ゲイの精神科医とエッセイストが語る“この不安からの小さな出口”

家に引きこもるしかない私たちの生活に、ちょっとしたアドバイス。その第1弾!

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ゲイの精神科医Tomyさん(左)とエッセイストの小林久乃さん

コロナ騒動で日本が揺れている。日々更新されていく情報、未来の見えない不安、急に変わってしまった生活環境。ストレスと疲労が積み重なっていく最中で、私たちは自宅でウイルスが収束していくことを祈るばかりだ。

そんな状況に対する安心材料になって欲しいと、ある対談を実行した。Twitterで話題沸騰中、ゲイの精神科医・Tomyさんと、ピリッとした斬り込み方が人気のエッセイスト・小林久乃さん。どちらも多方向から人間を見つめてきた経験からのメッセージとは?

――新型コロナウイルス感染によって、リモートワークなど求められることが増えました。急な環境の変化にストレスを感じている人がいます。

Tomy 今、色々な我慢を急に求められている人が多いと思います。怖いのは「自分は大丈夫だ」と決めてしまうこと。人間には限界があるんですよ。だから24時間の中で少しでも気分転換をするようにしてください。まずは“日向ぼっこ”♡ 「それだけ?」と思わないでくださいね。精神科医でも、日光浴は治療のひとつとして用いることがあるんです。それくらい太陽のパワーは大きいの。

小林 でも太陽の偉大さはすごく分かります。この騒動が起きてから、夜になると余分なことばっかり鬱々と考えてしまうんですよ。でもそれが朝になって日光を見るとテンションが戻ってくる。パートナーとケンカをして「……今回こそは絶対に別れる……!」という思いも太陽がどれだけ消し去ってくれたことか。

Tomy 日光に当たってぼーっとするだけで、だいぶ気持ちがくつろぐんですよ。自宅で仕事をしていると何が大変かって、今までの時間軸が完全に狂うこと。習慣が人間に与える影響は良くも悪くも大きいんですよ。現に「眠れない」と悩んでいる人も増えています。でも日光浴をすることで自然と睡眠のリズムも整うので、ベランダでもいいから一歩外に出て太陽を浴びる。これをしばらく習慣の中に取り入れることをお勧めするわ。

小林 『こち亀』の作者、秋本治さんも毎朝9時に仕事を始めて、19時半には終えるという会社員に近い規則正しいスタイルを維持したから40年間も連載が続けられたと言われています。私は……そこまでできていないので、この機会に……頑張ります……。

あとは働き方を考え直すことができますよね。よく、女性の生き方に会社員でいるだけはなくて独立することもお勧めしているんですけど、リモートワークが寂しい、苦しいなら(独立には)向いていないかもしれません。でも普通に仕事をしているままなら知ることのできない、貴重なパーソナルデータです。それでもやりたいなら、ビジネスパートナーを探すとか単身にならない方法を考えるといいのかも。

――何か自宅に楽しく自宅にいられる方法はないものでしょうか?

小林 この際だから片っ端から自分に合いそうなものを調べて、趣味を作りましょう。今、外出を制限されていますけど、こういうときに俄然強いのがオタクだと思うんです。アイドル好きの子に聞いたら「自宅にいろと言われてもオタクにとっては日常。推しのBlu-rayを見たり、切り抜きをスクラップしたりやることがあってむしろ時間が足りない」と言われて強いなあ! と。

みんないつか推しと会える日までちゃんと待っていられる。私も無制限でテレビドラマを見ていていいなら、こんな喜ばしい解放区はないと思いました。今こそ“オタク力”なのですよ。

Tomy そうそう。今、パートナーと同じ部屋で過ごす時間を増えていると思うんですけど、何かに夢中になっている相手を「いいなあ」って思ってあげるのは大事です。

小林 共感をするということでしょうか?

