ゲイの精神科医とエッセイスト「今は婚活や関係整理するチャンス」 | FRIDAYデジタル

ゲイの精神科医とエッセイスト「今は婚活や関係整理するチャンス」

この非常事態の中、少しでも潤いのある生活を送るためのアドバイス第2弾。今回は婚活編!

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ゲイの精神科医・Tomyさん(右)とエッセイストの小林久乃さん
ゲイの精神科医・Tomyさん(右)とエッセイストの小林久乃さん

非常事態宣言が発令、リモートワーク、自宅で過ごす時間、テレビでは再放送の繰り返し。新年の門出はあんなに期待と期待で満ち溢れていたのに、たった4ヵ月間で色々と苦痛を強いられることになってしまった。ウイルスと同速で不安要素も蔓延する中、またひとつ敵が増えたとすれば“孤独”ではないだろうか。パートナーを探していた人にとって、人に会えないのはスタートラインに立つことにもならない。

そんな状況にTwitterのフォロワー数が16.6万人超え、ゲイの精神科医・Tomyさんと、エッセイスト・小林久乃さんからアドバイス。

――独身にとってちょっと飲みに行くのは話し相手を求めてとか、出会いの場でもあったんですけど、それが全くなくなって落胆している人も多いと思うんです。

小林(深くうなずいて)わかります。私も一人飲みこそ、独身女性のコミュニティ作りには欠かせないものだと提唱していますから。でもこんな状態ですから、視座を変えましょう。今こそ婚活です。

――今こそですか。

小林 そうです。あちこちで言われているかもしれませんが、時間があるならマッチングアプリをフル活用して相手を探しましょうよ。実は私は今まであまりアプリには積極的ではなかったんですけど、Tomy先生は前から勧められていましたよね。

Tomy そうそう。アテクシたちゲイの世界は、アプリでパートナーを探すのは基本です。あんまり駆け引きはしないで、まずは会う、印象が良かったらまた会うというのを繰り返すんですね。今はできないけど、ゆっくり相手を吟味できる時間じゃないかしら? そもそも婚活は海外旅行選びに似ていますから。

小林 海外旅行ですか?

Tomy  海外旅行だからナンパで出会うみたいに、シークレットでドン! というわけにはいかないですよね(笑)。ちゃんと計画が必要です、という意味です。行きたいところ、予算、期間とか色々な条件を並べて、次にカタログを集めて申し込む旅行会社を選ぶ。いつもなら仕事の合間にバタバタ進めるところですけど、今なら時間があるから落ち着いてできる。

小林 アプリもいいし、全然連絡を取っていなかった元カレにいい機会だからさり気なく「大丈夫?」って連絡するとかもいいですよね。この「大丈夫」という言葉はとても不安な心に響くんですよ。実際、言われたらドキッとしたし……仮に返信がなくても、実際に会ってから連絡しているわけじゃないから気持ちが楽です。またこの騒動が終わってから連絡すればいいや、とかね。

Tomy 小林さんは今、流行っているリモート飲みは参加しましたか?

小林 していますよ。友達と時間を決めて何度かやっていますしなかなか会えない友達と「この手があったか!」と。女はその時の生活環境で会うことが難しいこともありますけど、これならできるなと眼から鱗でした。独身は著名人でもない限り、テレビ電話とか自撮りに慣れていないんですよ。それが開眼したのか、全然平気になっちゃいました。

――アプリで会った人ともリモート飲みからスタートするとか?

