コロナ重症から生還した男性の告白「自粛していない人に腹が立つ」 | FRIDAYデジタル

コロナ重症から生還した男性の告白「自粛していない人に腹が立つ」

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新型コロナウイルスに感染し、4月下旬に退院した都内在住の33歳の男性がこのほど、感染から回復までの壮絶な体験を語った。すでに男性のインスタグラムに内容が公開されているが、退院後に感じた世間の認識の甘さや「これでは新型コロナは一向に収まらない」との危機感から実体験の詳細を明かすことを決意。生々しい証言から、PCR検査を受けるまでの苦難、受け入れ体制が限界に近い医療現場の姿が浮かび上がってくる。

「咳をしすぎて肺が機能不全をおこした」

<家に帰ってきたら外の世界の人はマスクもしないで歩いている人もたくさん、バンバン外に出ているし、本当に神経疑うし怒りが芽生えて来たよ>

<コロナになったの、一応あんまり大っぴらに言わないようにしてたんですが、外に出てきて世間の認識の甘さや感覚に呆れると共に怒りさえ覚えたので、コロナに感染したらどうなるか書きたいと思います>(原文まま、以下同)

4月19日、男性が退院した直後に公開したインスタグラムには、怒りがにじんだストレートな言葉が次々と並べられた。

4月8日、安倍首相が出した緊急事態宣言から3週間以上が経過。その間、外出を控えたり、人と会うことを避けていても感染するケースが多発しているが、感染者に対する世間の眼差しは冷たいもののほうが多い。<大っぴらに言わない>ようにしていた男性が告白を決意するまでは、相応の覚悟が必要だった。

◆3月25日(コロナの症状が出た初日)
<まず軽い風邪の症状、微熱37度ちょい、喉に倦怠感、頭痛 
ここで小さなクリニックに行く、喘息もあったせいか、喘息の薬だけ渡され、
コロナの疑いもしない勿論RCR(PCR)検査なし>

この時、まだ男性は仕事に行っている。

◆3月27日(3日目)
<2日くらい様子を見るも治らず、熱は38度くらい、喉も悪化し、
喉が切れる血混じりのタンが出てくる
コロナだったら仕事もヤバいのでもう一度、違う呼吸専門のクリニックへ行く。
コロナではないかと医師に言ってみるものの相手にされず、風邪薬と熱冷まし、喘息の薬を出される>

男性が職場に相談すると、コロナ感染の疑いがあるため、休むように言われる。

◆3月29日(5日目)
<4日以上熱も出て一向に症状が改善しないむしろ悪化し、嗅覚も無いことに気づく!

 これはコロナだと、保健所やコロナ対策センターなどに電話をするがなかなか繋がらない。

 体調が本気で悪い上に喉や高熱で寝不足、ご飯も食べられない状況でのこの電話が一番辛い!!

保健所は24時間対応ではなく、かかりづらくなっているため、連絡をとることひとつに膨大な時間がかかってしまった。

◆3月30日(6日目)
ようやく電話がつながる
<症状を説明し、保健所の指定されたクリニックに行くも、
肺炎の影があるにも関わらず、CTなどPCR検査はしてくれなかった。

自宅で様子を見ていたが、39度を超える熱と喉が酷すぎて呼吸困難!息が出来ない、咳をしすぎて肺が機能不全を起こす、身体がバキバキ筋肉痛、腹筋や背中がツリ息が出来ない。死の恐怖を感じ119を押しながら夜を過ごす>

文字通り必死の思いで、SNSでコロナの勉強会などを開催していた医師を発見し、メッセージを飛ばした。さらに知人の看護師に相談し、結果的に都内のある病院で診てもらえるようになった。

「今のままではコロナは収束しない」

◆4月2日(9日目)
<(中略)レントゲン、血液、インフル、CTなど検査をすると肺炎! PCR検査をやっとしてくれる。陽性、即入院、4軒目の病院でやっと、ここまで1週間以上、コロナ陽性のまま世間に放置されていた訳だ>

