10日で950万再生…!嵐「untitled」の驚きの波及効果

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期間限定で公開されている嵐のLive映像「untitled」が、YouTube内で、ユニークな波及効果を生んでいる。

2019年11月3日の会見で、嵐のSNS解禁と同時に、’20年5月に新国立競技場でコンサートを開催することも発表された

公開から10日間で950万再生

4月11日の公開から1週間を待たずに800万回を突破、10日で950万再生されたこの映像、嵐ファンなら当然DVDかBlu-rayで繰り返し鑑賞済みのはず。もちろん、手軽にスマホや PCなどで嵐のライヴを再生できる手軽さはあるとしても、この800万再生のうちのかなりの割合が嵐ファン以外、つまり、「嵐ライヴ初体験」の視聴者であるように見える。

「スゴイとウワサの嵐のライヴ、タダで観られるなら観てみようか」という冷やかし気分の視聴者が、再生をクリックしてしまったが最後、「演出が超ゴージャス!」「ダンスがカッコいい」「いい曲多いな〜」「意外とみんな歌がうまい」「スゴイ一体感」「無条件で楽しい!」など、サプライズの連続=嵐マジックにかけられ、気がついたら最後まで見て、すっかり彼らの魅力に取り憑かれたり、気になったダンスを巻き戻しながら繰り返し見てしまうなど、この動画をきっかけに、いわゆる嵐の「沼」にハマっているようなのだ。

今、YouTubeでは、ダンス批評(K-POPのダンサーが多い)やK-POPを中心にしたボーイズグループ愛を語っていたユーチューバーたちが、こぞって「untitled」を見た後の感想動画をアップしている。彼ら(ご新規さんゆえに男性が多い)は、嵐の何がスゴイのかを語り、その評価動画がなかなかの再生回数を記録してもいる。

コメント欄には、嵐ファンの「やっと気づいてくれましたか」という共感が溢れている。それらのコメントの多くは、語彙が豊富で視点も独特だったりするので、ファンにとっての「あるある」な言葉を再確認しつつ、観た人それぞれの視点を探れるのも、YouTubeの新しい楽しみ方になっているのだろう。

動画高評価の一方、映像では伝わらない凄さが浮き彫りに

さて、この「untitled」に“参戦”もした筆者が、「ご新規さん」の評価動画を鑑賞してみると、それぞれのコメントに納得はしたものの、でも結局、一番スゴイ部分は映像では伝わらないことも痛感した。

コメントを残した彼らの感動の向かう先は、大抵がダンスや歌のスキル、演出のすごさだが、嵐のライヴの真価はそこではない、と筆者は感じた。結局、これほど素晴らしい映像作品を持ってしても、その場にいた“楽しさ”“一体感”までを再現することは不可能なのだ、と。

たとえば、嵐のライヴには、コール&レスポンスがとても多い。去年の「5×20」のツアーで櫻井翔が、「コンサートで僕がコール&レスポンスを最初にやった時、お客さんはすごく戸惑ってた」と語っていたように記憶しているが、確かに、嵐がブレイクする前、2000代前半に事務所のトップとしてツアーで100万人以上を動員していたSMAPでさえ、コール&レスポンスのある曲というのはあまりなかった(でも、だからこそSMAPは、初見の人でも誰でも自由に楽しめるライヴになっていたのだが)。

それが、嵐の場合は、アルバムでの新曲の予習のみならず、前年までのDVDを観て、コール&レスポンスの予習をしていったほうが、断然楽しめるライヴ構成になっていた。何度もリハーサルを繰り返して本番に挑むメンバー同様、ファンもまた予習をして、本番に挑んでいたのだ。

そういった“一体感のあるライヴ”は、一度ハマると病みつきになって、抜けられなくなる。「沼」というオタク用語が一般に使われ出したのは2015年頃だが、嵐のライヴこそ、まさに「底無し沼」そのものだ。

