コロナ不況でAV業界へ進むと決めた、22歳女性の「本音」 | FRIDAYデジタル

コロナ不況でAV業界へ進むと決めた、22歳女性の「本音」

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新型コロナウイルスの感染拡大によって、大打撃を被っているのが夜の歓楽街で働く女性たちだ。日銭で暮らす女性も少なくない業界で、20代のあるホステスは「今月しのげても、来月は不透明」だと嘆く。

東京と同様、ここ大阪でも歓楽街でのクラスター発生が噂されると客足が瞬く間に遠のいた。収入が不安定となって、3月以降は散々な状況だという。

「私では無理でしょうか?」

接客業の経済的な損失がクローズアップされる中で、いま応募が殺到している業界がある。

AV業界に入ろうと思った経緯を明かすユナさん
AV業界に入ろうと思った経緯を明かすユナさん

「ホンマ急にですよ……。うちの事務所への電話が急に増えたのが2月中頃からですね。3月になると件数もぐっと増えて、毎日面接です。最近だと1日3人面接したりするんで…。普段は多くても週に3、4人。少ないと1人だから、何倍に増えたかも分からない人数ですわ」

こう語るのは、大阪でAVプロダクションを経営する代表者。いま、水商売をやめてAV業界に足を踏み入れようとする夜の女性が急増中、とのことだ。

大きな契機となったのが、3月31日、大阪府の吉村洋文知事がナイトクラブやバーをはじめとする接客業への利用の自粛要請を出したこと。それまではひっそりと営業を続けていた接客業界で雲行きが一変、北新地やミナミのクラブやラウンジ、キャバクラなどが相次いで常連客に休業を通達した。

当然、そこで働いていたキャストも「休業状態」となるわけだが、彼女たちも食べていくために働かなければならない。そこで、少なからぬ女性が、AV業界の門戸を叩きはじめた、というわけだ。なぜか。前出の代表者がこう続ける。

「キャバ嬢やってて勘のいい子は、2月の段階でさらに景気が悪化すると予想して“パパ活”をしていました。出勤制限された3月以降は直引き(お店の常連客等に直接連絡をして、外で会っておカネをもらうこと)する子が増えて、その流れに乗り遅れた子がライブ配信などの仕組みをつかって小遣い稼ぎしてます。

ところが、お客となる男性がみんな外を出歩くことさえやめてしまった。そこで、彼女たちがうちの業界に流れ込んできているんです。いま面接に来る子でもっとも多いのが、もともと風俗をやってた子たち。次にキャバクラなどの水商売で、その次が会社勤めです」

AV業界と聞くと、スカウトマンが街中で声をかけて出演交渉する……というイメージがあるが、この会社は、これまで求人広告のみでAV嬢を誕生させてきた。夜のお店に置いてある求人広告誌などに広告を出して、女性を募集する、というスタイル。言ってみれば様々な理由や事情から決断して、「自発的にAV嬢になろう」という女のコたちが集まっているプロダクションだ。

「宣伝カーでお馴染みの求人誌『バニラ』に広告を載せると、下は18~28歳の女のコから電話が来ます。老舗求人誌『ビガー』は40代や50代の人妻がメイン。普段だと人妻からの応募も多いんですが、今は人妻系のほうは応募がほとんどない。自粛要請が広がって旦那の自宅勤務が増えたので、外に出にくいんでしょうかね」

そんななか、4月上旬、AV業界への道を進むことにした女性がいる。

「前から興味があったんです。彼氏とも別れたし、収入も減ったので、よく考え抜いた末、挑戦してみようと思って連絡してみました」

と、応募した動機を語るこの女性。まだ芸名すら決まっていないので、文中では仮名でユナさん(22)と呼ぶ。現在はデリヘル嬢だが、前述のようにコロナ禍以降収入が激減したことがきっかけで、自分がいまやるべきこと、挑戦したいことを真剣に考えたという。淡々と心境を語り始めた。

「勤務してるデリヘルの常連のお客さんは、自宅へ呼ぶ人が多いので、箱系のお店(店舗型風俗店や、ホテルに呼ぶ形式のお店)よりはマシやけど、それでもお客さんが半減している状態です。

正直、いまのような状況だと、まったく稼げない。生活が成り立ちません。それに、いまはどんなお客さんが来るか分からないじゃないですか。それもすごく怖いなって思って。AVの場合、男優さんはじめ、しっかりとした人がいるというイメージがあります。その辺が安心できるかなと思っています。

厳しい世界でしょうし、そんなに簡単にうまくいかないことはわかっています。でも、世間からは暗い話ばかり聞こえてくるので、いまは期待のほうを大きく持っておきたいです

学生時代はキャバクラの体験入店もしたが、同僚ホステスとの関係性に悩み、正式に勤務するまでには至らず。大学を中退した後、たどり着いたのがデリヘルだった。これまで約1年半勤務した。好んでこの仕事をやっているかと問われれば答えに悩むが、すくなくとも普通の仕事よりおカネが稼げるのはこの仕事の利点の一つだ、という。

ところがコロナによって経験したことのない“不況”となり、新たな道を真剣に考えた結果…というわけだ。彼女によると、友人の風俗嬢たちの生活もコロナによって軒並み一変したという。

「“箱”で働いている大学生の友達たちは、お客さんが激減していて、8時間お店に拘束されても収入が1万円ぐらいになったと言ってました。おカネが稼げるからこの仕事をやっているのに、アホらしくなって、いまは風俗の仕事には行かずに普通のバイトばかりしていると言ってます。

キャバ嬢の友達だと、出勤制限がかかっているから直でお客さんと会って、その時におカネをもらって生計を立てています。感染リスクは当然あるのでみんな怖いと思ってますけど、働かないと稼げないので…。

あと、不況になって職がなくて、最後の手段として風俗店などで働かなきゃいけない子がいるのも知っています。それは問題だと思いますが、私の場合、他の選択肢もあるなかで、この道に進んで頑張ると決めたので」

コロナの影響で収入が減ったり、働き先がなくなった結果、やむを得ずこれまでとは別の選択肢を採らざるを得なくなる人もいる。それは社会問題としてとらえ、対策も講じられるべきだろう。

一方ユナさんの場合、「自分はそういうケースではない」という。とはいえAVの世界にも特有の厳しさがあり、簡単に稼げるようになるわけではない。

さらに、AV業界にも自粛の余波が訪れており、現在は撮影がすべて止まっているというのだ。緊急事態宣言が出た以降もしばらくは撮影やオーディションも続行していたが、4月13日をもってすべて休止になったという。前出のプロダクション代表者が言う。

「うちに所属する子の何人かは4月中の撮影が決まっていたのに、早い段階ですべて休止になった。現場の人間やうちの子も続行を望んでいたのに、撮影がなくなったんです。聞くと、早々と男優たちが『この時期は、撮影はやめておいたほうがいい』と決断したからだとか。

もちろん正しいことだと理解できますが、稼げないとわかると女の子がいなくなるのがこの業界。オーディションまでストップしたら、業界の勢いが一気になくなると懸念しています」(前出・代表者)

ユナさんもプロダクションの面接には受かったが、「プロダクション所属」という肩書があるだけで、現状、撮影日もなにも決まっていないという。

デビューの日はいまだ決まっていない
デビューの日はいまだ決まっていない

大きな決断を下した彼女だが、彼女が思い描くような未来が待っているだろうか。

  • 取材・撮影・文加藤慶

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