4か所目の病院でようやく見てもらえた男性は入院後、即心電図をつけられた。「ようやく見てもらえる」と少しほっとしたが、即入院が決まったため、院内で着る衣類や下着、歯ブラシ、タオルも手元にはなかった。ただ、他の入院患者への感染予防のため、病院内のお店に買いにいくことも禁じられ、看護師に頼むしかなかった。

◆4月3~6日(10~13日目)
病院で診てもらえる環境に入ることはできたが、症状は悪化の一途をたどった。

<夜中は相変わらず咳と高熱40度超える、発作で呼吸困難、酸素マスクをつけながら耐える、いつ終わるかわからない寝れない夜、寝不足、コロナへの恐怖。

部屋からは勿論でれない、いつ治るかも分からない、毎日レントゲンやら検査やら、それ以外は看護師も近寄らない、弁当も入り口に置かれるのを取りに行く>

朝7時起床、食事後に検査をして、12時に昼食、18時に夕食と規則正しい生活。ただ、検査は想像を超えるツラさを伴った。

<毎日クソ痛いPCR検査をされる 鼻の奥までグリグリとあれが毎日いやで仕方がなかった>

◆4月10日(17日目)
<(入院後)1週間もすると体調もだんだん良くはなる、
PCR検査をするも陽性、だが熱も収まり体調も良くなってきたのでホテルへ移されないし、観察隔離へ>

通常、ほぼ毎日あるシーツの交換は、入院した約18日間で1度もなかった。

◆4月12日(19日目)
入院後、初めてPCR検査で陰性の結果が出る

◆4月14日(21日目)
ホテルへの移動許可が出る

<こっからは暇との戦い、体調も良くなると何か暇をつぶしていないと落ち着かない、(中略)部屋からは相変わらず出れない、外の空気が吸いたくなるが窓はすりガラスで少ししか開かないし外も見えない、テレビはあるが、ほんとに退屈だ>

◆4月15日(22日目)
<陽性、陰性からのまた陽性で心折れる>
<いつ帰れるか分からない隔離監禁生活で精神的にやられてくる>

当時の状況を、男性はこう振り返る。

「部屋では落ち着かず、部屋の中を往復してみたり、ホテルから脱走しようかと逃げ道を探したりしましたね。ホテルの管理室の人に強く当たってしまったり、SNSなどを開いては知り合いの投稿を見て偏屈になったり、感じ悪いコメントしてしまったりしてしまいました」

◆4月17日(24日目)
体調は回復し、退院のメドが見えてくる。
<インスタのストーリーなど見て自粛してない奴に腹が立つ>

◆4月19日(26日目)
無事退院。約14万円の入院費、薬代や緊急外来の診察等でかかった約2万円は後日、返金されるが最初は自己負担。政府が決めた、一律10万円の給付が待ち遠しい。

<まぁ20日くらいの監禁だったわけだが、もう2度と味わいたくはないね>

男性は体調が回復したことに安堵するどころか、「今のままではコロナは収束しない」と危機感を募らせている。それはなぜか。

「まずは一刻も早く、保健所のコールセンターの人員を増やして電話つながりやすくしてほしいですし、PCR検査を少しでも多く早くこなせるように環境を整えてほしいと思います。これらをしないと、コロナの疑いのある人が検査を受けられずに行った病院の待合室、病院に行くまでの公共機関の交通機関、食料、生活必需品、薬局に買い出しに行ったときに周囲の人へ感染拡大の危険にさらしてしまうからです」

さらに行政の保証の曖昧さ、スピードの遅さに伴って水面下で新たな問題が浮上しているという。

「ギリギリの資金繰りでやっている中小企業、私が知っている自営業の人も次々と批判覚悟でお店を開けだしました。パチンコ屋、ネットカフェ、夜のお店など休業要請が出ている職種でさえ、要請を無視して開けているお店が多々あって、そこに人が密集している場面にも出くわしました。私は今回たまたま重篤化しませんでしたが、一歩間違えれば死ぬ病気です。それでも、マスクをしないで子連れで外出する光景を見ると、その神経を疑いたくなりますよ」

体験者でなければ語れない「怒り」は、真摯に受け止めなければいけないだろう。

  • インスタグラム画像男性提供

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