ちなみに、嵐のファンクラブの会員数が急激に伸びたのはデビュー8年目の2007年で、この年は松本潤主演『花より男子2』や二宮和也&櫻井翔主演『山田太郎ものがたり』などメンバーの出演ドラマが軒並みヒット。2月には、二宮和也がハリウッドデビューした『硫黄島への手紙』がベルリン国際映画祭に出品されたために、中居正広がMCをしていた『うたばん』を二宮が欠席した。

その回で、嵐が初めて東京ドーム公演を開催することに触れ、「東京ドーム公演をやる時の心得」を、中居が指南している。そしてこの頃から、嵐の一体感のあるライヴが、規模をどんどん拡大していった印象がある。

SMAPのような国民的ヒット曲を持っていなかった嵐は、ブレイク前に海外公演(Arashi Around Asia/2006年)を行うことで、ヒット曲に頼らないライヴの盛り上げ方を徹底的に追求することができたのかもしれない。

デビューして何年かは、横浜アリーナさえ満員にできなかった苦い過去も、彼らは経験している。2007年に初のドーム公演を行い、2008年からは、5大ドームツアーが恒例となったけれど、嵐のライヴには常にチャレンジがあった。爆発力があった。そうして、年々一体感は加速されていった。

ところで、「untitled」を初めて観た人は、ファンの多くが推しメンの団扇を持っていることに驚いたかもしれない。嵐のライヴは、実は細やかなファンサービスも楽しみの一つで、トロッコやフロートカーに乗ったメンバーと接近できた場合、自分の団扇に反応して手を振ってくれたり、団扇に書かれたジェスチャーをしてくれるメンバーが多いのだ。

嵐のメンバーは、会場に来てくれたファンのことをとても大切にしてくれる。だからこそファンも、嵐に喜んでもらいたくて、せっせと新しい団扇を作ったり、アルバムを聴き込んだり、定番の曲の振りやコール&レスポンスをおさらいしたり、頑張っていろんな準備をする。

「untitled」の映像が、一つの作品としての凄みを感じさせる理由の一つには、そんなファンの優秀さもある。嵐のライヴには、自分もまた、作品の一部になれる幸福があるのである。

前述したように、YouTubeで「untitled」の評価動画をアップしているのは、K-POPファンが多い。筆者はいわゆるジャニヲタだが、仕事柄、K-POPのライヴにも数多く足を運んでいる。例えば、BTS(防弾少年団)のライヴも、2017年にはさいたまスーパーアリーナ、2018年には東京ドームで鑑賞している。その上で、敢えてドームライヴの完成度の高さを比較するなら、贔屓目ではなく、圧倒的に嵐の方が上だと思った。

BTSに関して言えば、「アーティスティックな俺たちを見て!」という自己表現が前面に出ており、一人一人のスキルや楽曲のクオリティは超一流だが、一体感や、気持ちが浄化されるような感覚を味わうシーンは少ない。もちろん、そんなものは個人の印象だし、比べること自体がナンセンスかもしれない。

でも、「アメリカで認められたからBTSはスゴイ」「ジャニーズなんか所詮子供だまし」というような、思考停止的なコメントをする人が、日本にはまだまだとても多いので、「untitled」が評価されている今、敢えて言いたくなってしまったのだ。「いや、会場で体感できる興奮と幸福感は、こんなもんじゃないよ」と。

5月中旬に予定されていた嵐の新国立競技場でのライヴは、新型コロナの影響で延期になってしまった。

先の見えない、未曾有の状況下で、次に彼らとライヴで会えることを心の支えにして頑張っている人も多いだろう。ただ、YouTubeでの公開がファンにとっても有難いのは、コメント欄で感情を共有できることだ。「終わった後、感想を伝え合うまでがライヴ」だとしたら、YouTubeでのライヴ鑑賞は、仲間と一緒にライヴを見ているような感覚になれる。期間限定ではあるけれど、この映像の公開そのものが、ファンの気持ちと混ざり合い、温もりのある、一つの作品になっていく。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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