也(25・広島)の言葉だが、まさにその3年目を迎えるのが日本ハム、清宮幸太郎(20)だ。

「もともと持っている能力が高いから、高校や二軍レベルの投手ならそれほど苦労せず打ててきた。しかし、ここからは資質だけでは勝負できない。一軍の投手を攻略するには己を知り、相手をよく研究しなければならない。打席ごとの結果に一喜一憂せず、自分の本来の目標を見つめ直すときでしょう。同期の村上宗隆(20・ヤクルト)が自分の形、タイミングを崩さず、打率.231ながら36本塁打したのとは対象的です」(仁志氏)

高校通算111本塁打。プロで868本のアーチをかけた王貞治氏(79・ソフトバンク会長)の記録を抜くと豪語した長打力は鳴りを潜めてしまっている。

「変化球はうまくさばけていると思いますので、真っ直ぐに強くなることでしょうね。いかにプロの150㎞前後の速球を力負けせず打ち返せるか。ちょっと甘く入ったらオーバーフェンスできるぐらいのスイング、確実性がほしいですね。相手投手に『真っ直ぐに強い』と思わせることで彼が得意とする変化球が増えるでしょうし、失投も増えてくる」(藪氏)

日本ハムの大先輩、田中氏も同意見だ。

「清宮のバッティングは非常に柔らかい。リストを使ってバットを走らせる技術は天性のもの。ただ、柔軟性があるのはいいのですが、ありすぎて上半身がフニャフニャしてしまっている。バットを振り出すトップの位置からフォロースルーまでスイングに力強さがない。先輩の西川遥輝(はるき)(27)のように、背筋をしっかり伸ばし、お腹が折れないよう、軸を意識してスイングすればいいんです。私がコーチなら腹筋と背筋、体幹を鍛えさせますね。清宮がブレイクできていない一番の原因は手首だ肩だと、ケガが多いこと。試合に出続けなければ、一軍のピッチャーのボールに慣れることはできませんから。1年間、試合に出続けられさえすれば、村上に負けない結果を残せるはず」

身体づくりの面で言えば、清宮より広島の小園海斗(19)のほうが一軍に近いかもしれない。斉藤氏が言う。

「ルーキーの年に一目見て『身体が強くて、キレがあるいい選手だな』と思いました。それから1年経って一回り大きくなっていた。順調に来ていますね。あれだけバットを振れれば、ピッチャーは怖さを感じるはず。実際、飛距離も伸びている。長打を打てて足もある。大先輩の野村謙二郎さんとイメージが重なります」

高卒ルーキーながら、今季中の一軍デビューが現実味を帯びてきているのが、U18日本代表で4番を打った中日のドラフト1位、石川昂弥(たかや)(18)だ。

「スイングが美しく、大振りしなくても打球が飛ぶ姿は全盛期の清原和博さんを彷彿とさせます。長打力は天性のもので、力(りき)まずとも飛ばせる能力は練習で身につくものではない。木製バットにも、プロのレベルにもすぐに慣れるでしょう。勘違いされやすいのですが、ファームで実績を積めば必ず一軍で打てるようになるわけじゃない。時間をかけて二軍で打てるようになった選手のなかには『二軍の野球に慣れた』というケースが少なくないのです。逆に一軍で活躍する選手は、新人時代からファームでも結果を残していることが多い。現在、石川が打てているのも、近い将来、彼が出てくることを示しているのだと思います」(仁志氏)

石川の前の中日のドラフト1位、根尾昂(あきら)(19)は打率.210、127三振とファームでも苦しんだ。仁志氏が続ける。

「構えてからトップの位置までの動きが安定せず、リズムもバラバラ。その結果、ボールを捉えきれなくなった。心理的に追い込まれて受け身になり、ボールに合わせにいっている。ヒットが出ない不安も重なって、本来の瞬発力のあるスイングができていないのです」(仁志氏)

