4月の客はゼロ…コロナで明日が見えない風俗店店主の悲鳴 | FRIDAYデジタル

4月の客はゼロ…コロナで明日が見えない風俗店店主の悲鳴

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新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受けて発令された「緊急事態宣言」。4月10日には東京都が公共施設のほか、遊興施設であるキャバレー、ナイトクラブ、バーなどを「3密」の具体例として名指しで指摘し、休業を要請。それを受けて、夜のサービス業を営む店の多くは4月中旬から休業を余儀なくされた。

その中でも「個室付き浴場に係る公衆浴場」、いわゆるソープランドに代表される性風俗店への影響は甚大だっただろう。「3密」に加えて、実際に身体を密着させる必要のある性風俗店も、例に漏れずその多くが営業をストップしていることが報じられている。

では、そこで働いている人々はいまどういった状況に陥っているのか。

都内のソープランドに勤務する男性従業員が、その苦しい現状を明かした。

「苦しい決断を迫られるなか、営業を続けている店も少なくなりません。が、それも間もなく限界を迎えるでしょう」

と語るのは、高級店に勤めるAさん。3月以降客足が目に見えて減り続けたが、休業するとお客さんよりもまず従業員や女の子が離れてしまうので、営業を続けている店もあるという。

「儲かっているかといえばそんなことはないでしょうね。3月以降は新規のお客さんはほとんど来なかった。常連さんばっかりです。新規のお客さんを開拓し続けないと性風俗店の経営はやっていけません。

それでも、4月に入ったら本当に来客数ゼロになりました。常連さんも来ないし、女の子の出勤拒否も増えました。どちらも新型コロナウイルスの感染を恐れてのものであることは言うまでもありません。ウチは4月上旬から休業しています」

店舗側も決して無策でいたわけではない。国内での感染拡大リスクが報じられた3月上旬、大手を中心に対策を打っていた店舗は多く、他業種と比べてもむしろ素早く着手していたようだ。

「なにせ店内で陽性反応が出たことが判明したら、営業停止の恐れがありますから。ソープランドは各地域で協会がありますが、クラスター化を防ぐためか、ほとんどの協会からかなり早い段階で注意喚起を出していました。

恐らく東京以外でも同じでしょう。従業員へのマスク着用の義務づけや手指の消毒の徹底などは、かなり早い段階からやっていましたし、お客様にも衛生面でのご協力をお願いしていました。

ただ、4月に入ったら行政だけでなく、やはり協会からも営業自粛要請が出ましたね。都内の高級店では、赤字覚悟で“常連のお客様限定”で営業している店もあるようですが、どちらにせよ各店舗の判断に委ねられているのが現状です」

一方、店舗型とまた事情が違うのが、派遣型の性風俗店である。都内で派遣型店舗を経営する男性オーナーはこう語る。

「客足自体はウチも似たような状況です。3月に客足が減ってきて、4月にはゼロになりましたね。そもそも4月に入ると、これまで懇意にしていたラブホテルの多くが休業に入ってしまい、どのみち通常営業には支障が出ていました。

ウチはドライバーも雇っていないミニマムな形態で営業していますが、派遣型でも従業員を多く雇っている店は大変でしょうね。危険を察知して、早々に事業を畳んだ同業者をいくつか聞きましたよ。“椅子とか小道具が欲しかったら持っていっていいよ”なんて話もありましたね。

一応4月16日から5月6日まで休業すれば、都から“感染拡大防止協力金”の名目で50万円が、2店鋪以上経営している場合は100万円が支給されるとのことで、ウチも都の要請に従って休業することにしました。補助金目当てというより、そもそも開店休業状態でしたから、どうせならって感じですね」

筆者が複数の中小企業診断士や経営コンサルタントに確認したところ、感染拡大防止協力金は「登記さえしていればほぼ間違いなくもらえるだろう」と口にした。しかし、それを伝えても、派遣型風俗店経営者はゆっくり首を横に振り明るい見通しを拒否した。

「まるで行政は5月6日以降になったら新型コロナウイルスが収まるような言い方をしていますが、そんな保証がどこにあるんですか? 補助金も今後継続的に支払われるとも限らない。本音を言うと、事業継続は難しいと思っています」

夜の街に響く悲鳴は、政治家や行政の長の耳に届いているだろうか。

  • 取材・文カルロス矢吹

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