世界で広がる「新型コロナ悪質デマ」に騙されないための方法 | FRIDAYデジタル

世界で広がる「新型コロナ悪質デマ」に騙されないための方法

イランでは300人がデマで死亡。今だからこそ考えたい、SNS時代の情報リテラシー

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サイズが小さいと話題になった安倍首相のマスク。国民に配布する布マスクを山口県の企業が製造するという説は、憶測にすぎない
サイズが小さいと話題になった安倍首相のマスク。国民に配布する布マスクを山口県の企業が製造するという説は、憶測にすぎない

〈茨城県に感染者が少ないのは、納豆がコロナウイルスに効くから〉

根拠がまるでないそんな話がSNS上で広まった結果、いまもスーパーの食品売り場では納豆の品切れが続いている。

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない一方で、山ほどデマが拡散されている。とくに、医学的な根拠が確かでない予防法や治療法は数え切れないほどだ。

〈正露丸の主成分がコロナウイルスの外膜タンパク質を破壊する〉

SNS上で広まったこの情報については、製造販売元の大幸薬品が正露丸は下痢止めの薬だとする見解を発表した。

他にもまだまだある。

〈花崗岩(かこう)にはコロナに対する殺菌作用がある〉

〈紅茶や緑茶を飲めば予防になる〉

〈ニンニクや唐辛子が効く〉

〈生理食塩水で鼻うがいをすればいい〉

〈ごま油を鼻に垂らす〉

〈ビタミンDが効く〉

〈漂白剤を飲めば治る〉

〈コカインで治る〉

なかでも、〈コロナウイルスは26〜27℃で死滅するから、お湯を飲めばいい〉という対策は、多くの人が目にしただろう。冷静に考えれば体温より低い温度でコロナウイルスが殺菌されるはずがない。

情報リテラシー教育に詳しいITジャーナリストの高橋暁子氏が言う。

「感染予防に役立つというデマが世界中で拡散されています。イランでは〈アルコールをたくさん飲むと感染予防になる〉ということが信じられ、密造酒を飲んで1000人以上がメタノール中毒になり、300人が亡くなったと報じられています。

また、インドでは〈牛の糞尿を飲んで許しを請えば感染しない〉と主張する団体が現れています。結局、それを飲んだ人たちに健康被害が出ました。日本でも『たぶん花崗岩だと思います』という曖昧な石がネットオークションに出品されて、一時期はそれを購入する人がいるという酷(ひど)い状況に陥りました。

デマが広まる条件には『重要性×情報の曖昧さ』という公式があり、今回はまさにそれが当てはまる。しかも愉快犯ではなく、多くの人が良かれと思って拡散させてしまっているんです」

「感染防止」以外にも、世界を舞台にした「陰謀論」や「トンデモ説」が数えきれないほど、SNS上で拡散されている。

〈中国・武漢市内の海鮮市場で販売されていたヘビから人に感染した〉

〈武漢にあるウイルス研究所から漏れた生物兵器である〉

これらが代表的な虚偽言説だろう。さらにこんな情報も流れた。

〈5Gがコロナの感染拡大を促進する〉

第5世代移動通信システム「5G」が人間の免疫力を低下させるという説だが、もちろんエビデンスは存在しない。

〈ビル・ゲイツ財団の陰謀説〉

ビル・ゲイツが発生前にワクチンの特許取得を出願しており、自分の利権のためにバラ撒(ま)いたという意味不明な説だ。

ほかにも呆(あき)れるしかないこんなニュースが捏造されている。

〈イタリアでコロナが蔓延した原因はオリーブオイルである〉

〈ロシア国民の外出を防ぐためにプーチン大統領がライオンとトラ合わせて800頭を街に放った〉

日本でも、3月下旬には〈安倍総理の緊急会見があり、4月1日からロックダウン(都市封鎖)という発表があるとのことです。テレビ局のプロデューサーからの情報なので、かなり確度高い情報かと思います〉というチェーンメールが全国的に流布した。

また4月1日に安倍晋三首相が一世帯につき布マスク2枚を配布すると発表すると、〈布マスクは首相の地元・山口県の企業が受注する〉という話がネット上ではすぐさま拡散されている。

他にも〈〇〇県〇〇市の郵便局で感染者が出た〉という情報がツイッターで出回った後、〈郵便局の屋根裏に居付いた「アライグマ」の駆除のため、害獣駆除業者がそれらしい格好をしておりました。決してコロナ感染ではありません〉というツイートがなされた。ほっこりするようなオチだが、実は両方とも出所がはっきりしない真偽不明の情報だ。

芸能界も例外ではない。〈タレントのヨネスケが3月30日、『グッディ!』出演時に尋常ならぬ咳をしていた。コロナではないか〉という話がツイッターで流れた。だが、実際にはヨネスケは番組で咳をしてすらいない。

〈志村けんと阪神・藤浪晋太郎の感染源は同一人物〉という怪情報も出回った。大阪・北新地にあるクラブのホステスがスペイン旅行の際に感染。その店の関係者が志村の誕生パーティに出席し、藤浪との食事会にも参加していたという内容だった。

『フェイクニュースを科学する』著者で名古屋大学大学院情報科学研究科講師の笹原和俊氏が指摘する。

「パンデミック(感染爆発)とインフォデミック(デマも含めた情報の氾濫)が相互に悪影響を及ぼし合うと、人々が間違った情報を信じて、さらに感染者が増えることになりかねません。

不確かな情報を見た際には、まず情報ソースを確認すること。親しい間柄のLINEグループや家族から教えられた情報の場合は否定しにくいものですが、自治体などの公的な機関が発表するまで一旦態度を保留してSNSから離れることが大切です。そうでないと、自分がデマを世界に向けて拡散する側になってしまいます」

新型コロナウイルスは未知なる敵。デマに騙されず、慎重に脅威と向き合おう。

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『FRIDAY』2020年4月24日号より

  • 撮影鬼怒川毅(安倍首相)、時事通信社(3枚目)

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