Tomy 共感とかオタ話を、自分が“聞いてあげている”という上から目線ではないんですよ。あくまでも同じ目線で「いいなあ」。男ってね、何かしらのオタク気質があるんですよ〜。少年気質というのかな? でもそれを「キモっっ!」なんて言って理解をしないでいると、女性はいつまでもいい男も捕まえられないし、関係性もうまく行かない。

小林 でもホント、何か仕事以外に夢中でいられるものを持ちましょう。これから人生でつまずくこと、辛いことがあったときに自分だけの世界は、必ず救いの手を差し伸べてくれます。それに、今回の有事で、私の周囲の女性がだいぶアイドルに沼落ちしているんですよ。時間があるから動画をよく見ているんだと思いますけど、彼女たち、仕事人ばかりの太客だから、収束時にはライブだ、CDだってガンガン経済を回してくれそうですね。

――とはいえ自宅にいると、ついコロナの情報を追って、結果嫌な情報までも拾ってしまう。暇だとマイナスな行動に出がちで……。

Tomy (ウンウン、と頷きながら)飛び交っている情報を精査できなくちゃね。

小林 それは私も同意です。こういう事態になる前から、女性にはソースのない情報には振り回されるなってお話ししています。もう今、(Twitterの)タイムラインの流れが時速120キロくらいになっていて、それがすべてコロナ関連で……。

Tomy 何か対策はしていますか?

小林 自分の目で確認したことだけ情報として取り入れます。私の周りにTomy先生も含めて、医療従事者の方が数人いらっしゃるんですけど、その人たちのアドバイスは実行しています。あとは山中伸弥教授のホームページ(https://www.covid19-yamanaka.com)をチェックするかな。

Twitterで流れてくる情報は発信者が分かって、データを出しているならそれも所属先までわかるもの。いくら実名が入っていても、メモをスクショしただけのようなものは絶対に信じません。それは私が長年、取材をする立場にいてずっと実行してきたことでもあります。

Tomy ……Twitterは本来、娯楽の要素が大きかったのにね。

小林 でもこういうときこそ、Tomy先生のつぶやきは見たくなります。「疲れたら、空を見ましょう。空は自由だった過去にも、乗り越えた後の未来にもつながっているわ。空をみて心に旅させましょう」とか、心にジュンとくる。

――実際、先生が考えられて患者さんにも伝えていらっしゃる、いわば臨床にも使われている言葉ですよね。

Tomy ありがとうございます。今ってね、私たちトンネルの中にいる状態なんですよ。真っ暗。でもちゃんと出口は用意されているじゃない? それが中間地点くらいにいると、その出口がどこにあるのか見えなくなっちゃう。今なら、この状況がいつ収束するのか見えなくて怖いわよね。でも大丈夫。ちゃんと出口はあります。だから自分のペースを守って、落ち着いて過ごしていきましょうよ。アテクシ自身もそう心がけています。

小林 そうですね。そしてシンプルに……家にいましょう。私からこの記事を読んでくださっているみなさんに伝えられるとしたら、本当にそれだけです。近所のスーパーへ行く途中、満席のオープンカフェでワインを楽しんでいる様子を見ました。公園へ散歩に行ったらピクニックをしている人たちがたくさんいて……。

明らかにホームパーティ中の様子も見かけました。この外出は不要不急に属するものですよね? 子どもだって我慢してくれているのに、大人がそんな調子じゃ事態は変わらない。ウイルスに対して私たちは非力なんです。でもひとつだけできることがあるとしたら、家にいることだけですから。

【プロフィール・Tomy】

Tomy とみー

精神科医

精神科病院勤務を経てクリニックに常勤医として勤務。精神科医の知識とオネエキャラをミックスした愛の言葉に励まされる子羊たちが多く、さらに人気急上昇して現在16.6万人が彼のツイを待ちわびている。覆面にてメディアにも出演。近著『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社刊)が好評発売中。

【プロフィール・小林】

小林 久乃  こばやしひさの

エッセイスト/ライター/編集者/クリエイティブディレクター

エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

2人の対談は婚活編へ続く。

※写真は2月に撮影されたものです。

  • 撮影岩瀬有奈

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