小林 相当気が合って、連絡先を交換してもいいと思ったら……じゃないかな。むしろ「リモ飲みしよ!」としつこい男も考えものだし、最終的に変な要求してきそうですもん。世界中にとって決して望ましい環境ではないですけど、こういうときだからこそ良くも悪くも人間性が出ます。もし相手が「会おう」なんて誘ってきたら、まず倫理に相違があるんだって判断できるでしょう? そこで終わりです。

あとは、こういう緊急事態が起きると新興宗教や詐欺が横行します。どこにハニートラップが潜んでいるのかは分からないので、アプリ上のやり取りも慎重にしてほしい。

――コロナ騒動で人間関係に困っている人も聞きます。例えば親しい人から「宅飲みしよう!」「昼飲みならいいんじゃない?」と誘われたらどうやって断ろうとか。

Tomy これはみなさん当たってしまう問題。事態が悪化すると友情も壊れるし、最悪の場合、パートナーと離婚を考えてしまうかもしれない、辛いわよね。ひと言でまとめてしまうと、これは俗に言う“価値観の違い”なのです。大袈裟に表現するなら、宗教観や政治思想の違いでしょうか。

この違いを埋めるのはそもそも難しいし、敢えて話題に出して、議論しようとは思わないでしょう? ならあなたも敢えて口にはしないで良好な関係性をキープするのが賢明よ。

小林 でもTomy先生、ウイルスは素人が考えても本当に脅威なんです。SARS流行が2002年、新型インフルエンザが2009年、そして新型コロナウイルスが2020年。ほぼ10年周期で襲ってきているし、この間に自然災害もありました。

いきなり状況が緩和するとは思いにくいので、これからを鑑みて、パートナーを選ぶときの選択肢に入れてもいいかもしれないですね。過去の有事にどんな行動を取ったか? を聞くとか。追い込まれるほど人間の毒っぽさは溢れてくるし、そこからパートナーと話し合って決裂をするのは時間がもったいない。

Tomy そうですね。だからパートナーや家族とは何かルールを決めておいた方がいいかもしれません。例えば「私は有事に対してこういう考え、行動だったけどあなたはどう? 二人で行動することになるときは、こうしようか?」ソフトにね。二人だけのハザードマップを作る感覚ですね。平常時ならきちんと話せることだし、自分の意見を言うのは大事です。

小林 私も友人から飲みに誘われたりしましたけど、やんわり断りました。こういう価値観の違いが出るのは東日本大震災のときに経験をして、あるだろうなと予想ができていたし。でもずっとこの状況が続くわけではないから、あくまで今だけのことだと割り切っています。そこまでこだわっていたら、友達関係は持続できないですもの。

Tomy そう、どんな人間関係においても干渉のしすぎは良くないです。

小林 本当に常規を逸した行動に出たら、一旦は止めますけどね。今、大変な環境下ですけど婚活を含めた新しい人間関係の構築も、断捨離もできる。ひとつ自分だけの判断基準を作るいい機会だと捉えて自宅で過ごしましょう。もちろん、最前線で働いてくださっている方に敬意を表することは忘れずに。

Tomy そうですね。基本的には自分の人生や幸福感について、ちゃんと考えるいい機会だと思うの。普段は考えようとしても慌ただしくて、つい後回しにしがちでしょう? それが今なら時間はある。これからの人生を自分はどんな風に生きたいのか、一度脳内整理です。

そして今後はムダなストレスを溜めないように、自分の内面をコントロールしておく。ストレスは理想との相違で起こることが多いけど、それが起きないようにあらかじめ今、準備ができると思ったらいいんです。心の池がなるべくさざめかないように、鏡のようになるイメージを持って、呼吸を整える感じね。

【プロフィール・Tomy】

Tomy とみー

精神科医

精神科病院勤務を経てクリニックに常勤医として勤務。2019年6月から本格的に投稿を開始したツイッターが話題を呼び、半年ほどでフォロワー13万フォロワー突破。精神科医の知識とオネエキャラをミックスした愛の言葉に励まされる子羊たちが多く、さらに人気急上昇して現在16.6万人が彼のツイを待ちわびている。覆面にてメディアにも出演。近著『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社刊)が好評発売中。

【プロフィール・小林】

小林 久乃  こばやしひさの

エッセイスト/ライター/編集者/クリエイティブディレクター

エンタメやカルチャー分野に強く、ウェブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

二人の会話はまだまだ終わらず、結婚生活編へ。

※写真は2月に撮影されたものです。

  • 撮影岩瀬有奈

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