業者が告白!「不動産業界に迫るコロナ連続倒産の恐怖」

国交省の冷徹な通達で…

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「これではわれわれが倒産します」

「突然の通達に、不動産業界には戸惑いと苦悩が広がっています。飲食業界を救う代わりに、われわれ不動産業者が苦しむのは構わない、ということでしょうか……」

コロナによってあらゆる業界に経済的な影響がもたらされている。最も苦境にある業種のひとつが飲食業であることは周知の事実。日本各地で飲食業者からの悲鳴が上がるなか、政府は重い腰を上げて様々な対策に乗り出している。

しかし、それらは飲食店を救う可能性がある一方で、別の業種で働く人々を締め上げることにつながりかねない。

去る3月31日、国交省から不動産業界に向けて出された極秘の「通達」が波紋を呼んでいる。

<新型コロナウイルスの影響により、賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対しては(中略)賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な実施を検討いただきますよう、周知をお願いいたします>

 

<新型コロナウイルス感染症に係る対応について>と書かれたこの通達。記述のとおり、飲食店をはじめとする入居業者が売上減少で家賃を払えない場合、支払いを一時的に免除したり、減額したりするように要請したものだ。

客の激減に悩む飲食店にとっては救いの手。しかし、不動産業界はこの通達に悲鳴を上げているのだ。

「これでは私たちの業界がつぶれてしまう」と冒頭で心情を吐露したのは、十数人の従業員を抱え、都内で20ほどの物件を所有・運営する不動産業者社長だ。

コロナ禍、不動産業界には行政機関から毎日のように事務連絡が届くのだが、国交省からのこの「通達」は実質的に業界への「命令」に近いもので、従わざるをえないものだという。これを見たときには驚きと戸惑いを隠せなかった、と社長は明かす。

「飲食店経営者の苦境は、普段彼らと接しているわれわれは人一倍わかっているつもりです。しかし、彼らの家賃免除や支払い延期などが一気に広がると、今度はわれわれの業界がつぶれてしまいます。

世間の目からは『不動産屋はおカネを持っているんだろう。少しぐらいは収入が減っても耐えられるはず』と映るのかもしれませんが、そんなことはない。私のような中小不動産業者は、銀行から多額のおカネを借り入れて不動産の運営をしています。

毎月の家賃収入から、まずは銀行におカネを返済し、そこから所有物件のメンテナンス費用を捻出。従業員への給与を支払えば手元に残るおカネはわずかです。

そんな状況なので、飲食店からの家賃が入ってこなければ、銀行への支払いが出来なくなってしまいます。今度はわれわれが銀行に返済猶予をお願いしなければならなくなりますが、それは避けたい。

一度でも返済猶予をお願いすると、銀行との関係が崩れてしまい、今後はおカネを貸してくれなくなる可能性があるからです。おカネを借りることができなくなれば、即倒産です」

「一方的すぎる」

また、「飲食店家賃の支払い猶予要請」がいつまで続くかわからないことも彼らを不安にさせているという。

「ひと月分の家賃収入が滞っただけでも、銀行に返済猶予をお願いしなければいけない状態ですから、それが3か月4か月…と続くと、倒産に追い込まれる不動産業者が続出します。

そうなるともちろん、金融機関にも影響が出ます。不動産会社に融資したおカネが戻ってこなくなる、つまりは不良債権化して、彼らも大きな損害を被ることになるでしょう。

繰り返しますが、飲食業の苦境も、彼らを救いたいという行政側の気持ちもわかります。しかし、その負担をなぜ不動産業界に押し付けるのか。われわれの声はほとんど国には届いていない。『世間的に不動産業界は儲かっているイメージがあるから、彼らに負担を押し付けておけばいいだろう』……そんな感覚で決めているのではないかと疑ってしまいます」

ある業種・業界の苦境を救おうとしても、その場しのぎの対策を打てば、必ずどこかにしわ寄せがくる。そのしわ寄せは、非常時においては企業の息の根を止めてしまうほど深刻なものとなりかねない。

影響の及ぶ業界への聞き取りも十分に行い、それらを鑑みたうえで手を打つべきではないだろうか。

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