投手として150㎞投げられる肩の強さがあり、しかも俊足という逸材だが――。

「崖の先に立っているとしましょう。谷底を見て怯(おび)えるか、大空を見上げるかで、動きは変わってくる。根尾には松井稼頭央のような三拍子揃ったレベルの高いプレイヤーになれる素質があります。なんとか根尾スタイルを確立して、新しい超一流のモデルになってほしい」(仁志氏)

’18年に育成ドラフト1位で巨人に入団。昨年7月に支配下登録を勝ち取った山下航汰(こうた)(19)はまさに「怖いもの知らず」で一軍定着に向けて驀進中だ。

「育成ながら1年目の去年、.332でイースタンリーグの首位打者に輝いています。ボールにコンタクトする技術が高く、広角に打てる。長打力はないけど、ヒットを量産できるでしょう」(田中氏)

仁志理論に当てはめれば、二軍で早々に結果を残した山下が一軍でも打ちまくる可能性は極めて高い。

入団後は横一線。誰が一番に大化けするか、開幕が待ち遠しい――。

 小園海斗 広島カープ

小園海斗は ’00年、兵庫生まれ。’18年に報徳学園からドラフト1位で入団。50m5.8秒の足と高校通算38発の長打力が武器

石川昂弥 中日ドラゴンズ

石川昂弥は’01年、愛知生まれ。東邦では1年秋から4番、U18日本代表でも4番を任されてチーム最多の9打点を挙げた

山下航汰 読売ジャイアンツ

山下航汰は’00年、大阪生まれ。健大高崎高では1年からクリーンアップ。「空振りしない」バットコントロールが高評価

番記者&識者が激オシ「今年必ず来る5人」

① 小園海斗 広島カープ 遊撃手 2年目

② 高橋遥人 阪神タイガース 投手 3年目

③ 奥川恭伸 ヤクルトスワローズ 投手 1年目

④ 佐々木朗希 千葉ロッテマリーンズ 投手 1年目

⑤ 山下航汰 読売ジャイアンツ 外野手 2年目

今回、本誌は仁志氏らプロ野球評論家4氏のほかにスポーツ紙記者、スポーツライターら5氏に取材。「今年ブレイク間違いなし」と推すホープを挙げてもらった。見事1位に輝いたのは、広島の’18年のドラフト1位、小園だ。昨季は高卒新人ながら田中広輔(30)から遊撃のポジションを奪って、58試合に出場。打率.213ながら4本塁打をマークした。「オフは広島市内のジムで身体をいじめ抜き、筋骨隆々になった。やる雰囲気しかないですね」(球団関係者)。今年は正遊撃の田中が元気だが、球団の評価は高く、サードでの起用が検討されている。2位に入ったのは金本知憲前監督が「あの真っ直ぐはエグい」と激賞した高橋。矢野燿大監督も「エース候補」と公言しており、昨季はローテを任されている。プロ野球評論家4氏が絶賛した佐々木は3月下旬に打撃投手として初登板。いきなり157㎞を叩き出すド派手なデビューを飾ったが、「今季は下で育成するはず」との声もあって4位。奥川が3位にランクインした。「高津臣吾監督は奥川を即戦力として評価しており、キャンプ前の故障がなければ開幕カードで登板させるプランもあった」(夕刊紙デスク)。5位はイチロー以来、27年ぶり高卒新人でファーム首位打者(イースタンリーグ)に輝いた〝スーパー育成ルーキー〟山下。故・高木守道氏とイチローに次ぐ史上3人目の快挙だった。ベスト5からは漏れたが、オリックスの漆原大晟(23)も面白い存在だ。入団1年目の昨季は4月途中から二軍でクローザーになり、1勝23セーブと無敗でセーブ王に輝いた。オフにはプエルトリコ・ウインターリーグに派遣され、防御率0.77、3セーブと活躍。最速152㎞の速球に首脳陣の期待は高まる。千葉ロッテの’17年の育成ドラフト1位・和田康士朗(21)は陸上部出身の俊足。ソフトバンク・柳田悠岐(31)ばりのフルスイングも魅力だ。「身体能力が高い。化ける可能性は十分ある」(藪氏)

『FRIDAY』2020年4月24日号より

  • 写真時事通信社

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