新型コロナ禍の「窮屈な日常」がもたらしたちょっとイイ話

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SNS上でこのところ特に目立つようになってきたのが、政府をはじめ、病院や罹患者などに対する批判だ。実際にコロナ絡みの差別や店頭でのマスクの奪い合いなど、普段では考えられないような殺伐とした空気が流れている。それだけ人々の心が疲弊し、ストレスを感じているということだろう。

1ヵ月先がどうなっているかわからない、仕事がどうなるかわからない、もしかしたら自分はすでに罹っているかもわからない……。日本だけでなく、世界中が同じ状況なのだ。冷静でいろというほうが無理な話だろう。

4月7日、緊急事態宣言が発令されると東京スカイツリーにメッセージが点灯された 写真:アフロ

その一方で、今まで当たり前だったことが当たり前でなくなったことで、人と人との在り方が変わってきていると感じたことはないだろうか。例えば医療従事者に対する感謝。感染のリスクと常に隣り合わせの状況で、今日も重症者の対応に追われている彼らを思うと、ただただ頭が下がる。同様に家族、友人、同僚……そんな身近な人との関係性も変化しているようだ。

そこで、ストレスフルで「窮屈な日常」がもたらしたちょっとイイ話にフォーカスしてみたい。

「夫は単身赴任で、ほぼ月末婚状態。そんな夫が在宅勤務で家に戻ってきて、保育園の送迎や家事の一部をやってくれることになりました。私も働いているので『仕事に家事に育児、疲れすぎて、パンクするかも』と心配だったのですが、かなり心に余裕ができ、子どもへのガミガミが減っていることに気がつきました。

ワンオペでそれなりに回せているつもりでしたが、やはり余裕はなかったし、シワ寄せは息子に行っていたな、と。働き方や家族の在り方をすごく考えさせられる期間になったと思います」(30代・女性・システム)

「普段は子供たちを幼稚園やお稽古に預けっぱなしですが、それらが全部なくなったので休日は家族全員で公園に行くようになりました。妻も私も毎日多忙だったので、家族で過ごせる時間が増えて良かったです」(40代・男性・会社経営)

「訳あって子どもと離れて暮らしているんですが、今回のことをきっかけに頻繁にLINEをするようになりました。好きな男の子の話で盛り上がったり、おもしろい漫画の情報交換をしたり。最強の絆ができた気がします」(30代・女性・教育)

人と関わる大切さに気づかせてくれるのは、家族だけに限らない。

「一斉休校を聞いてすぐに、ママ友たちと新学期までの預かりシフトを作りました。子供たちも日替わりで、お弁当と勉強道具を持ってお友だちとの時間を楽しんでいる様子。家族の協力ももちろんですが、ご近所の人間関係と信頼関係の大切さを感じ、感謝の気持ちでいっぱいです」(40代・女性・マスコミ)

「私の誕生日は仲良し4人組で集まろうと話していてお店も予約していましたが、もちろん延期に。『今年は寂しく一人か』と思っていたら、そのうちの一人がテレビ電話でお祝いすることを提案してくれたんです。

鬱々とした気分でしたが、一緒に誕生日に向けてカウントダウンして、話しながらゲラゲラ笑っていたら元気が湧いてきました。つらいときを一緒に乗り越えられる友だちがいるって貴重だなと感じます」(20代・女性・メーカー)

「リモートでのテレビ会議にもだいぶ慣れてきました。ただ、人と話す量が激減して、気が滅入ってしまって。それで同僚と会議とは関係なく、テレビ電話をずっとONの状態で仕事をしてみました。何気なく話しかけて、誰かが答えてくれる環境はいつものオフィスのよう。料理をする音が聞こえて『今日のお昼、何?』なんて話すこともあります。何気ないことですが、在宅勤務のつらさが激減しました」(30代・男性・広告)

この変化は日本国内だけでなく、国境を超えても同様のようだ。

「フランスでは毎朝時に家の窓を開けて、医療従事者へ労いの拍手を贈る習慣になっています。それがきっかけで、今まで話したことのない近所の人と窓越しに話すようになりました。外出はできませんが、みんなで窓から顔を出して『あ、一人じゃないんだ!』と実感する瞬間です」(30代・男性・商社)

「夫はイタリア人なんですが、退屈しているイタリアに住む親戚の子どもたちに向けて、私の娘が折り紙の折り方を教える動画を送りました。そうしたら、とても喜んでくれて。紙さえあればどこでもできるので、友人に拡散してくれているそうです。小さなことかも知れませんが、助けになればいいなと思います」(40代・女性・主婦)

多忙な毎日では忘れかけていた、身近にいる人たちのありがたさ。そしてその人たちがいつも健康でいることが当たり前ではないという現実。皮肉にも人類の敵であるコロナが、私たちに大切なことを思い出すきっかけをくれたのかも知れない。

  • 取材・文周防美佳

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