緊急事態下、運動時の距離「2メートル」では全然足りない可能性 | FRIDAYデジタル

緊急事態下、運動時の距離「2メートル」では全然足りない可能性

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オランダ・ベルギーの研究で判明

緊急事態宣言からわずか1週間も経たないうちに「ソーシャルディスタンス」という言葉が根づいたのは、国民の感染予防への意識の高さが現れている。

4月7日の安倍晋三首相の会見では、「どうしても外出する場合には、密閉、密集、密接、3つの密を避ける行動を徹底していただくよう、改めてお願いいたします。今までどおり、外に出て散歩をしたり、ジョギングをすることは何ら問題ありません」と国民に外出自粛を求めた。

多くの人が外出自粛を心がける一方で、自宅で過ごす巣篭もり生活の合間に、ストレス解消のためにジョギングをする人の姿も少なくない。しかし、そんな束の間の楽しみさえ危険をはらむ可能性がある、という研究結果が報告された。

オランダのアイントホーフェン工科大学とベルギーのルーベン・カトリック大学が「運動中の飛沫」について研究を行った。その結果、運動時の飛沫を防ぐために必要なソーシャルディスタンスが判明したが、一般の人が思うよりも距離が必要となるようだ。

http://www.urbanphysics.net/Social%20Distancing%20v20_White_Paper.pdf

(Towards aerodynamically equivalent COVID19 1.5 m social distancing for walking and running  より)

研究の結果は以下の通りだ。

徒歩:4~5m

ジョギング:5-10m(ジョギングとマラソンは厳密には異なるので、徒歩とマラソンの間を表記)

マラソン:10m

サイクリング:20m

Towards aerodynamically equivalent COVID19 1.5 m social distancing for walking and running  より引用
Towards aerodynamically equivalent COVID19 1.5 m social distancing for walking and running  より引用

この結果を見ると、我々が現在取っているソーシャルディスタンスでは、感染予防に不十分ということになる。我々が認識する「ソーシャルディスタンス=2m」は、あくまで静止している時と解釈すべきだ。

そもそも、なぜ運動時にはここまで飛沫の距離が長くなるのか。その理由はスリップストリームという現象にある。

スリップストリームとは、一般的には移動する車や自転車のすぐ後ろにできる気流のことを言う。その気流の中で飛沫が広がっていくのだが、スリップストリームは「歩く、走る」場合にも起きるのだ。

人の後ろを歩いたり走ったりする場合は、そのスリップストリームを避ける距離を取ることが必要となる、ということだ。

麹町皮ふ科•形成外科クリニック院長、一般社団法人予防医療研究協会理事長の苅部淳医師は、「運動不足も健康被害をもたらすので、やはり定期的な運動は必要。広々とした土地が家の近くにある方は、そうした場所で距離を保って運動することも大切です」と助言する。

表参道・南青山のパーソナルトレーニングジムplat gymの佐藤ルイ・トレーナーも、「外での運動が感染リスクを背負っていることは明白です。しかし篭りきりの生活では偏食や運動不足に陥り、心身を害してしまいます」と同意したうえで、家のなかでトレーニングすることも選択肢のひとつと考えるべきだと加える。

「トレーニングをすることでセロトニンというホルモン物質が分泌され、ミトコンドリアを増加させることによって心身を健康に保つことが可能です。

私どものジムでは、新しいサービスとして自宅でもできるオンラインでのパーソナルトレーニングを展開し、皆様の健康維持と感染予防のお手伝いをさせていただいています」

ロックダウンが行われているイギリスでは、道で人がすれ違うときさえもお互いに避けるような傾向にあるという。友人や仲間と肩を並べ笑い合える日が早く戻ってくることを思いながら、コロナ禍の運動方法について、個々人が新たな方法を考える必要がありそうだ。

  • 取材・文吉澤恵理

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